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2001年の記録
目録
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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このページの本たち
スタークエイク』ロバート・L・フォワード
パーキー・パットの日々』フィリップ・K・ディック
ムーミン谷の夏まつり』トーベ・ヤンソン
量子宇宙干渉機』J・P・ホーガン
カエアンの聖衣』バリントン・J・ベイリー
 
われら殺人者』天藤 真
ムーミン谷の冬』トーベ・ヤンソン
人間以上』シオドア・スタージョン
遊星よりの昆虫軍X』ジョン・スラデック
ゲーム・プレイヤー』イアン・M・バンクス

 
各年の目録のページへ…

 
 
 
 
2001年10月31日
ロバート・L・フォワード(山高 昭/訳)
『スタークエイク』
ハヤカワ文庫SF

 同氏の『竜の卵』の続編。
 中性子星〈竜の卵〉の調査を終えたドラゴン・スレイヤー号は、帰還の準備にとりかかる。しかし、不運な事故により乗り組み員は絶体絶命の危機に見舞われた。残された時間は、わずかに5分……。中性子星〈竜の卵〉の知的生物“チーラ”は、人類救出作戦にとりかかろうとするが、政治的かけひきによりすんなりとはいかない。

 前作『竜の卵』と比べて“駄作”であるとする評もあるのですが、やっぱりおもしろいです。


 
 
 
 
2001年11月03日
フィリップ・K・ディック
(浅倉久志/大森 望/友枝康子/大瀧啓裕/訳)
『パーキー・パットの日々』
ハヤカワ文庫SF

 SF短編集。
 表題作の「パーキー・パットの日々」は……火星人との戦争でかつての生活を奪われた人類は、地下シェルターで暮らしていた。不自由な日常の中、カリフォルニア地区の住民は、人形と町の模型をつかったシミュレーション・ゲームに慰めを見い出している。それはパーキー・パットという少女が主役のゲームだ。
 ある日ノーマンは、噂に聞いた“より成熟した女性人形”を持つオークランド地区の住民相手のゲームに挑む。

 ディックの魅力満載の一冊。


 
 
 
 
2001年11月07日
トーベ・ヤンソン(下村隆一/訳)
『ムーミン谷の夏まつり』講談社文庫

 幻想的な童話的短編集。
 《ムーミン》シリーズ。
 平和なムーミン谷に大水がおしよせてきた。ムーミン一家は、流されてきた劇場に移り住むことになる。しかし、ささいなことから、家族は離ればなれになってしまった。

 いろんなエピソードが集約されていく過程が圧巻。


 
 
 
 
2001年11月19日
J・P・ホーガン(内田昌之/訳)
『量子宇宙干渉機』創元SF文庫

 多元宇宙ハードSF。
 ある日、物理学者のヒュー・ブレナーは政府関係者の訪問を受ける。そして、国防調査局の公的プロジェクトへの参加を要請された。事実上、選択肢はない。参加しなければ、現在取り組んでいる研究(量子干渉相関器の開発)がつづけられなくなるのだ。
 ヒューは、研究を継続するために参加要請を承諾する。
 共同研究者のテオと共につれていかれた先は、隔離された研究施設だった。そこで量子検出&放射増幅装置「QUADAR」を体感したヒュー。QUADARには、人間の直感力を増幅する機能がある。時間線の前方から流れ戻ってくるデータを整理し、人間の脳が活用できるかたちの情報に変える……つまり、接続された人間は未来を感じとることができるのだ。しかし、QUADARの機能はそれだけではなかった。

 おもしろいことはおもしろいんですけど、もうちょっと短くできないのか、というのが正直なところ。


 
 
 
 
2001年11月29日
バリントン・J・ベイリー(冬川 亘/訳)
『カエアンの聖衣』
ハヤカワ文庫SF

 衣服SF。
 衣裳哲学をあらわしたカエアン人たちの服は、敵対関係にあるジアード人をも魅了し、高額で闇取引きされていた。
 ジアードの服飾家、ペデル・フォーバースは、ある日、密貿易業者のリアルト・マストのさそいにのり、惑星カイレにおもむいた。カエアンの衣裳を満載した宇宙船が、惑星カイレで難破したというのだ。情報通り、ペデルは、危険な惑星上で見事カエアンの船を見つけた。そして、カエアンの衣裳を回収するが、その中には、カエアン服飾芸術界の帝王とうたわれたフラショナールの傑作スーツが含まれていた……。

 科学的にはかなりあやしいのですが、そこがまたおもしろい。


 
 
 
 
2001年12月02日
天藤 真
『われら殺人者』
創元推理文庫

  ミステリ短編集。
 表題作の「われら殺人者」は……内山広美は孤児だった。住み込みで働きながら、夜間学校に通う毎日。そんなある日、三好庫子という女に誘い出され、猿丸久信に出会った。猿丸は、広美の父をひき殺した犯人を知っているという。猿丸自身その人間に恨みを抱いており、共に復讐する仲間を募っていたのだ。
 内山広美は、殺害期成同盟に加わる。そして、いよいよ決行の日を迎えたが……

 上質ミステリがぎっしり詰まった一冊。


 
 
 
 
2001年12月03日
トーベ・ヤンソン(山室 静/訳)
『ムーミン谷の冬』講談社文庫

 幻想的な童話的短編集。
 《ムーミン》シリーズ。

 冬には冬眠する習慣のあるムーミントロールだったが、この年だけは、どうしたわけか目覚めてしまった。ムーミントロールが経験するはじめての冬を綴る。

 これまで家族や友だちと一緒であることが多かったムーミントロールの成長ぶりが見物。


 
 
 
 
2001年12月11日
シオドア・スタージョン(矢野 徹/訳)
『人間以上』ハヤカワ文庫SF

 超能力SF。
 人々から厄介物扱いされていたミュータントたちが結集する小説。

 ミュータント・テーマの最高傑作のほまれの高い一冊。
 ただし、読み手と合ってないと、ちょっとつらい。


 
 
 
 
2001年12月14日
ジョン・スラデック(柳下毅一郎/訳)
『遊星よりの昆虫軍X』ハヤカワ文庫SF

 ドタバタSF。
 売れない純文学作家のマンフレッド・ジョーンズは、テクニカル・ライターに応募するため、サイバーグ・コーポレーションを訪れた。そこで、ソフトウエア・エンジニアに応募していたマンスール・ジョーンズと間違えられ、プログラマにされてしまう。
 仕事内容がまったく分からないフレッドに課せられたのは、軍のためのAIロボット開発プロジェクトだった。

 怪作。
 少々分かりにくいところがあるものの、ギャグでカバー。


 
 
 
 
2001年12月19日
イアン・M・バンクス(浅倉久志/訳)
『ゲーム・プレイヤー』
角川文庫

 ゲームSF。
 高度に文明の発達した銀河連邦"カルチャー"に暮らすジェルノー・モラット・グルゲーは、ゲームの達人。あらゆるシステムをAIによって維持された、労働の不必要な世界にあって、名声をほしいままにしている。しかし、最近はゲームに喜びを見いだせなくなり、また、ゲーム生命の危機にも直面していた。
 そんなおり、AIからもちかけられたのが、はるか彼方のアザド帝国で開催されるゲームへの出場だった。アザド人は、生まれながらにこのゲームに特化し、皇帝すらもゲームで決定されている。悩んだ末に参加する決意をしたグルゲーだったが、ゲームの影には陰謀がかくされていた。

 少々展開の読めるところがあるものの、全般的におもしろいです。
 スペース・オペラということで松本零士が表紙絵を描いたのだと思いますが、それがいただけない結果に……。失礼ながら、あまりの落差に愕然としました。

 
 

 
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