ロボットSF。
『鋼鉄都市』『はだかの太陽』『夜明けのロボット』の続編。
宇宙国家連合でも随一のロボット保有星・ソラリアから人間が消え失せた。残されたのは無数のロボットたち。調査に赴いた宇宙船は破壊され、詳しいことは分からない。
惑星オーロラに住むグレディアは、故郷・ソラリアに思いをはせる。
そのグレディアの元に、植民国家連合の貿易商人、D・G・ベイリが訪ねてきた。新たに派遣される調査隊への同行を求めに来たのだ。グレディアは、ロボットのダニールとジスカルドと共に旅立つ。
ちょうどその頃、オーロラのロボット工学研究所長アマディロは、地球を壊滅させるために陰謀をめぐらせていた。
問題作と呼びたい。
ソラリアの謎はけっきょく解かれず、結末も尻切れとんぼ的。というのも、実は、この作品が《銀河帝国興亡史》とロボット・シリーズをつなぐためのものだから。
別々に発展させて欲しかったなぁ……
宇宙SF。
『アンタレスの夜明け』の続編。
自然災害により、100年もの間孤立していたヴァレリア星系。惑星アルタの人々は、新たな超空間通廊を使って他世界と連絡をとることに成功していた。しかし、人類は異星人ライアルと交戦中。
アルタと、惑星・サンダーの人々は共同で、本拠地・地球に助けを求めるべく、放射線の充満するアンタレス星霧を横断する道を選ぶ。
基本的にはおもしろいものの、ラブラブ・ファイアーなこの主役をなんとかしてくれ状態。
古代日本。
“目に見えぬ神々”への信仰あつい部族の少年・鷹野(タカヤ)は、川で赤子を拾った。赤子はトオコと名付けられ、鷹野の妹として育てられることになった。
トオコはすくすくと育つが、あるとき、平和だった村は何者かに攻め滅ぼされてしまう。難を逃れたのは、たまたま村を離れていた鷹野とトオコ、そして、真言告(まことのり)をあやつる者、青比古だけだった。
村を襲ったのは、銀角神・鬼幽の一派。外国(とっくに)で繰り広げられていた“目に見える神々”の戦いが、ついに、この島国にもやってきたのだ。
トオコ、鷹野、青比古の三人は、ほどなく、正法神・律尊と出会う。律尊も“目に見える神々”のひとりだが、鬼幽とはちがい、善と平和を望んでいる。桂や一狼太といった戎士をひきつれ、鬼幽らと対立しつつ旅をしているところだ。三人は、彼らと行動を共にすることにするが……。
“目に見えぬ神々”はいずこに消えてしまったのか?
“目に見える神々”は、なんのために生まれてきたのか?
トオコの隠された過去とは?
少女漫画雑誌に連載していたのが打切られて、単行本で完結した曰く付きの作品。読者を選ぶのはSFの哀しいサガでしょうか……。
セリフの一つ一つが美しく、かつ心に響く名作です。漫画なんて子供のもの、とか、漫画の日本語って正しくない、とか思っている方にはぜひ読んでいただきたい作品。
セリフだけではありません。
やがて狂う運命にある青比古、その青比古を想っている桂、桂を愛するが故に苦しむ一狼太。律尊と同じように“目に見えぬ神々”の謎を追い求める鬼幽……。
脇役の一人一人が主役級の存在感。
涙なしには読めません。
※トオコの漢字は「透示占」、ヨオコは「夭示占」です。共に「示」と「占」で一文字
※この書込みは、かつて愛読書コーナーに掲載されていましたが、コーナー閉鎖のため、執筆(2003年02月02日)当時の読了本として、こちらに追記しました。