同名映画の脚本と並行して書かれたアドベンチャーSF。
始まりは、3万年前のヒトザルの目前に現れた、謎の石版。そして舞台は一気に現代へと移り、同種の石版は月面で発見される。石版が発したエネルギーは土星を指し示していた。かくして、土星に調査船が派遣され……。
映画版とは少々くいちがう点があります。
映画版でラストが分からなかった人には特におすすめ。
退廃した未来の地球が舞台のアクションSF。
汚染された母星を捨て去る「惑星植民計画」のすすむ地球が舞台。主役はしがない賞金かせぎ。彼はステイタス・シンボルを手に入れるため、火星から逃亡してきた強者のアンドロイドたちを狩ることに……。
人間とは? アンドロイドとは? テーマは巨大です。
あたたかくて、しかもそれだけではない物語を楽しみたい方に、特におすすめ。
サイバーパンク短編集。
表題作の「クローム襲撃」は……サイバー・カウボーイを相棒に、デジタルの城へ侵入する、男のはなし。
などなど、短編10本が収録されています。
ストーリーが云々より、雰囲気を楽しむ小説だと思います。疾走する世界が嫌いな方にはおすすめできません。
一人の女性を軸に、ロボットの開発史をふりかえる連作短編集。
発端は、ジャーナリストが、引退するキャルヴィン博士に記事にするためのはなしを聞くところから。子守ロボット・ロビイの逸話にはじまり、人間の思考が読めてしまうロボット、宗教に目覚めたロボット、人間そのものとなったロボット、などなど、さまざまなロボットが登場します。
当作で掲げられた「ロボット工学三原則」は、その後のSF(ロボットもの)に多大な影響をもたらしました。
語り口はやさしく、とっつきやすい一冊です。
読んでおいて損はありません。おすすめ。
自立したロボットたちの抗争を描く近未来SF。
かつて、自我と増殖能力を持つロボットをつくったコッブは、月への招待を受ける。月はロボットの国なのだが、そのロボットたちの抗争が激化し、コッブも巻きこまれていく……。
ノリがよくて、はじけてるはなしです。
ちょっと変わった世界に浸りたい方におすすめ。ただし、好みが分かれそうな作品です。
コメディSF。
仮免中のマッド・サイエンティスト、みのりちゃんが巻き起こす奇想天外な珍事件の数々……と、それにつきあわされるタウン誌記者(山下&サトル)の、コミカルでおもしろおかしい作品集です。
表題作の「日曜日には宇宙人とお茶を」は……ある晩、地球侵略のためにやってきた宇宙人が、ノーテンキなサトルを地球人の標本としたことから始まる、珍騒動。
など、8作を収録。
楽しい気分になりたい方、SFってなんだか難しそうと思っている方には特におすすめです。
コメディSF。
仮免中のマッド・サイエンティスト、みのりちゃんを軸にした奇想天外かつSFの魅力満載の短編集です。
表題作の「大冒険はおべんと持って」は……実物大の大冒険惑星で遊んでいたみのりちゃん一行でしたが、惑星管理コンピュータが狂ってしまって……というお話。
など、6作を収録。
わたしは、世界征服の野望に燃える、マイティ・マサコがお気に入り。ふだんは地味なOL。しかし、その正体は……というままありがちな設定なのですが、文面以上に楽しませてくれます。
おすすめ。
ショート・ショートの大家による、ショートショート集。
イソップ寓話を題材にした物語など、風刺の利いた33コのショート・ショートが収録されてあります。
どこかで聞いたことがあるような話も載っているのは、古い作品(最初の刊行は1971年)ならではのこと。おもしろいものは、オモシロイ。
きまじめさから一歩踏みだしたい方に、特におすすめ……かも?
ウワサをテーマにした短編集。
物語の始まりは決まって「○○がこんな話をしていた。○○は××から聞いたという」という一文。つまり、本全体が「ウワサ話の集合体」という形式なのです。
表題作(ウワサ)の「トキオ・ウィルス」は、未知の病原体に関するウワサで、たった数行です。もちろんその数行がすべて、ではなく、別のウワサ話にも登場してくるという趣向。
ウワサは全部で62種。
ウワサ、知りたくないですか?
古代中国、殷周革命を題材にした歴史怪奇小説。
仙人たちが人間界に革命をひき起こし、その混乱に乗じて、ハンパものなどを新世界(神界)に封じこめようと画策する物語が主軸。
人間、仙人、道士、妖怪、がところせましと大活躍しては、バッタバタと消えていきます。
おもしろいのですが、好みの分かれる小説です。
原本が書かれたのは明の時代で、西遊記にでてくる人物(神仙・道士)も登場します。著者は不明。革命自体は歴史的事実ですが、物語としての脚色以上の脚色がなされているので、純粋な歴史小説を読みたい人には、お薦めできません。