ずいぶん昔に書かれた、吸血鬼ものの現代語訳です。装丁を意識したらしく、本文は横書きでグレイッシュブルーのインクでしたし、写真もふんだんにありました。しかし、どうもわたしには構成者の意図をうまくくみ取れなかったみたいで、少々残念に思うのでした。
文の途中に写真のページがくるので、写真を無視して次に行かざるを得なかったり、『日本国憲法』(条文と写真が見開き単位で交互に続いていた)に似ている印象が拭えなかったり、と……。
「ねじのかいてん」の終わり方は、まさしく椎名誠氏の話だという感じがします。読んでいる身としてはやりきれなさが残るものの、まぁ、これが椎名氏なのだ、と、納得するしかないのでした。
「水域」は、長編として書き改めたバージョンをすでに読んでいまして、これを読んで、また、長編版を読みたくなりました。
再読。
そういえば、この話が、始めて読んだ中島らも氏の小説(?)でした。エッセイとかコラムとかは読んでましたけどね。おそらく、9年前のこと。しかし、当時は単行本だったので気づかなかったけど、文庫になったら厚みが……ナイ。ふうむ。
短編の作品集。文庫サイズで400ページ強の分厚さ。普通の本より厚く感じます。もちろん、厚いだけではない。
全三巻ながらきちんと終わってなくて……。まぁ、氏の作品は始めてではないから馴れてますが「完結」じゃなくて「未完」にしてもらった方が、やっぱりうれしいなぁ、と思うのでした。
すでに読んでいると思っていたら、読んでいるのは表題作のみで、あとは未読でした。ううむ。
1941年に発表されたアシモフ氏の中編版を書き直した長編版。
わくわくします。そして、おもしろかったぁー。けど、物足りなさも残る……。
内容は……水に覆われた世界で、一人舟に乗り、漂い続けている男のはなしです。以前単行本で読んだような気がしていたのですが、気がしていただけだったみたいです。
裏表紙の内容紹介文の「ズー」がでてきたのは、148ページになってからでした。さらに、ズーとの暮らしが終焉を迎えるのは241ページ……。物語が終わるのは278ページ。
なんか、ちょっとむなしかったのでした。
当書は、以前単行本で読んだものの、文庫版再読になります。当時の記録によると93年の2月に読んだようです。
丸6年ぶりかぁ。
「千年観光団」・・・無期限パックツアーの千年観光団を追い求める「僕」のおはなしです。
「日本国の逆襲」・・・多国籍軍が、経済帝国主義国家日本国を壊滅させたあとのおはなし。昔読んだときにはけっこうリアルだったんですが、今となっては……。文学にもタイミングが重要ですな。
「インドから来た青年」・・・凡庸なる日本人を目指す、天才青年のおはなし。受験戦争は今のほうが激化しているかもなぁ、と思うのでした。もう現役は退いてますから、よく分かりませんが。
「車神」・・・日本観察者によるレポート。「自動車」と「クルマ」の違いについて説いた(?)のは、(ボケ始めた記憶によると)神林長平『魂の駆動体』でしたか……。
わたしがこれまでに読んできたのは『三国演義』ではなく『三国志』ばかりだったのですが、やはり、書き手によって内容が微妙に違ってました。当然のごとく、本書も違います。
他書では死んでしまう人が生き続けたり、もっと長く活躍した人が早々と死んでしまったり……。主役の玄徳を異様に美化していないのは、好感度高し。
物語自体がコンパクトなつくりなため、展開の早いこと、早いこと。ドコドコと、新たな人間がでてきては消えていきます。登場人物一人一人をいちいち覚えながら読むタイプの人は蒼白ものでしょうねぇ。