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2005年の記録
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このページの本たち
宇宙のランデヴー4』アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー
創世伝説』ドナルド・モフィット
プレイヤー・ピアノ』カート・ヴォネガット・ジュニア
ホームズと不死の創造者』ブライアン・ステイブルフォード
ネメシス』アイザック・アシモフ
 
時の凱歌』ジェイムズ・ブリッシュ
宇宙戦争』H・G・ウエルズ
第二創世記』ドナルド・モフィット
幻惑の極微機械』リンダ・ナガタ
12モンキーズ』エリザベス・ハンド

 
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2005年04月07日
アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー
(冬川 亘/訳)
『宇宙のランデヴー4』上下巻・ハヤカワ文庫SF

宇宙のランデヴー』『宇宙のランデヴー2』『宇宙のランデヴー3』の続編。シリーズ最終巻
 前作までの展開は……
 スペースガードが発見した小惑星は〈ラーマ〉と名付けられた。実は、その正体は小惑星ではなく、超巨大宇宙船。人類はエンデヴァー号を派遣し、ラーマとのランデヴーを果たす。しかし、ラーマ人と出会うことはなかった。
 それから70年。
 ふたたび〈ラーマ〉が太陽系に現れた。人類は、通り過ぎようとするラーマに、満を持して調査隊を送りこむ。
 ニコル・デジャルダンは、調査隊の一員。アフリカの一部族の血を引く女性医師だ。地球へ帰還間際、同行した女性ジャーナリスト・フランチェスカの策略で、ラーマ内部に取り残されてしまう。そして、ニコルを捜しに戻ったリチャード・ウエイクフィールドと、マイケル・オトゥールも運命を共にすることに……。
 ラーマの目的地は分からない。
 先が見えぬまま13年の時が流れ、ついにラーマは巨大構造物〈中核点〉に到着した。それまでにニコルがもうけた子供は5人。ニコルたちは人類に関するデータをとることに協力し、ついに地球への帰還を、ラーマの代弁者イーグルに告げられる。
 しかし、ただ帰るのではない。2000人の地球人を連れに行くのだ。そのために、ラーマ内部には“ニュー・エデン”が設けられる。
 ニコルに選択の余地はなかった。イーグルの求めに応じ、娘シモーヌとマイケルと別れ、懐かしい太陽系へ……。やがて2000人の植民者との新たな生活がはじめるが、“ニュー・エデン”も犯罪と無縁ではいられなかった。カジノをつくり莫大な富を手に入れていたナカムラが、クーデターを起こしたのだ。
 主要な政治家たちはナカムラによって殺害された。リチャードは“ニュー・エデン”から逃亡し、他区画でラーマの乗客となっていた異星種族たちの元へとむかう。一方“ニューエデン”に残ったニコルだったが、捕らえられ、死刑を宣告されてしまった。

 今回の展開は……
 リチャードと仲間たちの協力により、ニコルは脱獄に成功する。むかった先は、かつて〈中核点〉への旅でニコル一家が暮らしていたニューヨーク。二人はそこで静かな生活をはじめる。
 そのころ“ニュー・エデン”の市民たちは抑圧されていた。独裁者ナカムラは不満をそらすため、異星種族との戦争をはじめる。ニコルは、家族や親しい友人たちを呼びよせ、やがて、異星種族クモダコの居住区にたどりついた。意思の疎通もはかれるようになり、クモダコ種族が平和を好むことを見いだすが……。

 長かったニコルの半生にもついに結末が訪れました。思えば、続編として書かれた〈宇宙のランデヴー〉は、一人の女性の半生記。壮大なSFと人間ドラマを両立させるのは難しかったようです。


 
 
 
 
2005年04月18日
ドナルド・モフィット(小野田和子/訳)
『創世伝説』上下巻・ハヤカワ文庫SF

 天文台では、銀河からもたらされる信号をひろうプロジェクトがつづけられていた。そして、500年。ついに、異種生物からのメッセージを捕らえた。
 発信者は、3700万光年へだてた地球人類。
 捕らえたのは、十肢生物ナー。
 ナーたちは人類からの情報の恩恵に浴し、返礼として、人類を再生することにも着手する。こうして、M-51渦状銀河に人類が産まれることとなった。
 人間ブラムは、幼いころから天文学に興味をそそられていた。夢は、人類の故郷“地球”へ帰ること。その距離を考えれば実現不可能なのだが、ブラムは成長しても夢を保ち続けた。しかし、虚栄心から、仲間たちにバイオエンジニアリング・タッチグループに入ることを宣言してしまう。研究所には高名なヴォス-シュル-ヴォスがおり、彼はブラムの後見人でもあるのだ。ブラムが望んだ進路ではなかったが、ヴォスの親身な指導のもと、ブラムは結果を残していく。
 そして7年。
 ブラムはナーからも一目置かれる存在となっていた。夢とはちがっていても順調な人生。ところが、ブラムと同居しているカーシンが人類優位主義者、しかも過激派の一員だったがためにブラムは闘争に巻き込まれてしまう。
 そもそもブラムには政治に関心がない。全面的にナーを信頼してもいる。だが、ナーが公開している〈原人間〉の通信内容に疑問をいだき……。

 ブラム以外の一般人(優位主義者以外)がなにを考えているのか、あまりでてこないので、やや広がりに欠けたような感じです。後半、泣けるところもありました。でも、ちょっと物足りない……。


 
 
 
 
2005年04月20日
カート・ヴォネガット・ジュニア(浅倉久志/訳)
『プレイヤー・ピアノ』ハヤカワ文庫SF

 戦争を勝利に導いたのは、ノウハウ!
 すべての生産手段は自動化され、すべての人間の運命はパンチ・カードによって決められる。人間は機械にとって代わられたのだ。機械に太刀打ちできない多くの人々、一般分類テストではねられた人々は、軍隊か、道路住宅補修点検部隊か、どちらかを選ばねばならない。
 ポール・プロテュース博士は、イリアム製作所の所長。ニューヨーク州イリアム市で一番の、重要かつ頭脳優秀な人間だ。今は亡き父ジョージは、この国で最初の商工業・通信・資源取締役。その地位と肩を並べられるのは、合衆国大統領くらい。ポールも、将来を約束されていた。
 ポールの妻アニータは、テストではねられた一人。それでもプロテュース夫人の座を手中にし、最低の暮らしをのがれることができた。しかし満足はせず、さらなる出世へとポールの背中を押すことに余念がない。
 アニータの叱咤激励にもかかわらず、ポールは出世に熱心になれずにいる。それどころか、現在の社会のありように疑問をいだいていた。
 そんな最中、ポールの同期生であるエド・フィナティーがポールを尋ねてくる。フィナティーは、反社会的な態度をもっているが、いまや全米産業計画重役会のメンバーだ。ところが、フィナティーは自ら辞職して無職になっていた。

 ヴォネガットの処女長編。
 はじめてだったからか、前ふりがちと長い。おもしろいところあり、よく分からないところあり。


 
 
 
 
2005年4月29日
ブライアン・ステイブルフォード(嶋田洋一/訳)
『ホームズと不死の創造者』ハヤカワ文庫SF

 2495年。
 人類はキアズマ変容ウィルスによる不妊疫病を経験し、新しい生殖システムを確立。さらに、胎児の段階で遺伝子操作を行い、実証はされていないが、不死をも獲得した。不死を得ずに産まれた人々も、発達したナノテクノロジーによる若返り処置を行い、いくらかの長寿を得ている。
 シャーロット・ホームズは国連警察の部長刑事。キャリアは充分ではないが、第一級バイオハザードに指定された殺人事件で現場主任を命じられる。
 殺されたのは、ゲイブリエル・キング。全世界を支配する産業娯楽複合体メガモールのために働く建築家だ。194歳になり、もはや若返り処置には耐えられそうにない。ほおっておいても死に行く運命にある旧人類だが、無惨な姿となって発見された。遺伝子操作された植物に肉を喰いつくされたのだ。
 誰が、なんのために?
 シャーロットの上司ハル・ワトスンは、花卉植物の専門家ウォルター・トゥストカを専門家証人として指名した。しかしトゥストカは、警察の呼び出しに応答しない。
 いらだつシャーロットの前に現れたのは、マイクル・ロウェンザール。ザーマン変異によって不死を獲得した新人類。この事件を重要視したメガモールによって、派遣された人物だった。愕然とするシャーロット。
 さらに、殺人現場となったキングのマンションに、フラワー・デザイナーのオスカー・ワイルドが現れた。ワイルドはこの事件の専門家証人になり得ると同時に、被害者の知人でもある。シャーロットは、何者からか招待を受けたと主張するワイルドこそが犯人ではないかと疑いを抱く。
 ワイルドは探偵役を自ら買ってでて、凶器となった植物を鑑定した。この花の作者は、ラパチーニ。葬儀用の花を専門としている。ラパチーニの正体は分からないが、ラパチーニ社の創立者は、ジャフリ・ビアシオロという人物だ。ここのところ表にでてきていない。
 シャーロットは、ロウェンザールとワイルドと共に、サンフランシスコへと向かった。ワイルドが、キングのマンションに呼びだされると同時にサンフランシスコ行きリニアモーターカーの予約書を受け取っていたからだ。
 目的地サンフランシスコでは、脳肥育テクノロジーのパイオニアだったミチ・ウラシマが殺害されていた。手口はまったく同じ。遺体は、植物にむさぼり喰われていた。

 きっちりと設計された世界背景が興味深い一冊。
 ただ、いろいろな要素はおもしろいんですが、ストーリーとなるとやや消化不良気味。シャーロットの名前は、名探偵シャーロック・ホームズから。ただし、推理より会話の主導権を重視しているようで、あまり刑事らしくもない。シャーロットの代わりに推理するのはワイルドですが、犯行の阻止にはほとんど役立ってない……。
 ミステリだと思って読むとがっくりきます。それを知ったうえで読めば、楽しめるでしょうが。


 
 
 
 
2005年05月01日
アイザック・アシモフ(田中一江/訳)
『ネメシス』上下巻・ハヤカワ文庫SF

 ユージニア・インシニアは、植民衛星ローターの天文学者。太陽からわずか2光年先に、未知の恒星を発見した。それは赤色矮星。ユージニアはネメシスと名付ける。
 ローターの指導者ジェイナス・ピットは、太陽系脱出を目論んでいた。太陽系は過密化が進み、植民衛星は増える一方。いち早く太陽系を離れ、先駆者として新世界を建設するのだ。そんな最中に隣星発見の報を受け、決断する。独自に開発したハイパー・アシスト駆動を使い、秘密裏に太陽系を後にしたのだ。
 マルレイネ・インニシア・フィッシャーは、ユージニアの娘。美しくはないが、特殊な能力を身につけていた。マルレイネはちょっとしたしぐさから、相手の本心を見抜いてしまう。太陽系を離脱したときには1歳だったマルレイネも、今では15歳。ユージニアが沈黙を守る秘密を見抜く。それは、ネメシスが太陽系に接近しつつあり、地球に壊滅的な被害をもたらすというものだった。
 一方、太陽系離脱の前にローターを離れたユージニアの夫クライル・フィッシャーは地球に帰還していた。実はクライルは地球情報局の人間。任務に失敗はしたが、消え失せたローターの行方の手がかりを得ていた。そんな彼に指令がくだる。太陽系一のハイパー・スペース学者テッサ・アニータ・ウェンデルを地球につれてくるのだ。ハイパー・スペース航法を手に入れ、ローターに赴くために。

 どうしたってちらつく《銀河帝国興亡史》シリーズの影。それが、この作品を縛ってる感じがしました。
 クライルは、ユージニアの回想を通してみると情報局員として問題外。テッサの勧誘方法もイマイチで、物足りなさが残ります。


 
 
 
 
2005年05日03日
ジェイムズ・ブリッシュ(浅倉久志/訳)
『時の凱歌』ハヤカワ文庫SF

 《宇宙都市》シリーズ(全四巻/『宇宙零年』『星屑のかなたへ』『地球人よ、故郷に還れ』『時の凱歌』)の最終巻。
 星間航法スピンディジーの開発によりニューヨーク市は地球を飛び立った。長い航行の末、大マゼラン星雲にある惑星に腰を落ち着かせる。人々は惑星を〈新地球〉と命名し、ニューヨークは廃市となった。
 ジョン・アマルフィはニューヨーク市長。薬のおかげで長い長い“生”を得ているが、冒険のない日々は退屈でしかたがない。廃墟と化したニューヨーク市に足を運ぶが、ふたたび飛ばすことはかなわない。共に冒険してまわった仲間たちはすっかり〈新地球〉に溶けこみ、アマルフィに同調するものはいなかった。
 ある日、アマルフィの元に一つの知らせが飛びこんできた。観測されていた新星が実は新星などではなく、スピンディジーの発する飛行雲だったのだ。
 その正体は、惑星ヒー。
 かつてニューヨークは工事を請け負い、惑星にスピンディジーを設置することで彼らを太陽から解き放った。惑星ヒーはアンドロメダ星雲に向かっていたはずなのだが……。
 惑星ヒーは驚くべき知らせをもたらした。彼らは宇宙の果てで、偶然にも反物質世界を発見したのだ。正物質世界と反物質世界が衝突すると、時間そのものが終焉を迎えることになる。
 アマルフィは生存をかけ、行動にでるが……。

 第三巻をすっとばして読んだからか、やりきれない読後感。この結末をこのシリーズの結末とすることに違和感がありました。


 
 
 
 
2005年05月04日
H・G・ウエルズ(斎藤伯好/訳)
『宇宙戦争』ハヤカワ文庫SF

 ジャワ島の天文台で、火星の表面に白熱したガスが噴出する模様を観測した。その後、十日に渡って同じ現象が観測される。人々は火星の火山活動にかんする記事を楽しんだが、それは噴火ではなかった。
 著名な天文学者オーグルビーは、夜明け前、イギリスはウィンチェスターに流れ星が走るのを目撃した。隕石が落ちたと確信し、捜しにでかける。発見したそれは、巨大な円筒状の物体。その直径たるや25メートル強。火星からの飛行物体だったのだ。
 オーグルビーは火星人と接触しようと努力するが、火星人がやったことは殺戮。突然の閃光をもって、集まってきた野次馬もろともなぎ倒したのだ。かろうじて生き残った人々は逃げ惑うばかり。火星人たちは巨大マシーンを組み立て、次々に村を街を破壊していく。圧倒的な力の前に、軍隊はまるで役にたない。
 火星人たちの目的とは?

 侵略ものの原点。淡々としている分、鬼気迫るものがあります。
 SF界の大御所、アーサー・C・クラークがまえがきを書いてますが、そこでオチをばらしてます。まぁ、現代では容易に想像のつくオチですが、知らせずにいて欲しかったなぁ、というのが正直なところ。


 
 
 
 
2005年05月05日
ドナルド・モフィット(小野田和子/訳)
『第二創世記』上下巻・ハヤカワ文庫SF

創世伝説』の続編。
 M-51渦状銀河に産まれた種族ナーは、人類から送信されたメッセージを受け取り、人類を創造した。やがて人類はナーの元をはなれ、故郷の銀河へと向かうことに……。
 宇宙樹を宇宙船イグドラシルに仕立てて旅立った人々は、まずはM-51渦状銀河の中心へと航路をとった。ナーのために観測を行うと同時に、中心核の質量を利用して脱出速度を獲得する計画だ。しかし、いざ着いてみると思いもよらない光景が……。銀河中心で、ブラック・ホールが連星を形成していた。
 銀河の核が2つあるのでは、予定のコースはたどれない。明後日の方角に飛び出てしまう可能性もあった。そこで、2つのブラック・ホールの狭間の空間を通過する選択がなされる。成功すれば5万Gの加速を得られるが、失敗すればブラック・ホールに吸い込まれてしまう。
 人類の挑戦は成功し、イグドラシルはM-51渦状銀河を後にした。予定通り故郷の銀河にたどりつくが、その星がどこにあるのかは、まだ分からない。候補となった星を調査するうちに、巨大構造物が発見される。恒星をとりかこむ、無数のディスクの群れ。それらをつくったのは〈原人間〉たちなのか?

 今回の主役も、『創世伝説』にひきつづきブラムがつとめてます。
 前半の山場は、ブラックホールを使ってのスウィング・バイ。後半が、ディスク世界で繰り広げられる調査やら事件やら。モフィットの作品は後半からがおもしろいのですが、今回も、おもしろくなるのは後半から。特に序盤は、前作を読んでない人のために配慮した記述があって、退屈してしまいました。続編なんだから割り切っちゃえばいいのに、と思うんですけど、商売上、そうも言ってられないのか……。


 
 
 
 
2005年05月06日
リンダ・ナガタ(中原尚哉/訳)
『幻惑の極微機械(ナノマシン)』
上下巻・ハヤカワ文庫SF

 人類誕生よりもはるかな古代。チェンジーム人たちは宇宙を舞台に大戦争をくりひろげ、滅んでいった。チェンジーム人たちの兵器や疫病は残され、宇宙に進出した人類を今も脅かしている。
 巨船ネセレス号は陥穽星に向かっていた。乗りこんでいるのは、ジュピター・アポリナリオが率いる14,000人の老若男女。カリスマ指導者であるジュピターは陥穽星をコミュニオンと呼び、理想郷と説いていた。
 ネセレス号は人々を、陥穽星の軌道エレベーターの途中にある絹市に降ろす。ジュピターの一行にとって、絹市はただの通過点。しかし、脱出の方法がないままやむなく絹市で暮らしている人々は陥穽星を恐れており、はげしい抵抗にあってしまう。
 大混乱の中、戦闘は終結。ジュピター死去の報が流された。生存しているものたちはことごとく捕らえられ、難民としての扱いを受けることに。ジュピターの息子ロトもその内の一人。
 ロトは、ジュピターと同じ知覚涙を持つ少年だ。ジュピターを信じきれずにいるが、死去の報も疑い、陥穽星にたどりついたと考えている。ロトは仲間たちとは隔離され、監視されながら絹市で暮らすことになった。
 捕らえられてから10年。ロトは、絹市議会議長の息子アーバン・ルカモシュと親しく接してきた。アーバンは、ロトと、難民の指導者ジェント・ローマンとを再会させる。そして、密かに冷凍納棺室に入りジュピターの遺体を捜すが、収容された痕跡がないばかりか、すべての棺が空になっていた。
 ジュピターはコミュニオンに到達したのか?

 どうしようもなく複雑な物語。背景設定からして壮大なのでささいなことには手が回らなかったのか。『極微機械ボーア・メイカー』の直接の続編ではありませんが、読んでないと厳しいものがあります。
 設定がつかみきれなくって、とまどうところもありましたが、その訳の分からなさも含めて、おもしろい。タイトルと表紙が内容と合ってないのが残念でなりません。


 
 
 
 
2005年05月07日
エリザベス・ハンド(野田昌宏/訳)
『12(トゥエルヴ)モンキーズ』ハヤカワ文庫SF

 ジェームズ・コールは囚人。懲役25年の刑に服しているところだ。コールは、少年時代に体験した空港での出来事が忘れられずにいた。殺害される男。叫ぶ女……。
 現在、地表は死のウィルスが蔓延しており、防護服なしには生きられない。その始まりは1996年。〈12匹の猿軍団(トゥエルヴ・モンキーズ)〉と自称する者たちによってまかれたウィルスは変異し、わずか1年で50億もの人々が死に絶えた。生き残った人々は密閉した地下都市で暮らしている。
 コールは、減刑とひきかえに任務を与えられる。過去に赴き、〈トゥエルヴ・モンキーズ〉の所在を確定するのだ。変異する前の純粋なウィルスを手に入れるために。しかし、1996年に送られたはずが、ついた先は1990年。コールは精神病院に入れられてしまった。
 〈トゥエルヴ・モンキーズ〉とは?
 人類は助かるのか?

 典型的なガジェットSF。
 映画のノベライズ。そちらは未鑑賞です。
 映画じゃ俳優の演技を見ながらストーリーを追えるけれど、活字じゃ、そういうわけにはいかない。その分のフォローが必要になるんですけど、どうもその部分が弱いようで、物足りなさが残りました。

 
 

 
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