こわめの短編集。
表題作の「したたるものにつけられて」は……突然、若い女に声をかけられた“わたし”が被写体となる小話。
ホラー文庫に入っているものの、ゾクゾクするようなホラーではなく、“ある意味”こわいといった作品集です。同氏の、他の短編集に収録された作品もいくつか混じっているので、少々物足りなさが残りました。
ファンダジィ漫画集。
ゆくゆくは白魔法使いたちの七代目の長になるアーサー・ロビンものの「7番目の少年」と、学園コメディ「聖祈苑(セント・イノリエン)にようこそ!」の2本立て。
両作品のあいだに20年ほどのひらきがあるので、そこを読み比べるのもおもしろい。
SF。
核戦争後の放射能汚染のため、火星の人類は地下深くに破沙空洞市を建設した。そこで人類は幻覚装置に頼り、無気力な生活を営んでいる。一方、人間に奉仕する目的でつくられたアンドロイドたちは、地上に門倉京をつくり、文明を開花させていた。
地下の牛乳工場で働く秋川誠元は、夢に悩まされる日々をおくっていた。生々しい夢は、現在の自分とは一切関係のないものだ。誠元は精神科医に味楽機(幻覚装置)を修理することをすすめられ、地上の門倉京にでかけることにする。
また、地下教会の僧侶サイ・玄鬼は、アンドロイドの神“エンズビル”の降臨を予知していた。不祥事から教会を追放された玄鬼もまた、地上の門倉京にむかう。
はたして、終末はやってくるのか?
途中までは、フィリップ・K・ディック的。
どんでん返しがあるものの、よくあるタイプのどんでん返しなので、驚きは少なかったりして……。でも、心に響きました。