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2015年の記録
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このページの本たち
長崎ぶらぶら節』なかにし礼
時を生きる種族』ファンタスティック時間SF傑作選
ぼくが空を飛んだ日』ニッキー・シンガー
石の夢』ティム・パワーズ
陽炎ノ辻』佐伯泰英
 
オズワルド叔父さん』ロアルド・ダール
写楽百面相』泡坂妻夫
メデューサとの出会い』アーサー・C・クラーク
寒雷ノ坂』佐伯泰英
花芒ノ海』佐伯泰英

 
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2015年06月12日
なかにし礼
『長崎ぶらぶら節』文藝春秋

 サダは、長崎郊外の網場に生まれた。
 家は貧しく、いずれ奉公に出されることは分かっていた。問題は奉公先だ。芸なしでは、網場芸者になるしか道はない。網場芸者になるということは、相手かまわず身を売る芸者になるのと同じこと。
 サダは10歳になると、長崎の丸山は芸者置屋島田家に奉公にいくことが決まった。稽古してきた歌と三味線の腕が認められたのだ。
 そして17歳のとき、芸者となった。名前を愛八(あげはち)といった。
 愛八は美人ではない。だが、芸事の才能があった。並々ならぬ努力も重ねてきた。そのかいあって、丸山でも五本の指に入るほどの売れっ子芸者となっていった。
 愛八は、旦那持ちではあったが落籍されることもなく、歳を重ねていく。そんなある日、古賀十二郎と出会った。
 古賀は歴史研究家。長崎のことについては、東京の学者たちよりも詳しいのだと自負している。遊びにも通じている。芸者遊びのせいで、家業を傾けさせたほどだった。
 愛八は古賀に声をかけられる。埋もれている長崎の歌の発掘に協力してもらえまいか、と。
 そのとき古賀は破産状態。給料はでない。それでも愛八は了承した。なにしろ古賀に惚れていたのだ。
 ふたりは歌の採譜に奔走するが……。

 直木賞受賞作。
 セリフは長崎弁。注意して読めば意味は分かるので、多少、手が入っているのかもしれません。
 タイトルになっている「長崎ぶらぶら節」を見つけだす物語なのかと思いきや、長崎の歌を探し始めるのは中盤に入ってから。
 本作は、いわば愛八の半生記。
 その半生が、濃いいこと。愛八は、宵越しの金はもたない、という気っ風のいい人で、後先考えたりしない。苦労している子供を見ると、いても立ってもいられず援助してしまう。古賀を想うあまりに旦那と別れてしまったりも。
 なお、愛八も古賀も実在の人物。創作の部分もあるようですが、長崎の歌を採譜して「長崎ぶらぶら節」を世に紹介したのは史実だそうです。


 
 
 
 

2015年06月13日
ファンタスティック時間SF傑作選(中村 融/編)
ロバート・F・ヤング/マイケル・ムアコック/L・スプレイグ・ディ・キャンプ/ロバート・シルヴァーバーグ/フリッツ・ライバー/ミルドレッド・クリンガーマン/T・L・シャーレッド
(山田順子/中村融/浅倉久志/橋本輝幸/訳)
『時を生きる種族』創元SF文庫

 時間SFをテーマにしたアンソロジー。姉妹編に、ロマンティック時間SF傑作選の『時の娘』があり。

ロバート・F・ヤング(山田順子/訳)
「真鍮の都」
 マーカス・N・ビリングズは、自動マネキン会社の時間旅行員。時間を逆行し、歴史的重要人物を未来に連れていくのが仕事だ。
 今回のターゲットは、『千一夜物語』の伝説的語り手シェヘラザード。ビリングズは、スルタンのハーレムからシェヘラザードを連れ出すが、不運の連続。負傷し、タイムスレッドの故障でどことも知らない世界に出てしまう。
 シェヘラザードは、〈隔ての地〉を越えて魔人の世界に入ったのだと断言するが……。
 当作品は、後に長編『宰相の二番目の娘』になりました。
 先に長編を読んでいたのですが、短編版の方がひきしまっていて、好印象。ヤングは短編の方がうまい。

マイケル・ムアコック(中村融/訳)
「時を生きる種族」
 ブルーダーの大叔父は、先代の〈時の君主(クロナーク)〉だった。そのため、ランジス・リホの〈時の館〉における職務は自分のものだと思っていた。ところが、当代のクロナークによって拒まれてしまう。
 ランジス・リホを去ったブルーダーは西へと向かい、バーバートの街に辿り着く。バーバート人たちは、意味の分からない言葉を使っていた。時刻や、日や、週といったものだ。
 バーバートのことが理解できないブルーダーは、適切な時間外に公衆の面前で食事をした廉で告発されてしまうが……。
 はるかな未来の物語。
 ランジス・リホを立ち去ったブルーダーは黄昏れてますが、世界全体も黄昏れている雰囲気。明らかにSFですけれど、ファンタジー。
 まるで、ジャック・ヴァンスの世界のようでした。ムアコックはヴァンスの影響を受けた作家のひとりなので、さもありなん。

L・スプレイグ・ディ・キャンプ(中村融/訳)
「恐竜狩り」
 リヴァーズは、リヴァーズ&アイヤールの共同経営者。時間狩猟旅行を扱っている。
 リヴァーズはセリグマンという男を、なんとかして説得しようとしていた。彼の注文は、中生代後期の恐竜狩り。恐竜狩りに行けるのは、コンチネンタル600をあつかえるものだけ。
 セリグマンの体重は130ポンドそこそこ。コンチネンタル600を撃ったら、反動でひっくり返ってしまうだろう。
 リヴァーズはセリグマンに、不幸な事故について語って聞かすが……。
 リヴァーズの独白もの。自分のことを「あっし」と呼ぶ口調で、話し上手。登場人物たちの個性はつかみやすいし、展開も読みやすい。驚くようなことは起きないのですが、安心して読めました。

ロバート・シルヴァーバーグ(浅倉久志/訳)
「マグワンプ4」
 アル・ミラーは、ローンの返済延期をたのみこむため、友愛融資商会に電話をかけようとしていた。局番は、MUrray Hill。
 ところが、ダイヤルをMUの4まで回したところで、どこかに接続されてしまう。相手は、MUgwump4の通信監督官。戸惑っているうちにアルは、三人の男たちに拉致されてしまった。
 彼らの正体は、人類打倒をめざすミュータント秘密組織。
 アルの疑惑は晴れるものの、許されはしなかった。秘密を知りすぎたとして、時間遠心分離機にかけられてしまうが……。
 不運な目に遭った男の、哀れながらもコメディのような物語。

フリッツ・ライバー(中村融/訳)
「地獄堕ちの朝」
 バスターはホテルの寝室にいるとき、謎の女に声をかけられる。
 そのときバスターは、アルコール依存症に苦しんでいた。そしてホテルの寝室には、殺したか、あるいは死に追いやった人間がいた。バスターにはそのことが、どうしても思い出すことが出来ない。
 バスターは女に連れられ、部屋を出て行くが……。
 《改変戦争(チェンジウォー)》というシリーズものの一遍。時空を股にかけて〈蜘蛛(スパイダー)〉と〈蛇(スネーク)〉という二大勢力が覇権を争っています。バスターに声をかけたのは〈スパイダー〉のスカウトウーマン。
 分かったような、分からなかったような……。

ミルドレッド・クリンガーマン
(中村 融/橋本輝幸/訳)
「緑のベルベットの外套を買った日」
 メイヴィス・オハンロンは、臆病者。ヒューバート・ロッツェンハイザーと六年の婚約期間があったが、断ることができないまま、結婚する日が近づいてきていた。
 メイヴィスはデパートで、とても値が張るものを買うという失敗を犯してしまう。有り金をはたいたのは、緑のベルベットの外套。ヴィクトリア時代風の、着る機会のなさそうな品。
 落ち込んだメイヴィスは、お気に入りの古本屋〈隠れが書房〉へと足を運んだ。今日の戦利品は、裕福なアメリカの少女の手によるヨーロッパ旅行記。
 ところが、新しい店主のところへ本を持っていくと、店主は思いも寄らないことを口にして……。
 おしゃれなロマンティック系のタイムトラベルもの。
 メイヴィスは、心の内側では、めまぐるしく物事を考えています。でも、それを口にすることができない。そのあたりのやるせなさが迫ってきます。
 名品というのとはちょっと違いますが、うまいなぁ、と。

T・L・シャーレッド(中村 融/訳)
「努力」
 エド・レフコは、デトロイトにいた。バスが出るまで1時間ほどある。暇つぶしに選んだのは、映画館らしきところ。
 お代は10セント。期待はしていなかったが、古い映写機から映し出されたものに度肝を抜かれた。
 題名やクレジットはなし。プロデューサーの名前も、監督の名前もない。
 映し出されていたのは、1521年のメキシコ市。見事な出来映えの建築模型が空撮されていた。登場したのは、コルテスと、モンテスマの後継者クワーテモク。
 迫真の演技だった。ただ、映し方がよくない。
 エドは、軽い気持ちで興行主に声をかける。
 映画は実は、過去の、実際に起こった出来事を録画したものだった。
 エドは、機械を発明したマイク・ラビアダと意気投合するが……。
 エドの一人称で物語は展開していきます。
 ふたりがまずやったのは、脅迫。とにかく資金を作るため。そして、歴史超大作をひっさけで、ハリウッドに打って出ます。機械のことは秘密にして。
 物語の転換点にさしかかったとき、エドとマイクの強い結びつきが伝わってきました。それと同時に、ふたりの真の目的が明らかになります。これまでの出来事は、それをするためだったのか、と。
 それにしても、歴史超大作の数々、観てみたいものです。


 
 
 
 
2015年06月14日
ニッキー・シンガー(浅倉久志/訳)
『ぼくが空を飛んだ日』角川書店

 ロバート・ノーベルはクラスの落ちこぼれ。ひょろひょろで色白で、分厚いメガネをかけている。
 幼稚園のときには、綿毛っぽい髪の毛が黄色くて、ヒヨコと呼ばれていた。ジョナサン・ナイカーが転校してきてからは、ノーバート。のーたりんのノーバート。ブドウ事件から、そう呼ばれるようになった。
 ある日、学校で「お年よりプロジェクト」がはじまった。子供たちがメイフィールド養護ホームを訪問し、お年よりといろんな話をして、経験をわかちあう。
 ロバートは、エディス・ソレルの相手に選ばれた。
 まずは相手のことを知るところから。ロバートはエディスに話しかけるが、どんな質問にも答えは「いいえ」。
 ロバートは、死んでしまうぼくを救うために、なにかたいせつなことを教えてほしい、と訴える。するとエディスは思いがけないことを口走った。
 チャンス荘。てっぺんの部屋。セント・オーバンズ26。
 そこへ行ってくれ、と言う。断りきれないロバート。
 セント・オーバンズの町は車で2時間半。子供が簡単に行ける距離ではない。ロバートは悩むが、身近なところでチャンス荘を発見する。
 それは陰気な廃墟。セント・オーバンズではなく、町内のセント・オービンズ通りだったのだ。
 うわさによると、男の子がここで死んだのだという。その子のママは口ぐせのように、空でも飛べると言っていた。それで男の子は、マンションのてっぺんの部屋の窓をあけて、飛び出した。
 ロバートは、意を決してチャンス荘に足を踏み入れるが……。

 ノーベル家は母子家庭です。父親が出て行ったのが3年前。母親は仕事でほとんど家にいません。
 母親はロバートのことを心配していますが、いかんせん一緒に過ごす時間が短すぎて、どこか的外れな感じ。
 ロバートのユーモア・センスとか、がんばりとか、ナイカーとの関係の変化とか、徐々に明らかになるエディスの秘密などなど、読みどころ満載。
 とはいうものの、すごくひっかかるんです。
 ロバートはナイカーにいじめられているという設定ですが、実は、大人たちにいじめられているのではないか、と。
 エディスの体調が思わしくなくって、他のペアが順調に作業をしている最中でも、ロバートはひとりぼっち。なのに、まわりの大人は誰もロバートをサポートしようとしない!
 プロジェクトはロバートを無視して、どんどん進められてしまいます。ロバートは蚊帳の外。この疎外感たるや!
 ストーリーを先に進めるために、ロバートに自ら行動を起こさせるために、大人の介入を排除した結果だと思います。
 現実世界も同じなんでしょうね。第三者から見れば自明のことなのに、当事者たちはまるで気がつかない。
 別の意味で、感慨深い読書になりました。


 
 
 
 
2015年06月18日
ティム・パワーズ(浅井 修/訳)
『石の夢』上下巻/ハヤカワ文庫FT

 19世紀、英国。
 マイクル・クロフォードは産科医。妻を亡くし、今は独り身。
 クロフォードは宿屋の中庭で友人たちと、パーティに興じていた。明日には、ジュリア・カーモディ嬢と結婚する。独身最後のばか騒ぎ。
 クロフォードは手にした結婚指輪を、なくしてはいけないと、酒に酔った頭で考えた。ちょうど馬屋の裏壁の横に、白い等身大の裸婦像がある。
 ほんの一時、あずけるだけのつもりだった。彫像の左手は、手招きするようにあげられている。その指に指輪をはめたのだ。
 実は、それは眠りについていた石の種族。聖書でネピリムと呼ばれる、古代の一族だった。クロフォードは指輪を捧げたことにより、彼女と結婚したことになってしまう。
 しかし、クロフォードがそのことを知らされたのは、事件が起こったあと。指輪が行方不明になり、いい知れぬ恐怖を感じていたクロフォードだったが、予定どおり、翌日ジュリアと結婚式した。
 ところが、その夜ジュリアは、何者かに殺されてしまう。最初に発見したのはクロフォードだった。
 クロフォードが明け方に目覚めると、すぐとなりに寝ていたジュリアが、つぶれて赤くきらきらしている残骸と化していた。白い骨が裂けてつぶれた肉体からつきだし、血がいたるところにあった。
 疑われているのは、クロフォードただひとり。
 クロフォードは、前妻が火事で亡くなったときも噂をたてられている。このままこの地にとどまり拘留されてしまえば、絞首刑もまぬがれない。
 クロフォードは友人の手助けを得て、逃亡した。偽名を使い、海を渡るが……。

 石の種族、というのはいわゆる吸血鬼。
 クロフォードが主役ですが、バイロン卿も大きなウエイトを占めてます。バイロン卿もネピリムと接触があり、関係を絶ちたいと願っています。が、ネピリムが芸術的才能を授けてくれているため、なかなか手を切ることができない。
 クロフォードを姉の敵とつけねらうのが、ジョセフィン。ジュリアの妹です。この女性がなかなかホラー。
 自分が生まれたときに母が死んだため、責任を背負い込んでいて、自分を殺して生きてます。そのため、ときどき別の人格になってしまいます。その心の空白を、ネピリムに利用されてしまいます。

 物語は、おどろおどろしくて、なかなか進展していきません。
 おそらく、バイロン卿やパーシイ・シェリイ、ジョン・キーツといった実在の人物たちの行動を、史実と無理なくリンクさせるために、そうなってしまったのだろうと思います。
 冒頭では有名な、ディオダディ荘の怪奇談義(※)が出てきます。そういったことにニヤリとできる人は、すごくおもしろく読めるのではないかと思います。

 ※出席者は、バイロン卿と主治医のポリドーリ、友人のシェリイと後に妻となるメアリ、メアリの妹のクレアの5人。その夜のバイロン卿の提案が発端となって、『フランケンシュタイン』『吸血鬼』などの作品が生まれました。


 
 
 
 

2015年06月19日
佐伯泰英
『陽炎(かげろう)ノ辻』双葉文庫

居眠り磐音江戸双紙》シリーズ1
 坂崎磐音(いわね)は、豊後関前藩の中老・坂崎正睦の嫡男。
 剣術の師匠には、構えが、まるで春先の縁側で日向ぼっこをしている年寄り猫だと揶揄された。居眠り剣法だと。それでついたあだ名が居眠り磐音。
 磐音には、仲のいい幼なじみが2人いた。河出慎之輔と、小林琴平だ。琴平の妹・舞は慎之輔に嫁ぎ、もうひとりの妹・奈緒は磐音の許嫁。近々、祝言をあげることになっている。
 3人は、江戸でも行動を共にし、藩政改革を志す同志でもあった。揃って帰郷したその夜、事件は起こった。
 慎之輔が舞を手打ちにし、知らせを受けてかけつけた琴平が慎之輔を斬った。磐音は、琴平を成敗することになってしまう。
 発端は、根も葉もない噂だった。
 ただひとり生き残った磐音の心の傷は深い。豊後関前藩に暇乞いし、江戸に浪人として舞い戻った。
 暮らすのは、六間堀町の裏長屋、金兵衛長屋。
 浪人になったばかりの磐音には、仕事のあてはない。持参した金は使い果たし、家賃も滞りつつあった。
 見かねた大家の金兵衛が、磐音に仕事先を紹介してくれた。ただし、実際に雇われるかどうかは、磐音次第。
 ひとつは、北之橋前の鰻屋、宮戸川。ちょうど宮戸川では、鰻割きがひとり辞めたところ。磐音には、鰻捕りも鰻割きも経験がある。江戸のものとは手法が違うが、刃物の扱いのはお手のもの。採用となった。
 いまひとつは、両国西広小路の両替商今津屋の用心棒。今津屋には、金兵衛の娘おこんが、奥向き女中として務めている。その今津屋が、脅しにあっているのだという。
 磐音は金兵衛につれられて今津屋を訪れるが、用心棒は決定済み。丹石流の道場と話がまとまり、道場主石村集五郎の門弟衆が交代で詰めることになっているらしい。
 ところが、実際に狼藉者たちが現れると、用心棒たちは使い物にならなかった。実戦経験がなかったのだ。見かねた磐音は、居眠り剣法で賊を撃退する。
 かくして、用心棒として雇われることになるが……。

 第10代将軍、徳川家治の時代が舞台。田沼意次の財政改革真っただ中。新貨幣政策として南鐐二朱銀が新たに流通しはじめたところです。
 この南鐐二朱銀に、大多数の両替商は猛反発。今津屋は数少ない〈幕府の意向に従います派〉となってます。そのあたりが脅される原因。
 磐音は藩政改革をしようとしていたくらいなので、武士道以外のところにも知識も興味もあります。そのうえ剣の達人なので、もう至れり尽くせり。しかも、つい最近まで藩士だったので、今は貧乏浪人とはいえ、育ちのよさを醸し出してます。

 豊後関前藩での事件は、丸々1章使われてますが、位置づけとしては単なるエピソード。もっと短くまとめることもできたでしょうが、シリーズものなので、今後のことを考慮してきっちり書いたのだろうと思います。
 内面をくどくど吐露させたり、江戸時代の用語をいちいち説明したりがあまりないので、サクサク読めます。それがかえって物足りなくもあるのですが、軽いものが読みたいときにはいいかも。軽いといっても、けっこう血なまぐさいことやってますけどね。  


 
 
 
 

2015年06月20日
ロアルド・ダール(田村隆一/訳)
『オズワルド叔父さん』ハヤカワ・ミステリ文庫

 オズワルド・ヘンドリクス・コーネリアスは、17歳になったばかりのときケンブリッジ大学の奨学金を獲得した。しかし、入学できるのは18歳になってから。することのない12ヶ月をつかってオズワルドは、ある商売をはじめる。
 きっかけは、父の友人であるグラウト少佐から聞いた話。
 スーダンのある一部の地域に、ブリスター・ビートルという昆虫がいる。そいつを粉末にすると、世界中で最も強力な媚薬になる。
 オズワルドはスーダンに飛び、ブリスター・ビートルの粉末を大量に仕入れると、錠剤にしてひとつずつ包装した。
 オズワルドの商売は大成功。ついには10万ポンドという財産を得る。しかし、目標は100万ポンドだ。
 18歳になったオズワルドは、ケンブリッジで学び始める。
 個人指導教官のA・R・ウォレスリーは、ときには機知に富み、ときとして尊大だったり沈みこんだり、さまざまな態度が入り混じっていて、きわめて不可解な人物だった。オズワルドは彼のことが気に入り、楽しい師弟関係へと発展していく。
 あるときオズワルドは、ウォレスリーの未発表研究の成果を耳にする。それは、精子を生きたまま冷凍保存する方法。解凍すればいつでも使える。
 オズワルドは、ひらめいた。
 天才や国王の精液を回収、冷凍保存し、金持ちの女性たちに売りさばくのだ。オズワルドは、性的魅力にあふれる女友達ヤズミン・ホーカムリイを巻き込み、精液を集め出す。
 手法はいたって簡単。ヤズミンがターゲットにブリスター・ビートルを飲ませ、精液を回収する。そのための段取りはオズワルドがつける。機材の用意はウォレスリーが行う。
 かくして、オズワルドとヤズミンのヨーロッパ旅行がはじまるが……。

 ある人物が手に入れた、叔父のオズワルドの日記、という体裁。
 ターゲットにしたのは、ルノワール、モネ、マチス、ムンク、ピカソ、フロイト、プッチーニ……などなど大勢の天才たち。これから注目されそうな若手有望株。そして、国王たち。
 すごく下品でありえない話が、あっけらかんと、おもしろおかしく展開していきます。物語の大半を占めるのは、精液あつめ。
 途中、このオズワルドというお兄ちゃんは、人に指図だけして自分ではなにもしない人だ、ということが分かります。その気づきが結末につながっていくので、読後感はすっきり。
 こういう話をかける人って、あまりいないよなぁ、


 
 
 
 

2015年06月23日
泡坂妻夫
『写楽百面相』新潮文庫

 寛政6年(1794年)。
 花屋二三(にさ)は『俳風柳多留』で知られた本屋、星運堂の跡取り息子。出不精の父に代わり、挨拶回りにも余念がない。
 二三には、贔屓にしている芸者がいた。橘町の卯兵衛(うへえ)だ。
 卯兵衛は元はと言えば、吉原の遊女。二三は、卯兵衛が吉原にいたころから通っており、年季が明けたら所帯を持ちたいと申し入れていた。そのとき卯兵衛からは、約束した人がいるからと断られている。
 ところが卯兵衛は、男の稼ぎだけでは暮らせず転び芸者となっていたのだ。二三は、まだ卯兵衛のことがあきらめきれずにいる。
 そんな折、卯兵衛と飲んでいた二三は、広げられた屏風の絵に目を留めた。描かれていたのは、二代目尾上菊五郎。菊五郎が扮装した女そのままを描き切った、衝撃的な肉筆画だった。
 数日後、二三は、卯兵衛が行方知れずになっていることを知る。一緒に、あの絵も消えていた。
 二三は、少ない手がかりから卯兵衛の行方を追うが、卯兵衛は、死体となって発見される。致命傷は、首の刀傷。どうやら覚悟の自害だったらしい。
 亡くなった卯兵衛の胸元には、あの絵がしまわれていた。
 卯兵衛はなぜ死んだのか?

 卯兵衛の謎、謎の絵師の正体と、ミステリ仕立て。
 二三は、贔屓にしていた女のことを知りたいと、いろいろと探りを入れます。ただ、気迫はなく、淡々としてます。
 謎の絵師については、冒頭の肉筆画以外の情報はなく、ほとんど忘れられているような扱い。風向きが変わるのは中盤に入ってから。
 二三は地本問屋蔦屋重三郎に、ある本の披露会に招待されます。出席者は文化人たちだけでなく、なんと、老中を退いた松平定信の姿も。これはびっくり。

 本書の執筆動機の第一に、東洲斎写楽が誰だったのか、というのがあったと思います。ただ、それは後世の人の謎であって、同時代人の二三がこだわっているのには不自然さを感じてしまいました。


 
 
 
 

2015年06月28日
アーサー・C・クラーク
(中村 融/編)
(酒井昭伸/中村 融/南山 宏/浅倉久志/伊藤典夫/訳)
『メデューサとの出会い』ハヤカワ文庫SF1730

《ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク3》
 傑作短編集の第三弾。
 1960〜1971年に発表された14作品と、1964年〜1993年にかけて発表された4つのエッセイなど。7作品が、短編集『太陽からの風』とかぶってます。

「イカルスの夏」(酒井昭伸/訳)
 コリン・シェラードは、小惑星〈イカルス〉で立往生してしまった。母船〈プロメテウス〉からスペース・ポッドで渡ったものの、ポットが故障してしまったのだ。
 〈イカルス〉が突進している先には太陽がある。近日点まであと1週間の距離。昼間の温度はすでに摂氏500度を越えている。無線も通じず、このまま朝になればシェラードは焼き殺されてしまう。
 シェラードはなんとか助かろうとするが……。
 冷静になったり、パニックに陥ったり、混乱をなんとか抑えようとしたり。クラークのこの手の感情処理は読み応えがあります。

「彗星の核へ」(酒井昭伸/訳)
 ジョージ・タケオ・ピケットは、宇宙船〈チャレンジャー〉に乗船していた。本職は報道記者。だが、〈チャレンジャー〉に無駄な人員を乗せる余地などはなく、雑用係もこなしている。
 このたび〈チャレンジャー〉が調査をするのは、ランドル彗星。〈チャレンジャー〉が彗星の核に潜りこんでいったとき、それは起こった。
 コンピュータが狂ってしまったのだ。航路計算はおろか、簡単な四則計算すらできない。電波障害で地球との通信も叶わず、一行は絶望に見舞われるが……。
 ピケットが東洋系の人というのがポイント。
 彗星の核での科学的なわくわくドキドキは、脇役。コンピュータが狂ってしまったことに対する対処法がクローズアップされてます。

「土星は昇る」(酒井昭伸/訳)
 土星から帰還したばかりのエンジニアは、講演旅行にひっぱりだされていた。
 ミスター・パールマンに出会ったのは、シカゴでの講演のあと。朝食の席で話しかけられたのだ。宇宙マニアで、きゃしゃな作りの初老の男。それがミスター・パールマンだった。
 ミスター・パールマンは、子供のころからずっと土星があこがれの的だったと打ち明けるが……。
 エンジニアの語りが繰り広げられます。一人称というより、誰かにはなしている感じ。それがオチにつながってます。成功する人はちがうんだな、と。

「未踏のエデン」(酒井昭伸/訳)
 金星を走るホバージェットには、3人の男たちが乗っていた。ジェリーが運転し、科学者のハッチンズとコールマンは観察に余念がない。
 双眼鏡でハッチンズが、水の涸れた滝のあとを発見した。ホバージェットでは断層崖を越えることはできない。
 ジェリーとハッチンズは、コールマンを留守番にして、断層崖を歩いて登っていく。たどり着いた先に広がっていたのは、湖だった。しかもふたりは、植物を発見するが……。
 こ、このオチは、茶目っ気というか、ギャグというか。
 それまでの出来事がすべてぶっとびました。

「憎悪」(中村融/訳)
 ティボルは潜水夫。グレート・バリア・リーフで真珠貝をとっている。ティボルは最近まで、ブダペストの人だった。ソ連によって、故郷を、家族を、同胞を失い、今でも悪夢を見ている。
 そんなある日ティボルは海底で、難破船らしきものを発見した。その正体は、ソ連のテクノロジーがもっとも誇りとする、スプートニクのカプセル。落ちる場所を誤ったらしい。
 ティボルは、乗組員が生きていることに気がつくが……。
 タイトル通りの展開。主人公が心の闇を抱えていて、暗い方に暗い方にと展開していくのは、クラークにしては珍しく思います。

「ドッグ・スター」(南山宏/訳)
 ある日、道ばたにうずくまった仔犬を見つけた。動物好きではなかったが、放っておくことはできなかった。
 それがライカだった。
 ライカは、ドイツシェパードの血が95%がた入っている。どうやら、あとの5%のために捨てられたようだ。
 ライカとの日々が始まるが……。
 物語のはじまりは、月裏面にある天文台で、ライカの吠え声を耳にしたところから。それはライカであるはずがなく、なぜならば……という作品。
 宇宙SFコレクション『スペースマン』に掲載の「犬の星」と同じものです。

「メイルシュトレームII」(酒井昭伸/訳)
 月面で仕事をしていたクリフ・レイランドは、休暇で地球に帰ることになった。帰還のためにクリフが選んだのは、シャトルではなく貨物用カタパルト。快適ではないが、とにかく安いのだ。
 ところが事故が起こってしまう。
 クリフの乗ったカプセルは、射出速度不足に陥っていた。軌道修正ジェットも使えない。激突して果てるまで、残された時間は五時間ほど。
 クリフは覚悟を決めるが……。
 クリフは、月面で作物を育てるために派遣された農夫。そのため、科学的知識はそれほどありません。物語がすっきりしているのは、そのおかげだと思います。
 『太陽からの風』では「大渦巻II」として掲載されていました。

「きらめく生きもの」(浅倉久志/訳)
 クラウスは深海技術者。ソ連大使館からの電話で、セイロンに呼び出された。
 セイロンの深海には、クラウスが請け負った熱電発電設備がある。テスト運転の最中にトラブルが発生したらしい。
 調べてみると、いちばん深いところのグリッドそのものが切断されていた。サボタージュ説まで飛び出す中、クラウスは調査を開始するが……。
 宇宙と同時にクラークが好きな海洋もの。
 『太陽からの風』には「輝くもの」として掲載されていました。

「秘密」(浅倉久志/訳)
 ヘンリー・クーパーは、科学記者。国連宇宙行政局の依頼で二度目の月世界一周の最中だ。
 クーパーの取材も二週間が経ち、なにかが変だと気がつく。前回は友好的だった医学研究所が、どうもよそよそしい。上層部の連中ほど雰囲気が冷たいようだ。
 クーパーは警察長官にも相談するが、長官も心当たりはないらしい。彼らはなにを隠しているのか?
 月ではそういうこともあり得るのではないか、というストレートな作品。

「太陽からの風」(酒井昭伸/訳)
 ジョン・マートンは、宇宙船の開発にたずさわる傍ら、太陽光(ソーラー)ヨットの普及に尽力していた。宇宙のヨットは巨大な帆を使い、太陽から吹いてくる光の輻射を受けとめる。
 人が住む四つの居住世界を合わせても、ソーラー・ヨットを駆れる者はわずか20人たらず。その全員が集い、レースが始まろうとしていた。
 マートンは単身〈ダイアナ〉に乗りこみ、勝負に挑むが……。
 なんとも美しい話。
 ソーラー・ヨットに燃料はいりませんが、推進は太陽に左右されます。太陽の活動周期から、マートンには自分にとってこれが最後のレースと分かってる。そのため達観していて、静かな中に熱いものがある状態。
 絶品。
 『太陽からの風』では表題作になりました。

「神々の糧」(酒井昭伸/訳)
 科学技術が進み、人々は肉を食べなくなった。代わりに食するのは、人造食品。
 このたび〈三惑星フーズ・コーポレーション〉が発売した〈神々の糧(アンブロシア)プラス〉が、一夜にして大ヒット。それ以外の食品は市場から一掃されてしまった。
 ライバル会社が告発するが……。
 議員たちが列席していると思われる委員会での証言だけで物語は展開していきます。証言というより、演説。
 神々の糧の正体とは?
 『太陽からの風』にも掲載されています。 

「無慈悲な空」(浅倉久志/訳)
 ジョージ・ハーパーは、応用物理部の下級コンピューター・プログラマ。対するジュールズ・エルウィン博士は研究部長。
 ふたりを結びつけたのは、エベレストの観光ポスターだった。
 エベレストは誰もが登頂できる観光地。ハーバーも登ったことがある。しかし、エルウィン博士にとっては途方もなく遠いところだった。
 博士はサリドマイド禍の犠牲者のひとり。両脚は使い物にならない。それゆえ、エベレストに憧れた。
 ハーパーは、機械を使う博士をサポートし、頂上を目指すが……。
 トラブルが発生して遭難するんですけど、その遭難後がメイン。いくら観光地化していても、山は怖いですね。
 『太陽からの風』にも掲載されています。

「地球太陽面通過」(伊藤典夫/訳)
 1984年、太陽と地球と火星とが一直線に並ぶ。エヴァンスは、その瞬間を観測しようとしていた。
 このとき火星にいるのは、エヴァンスただひとり。
 地球を出発したとき、オリンパス号には15人の乗組員がいた。そのうち火星に降り立ったのは、5人。ところが事故が発生し、オリンパス号に帰還できなくなってしまった。
 仲間たちはエヴァンスに酸素を譲り、息絶えた。そのエヴァンスの命も、もう長くはない。最後の務めと、地球が太陽面を通過する様子を観察するが……。
 絶望的な状況の中、音楽を聴きながら最期の時を迎えようとするエヴァンス。すでに覚悟を決めているけれど、正気でいられたのはミッションがあったからなんでしょうねぇ。
 『太陽からの風』にも掲載されています。そのときのタイトルは「地球の太陽面通過」でした。

「メデューサとの出会い」(伊藤典夫/訳)
 ハワード・ファルコンは人類史上最大の飛行船の試験飛行中に事故に遭ってしまった。飛行船は墜落したものの、ファルコンはかろうじて生き延びる。
 それから10年。
 ファルコンが挑戦するのは、気球による木星の調査飛行。人類初の試みだ。木星を飛ぶファルコンは、いままで聞いたことのない異様な音をとらえるが……。
 まとまった文量のある作品。ファルコンは、10年前の事故がトラウマになっているけれども、それでもなお冒険せずにいられない。
 『太陽からの風』にも掲載されています。

 その他の収録エッセイは以下の通り。
「グレート・リーフ」(中村融/訳)
「五感以上」(中村融/訳)
「バック・トゥ・2001」(中村融/訳)
「信条」(中村融/訳)


 
 
 
 

2015年07月03日
佐伯泰英
『寒雷ノ坂』双葉文庫

居眠り磐音江戸双紙》シリーズ2
 坂崎磐音(いわね)は、元・豊後関前藩士。今では、江戸は六間堀町の裏長屋、金兵衛長屋に暮らす浪人の身。
 磐音は刀傷を受けたおかげで仕事ができなくなってしまう。それから1ヶ月。ようやく怪我が治ろうかというころ、品川柳次郎に声をかけられた。
 日本橋と高井戸宿の間に、内藤新宿がある。江戸の町の拡大に伴い再興された、あたらしい町だ。内藤新宿では、金貸しの黒木屋左兵衛と、新場の卓造が縄張り争いの真っ最中。
 両陣営が、喧嘩の助っ人を募っていた。品川は口は達者だが、剣術はいまひとつ。そこで、剣の達人の磐音に声をかけたらしい。
 磐音らは、黒木屋左兵衛に雇われることになるが……。

 今作で、南町の年番方与力、笹塚孫一が新登場。
 笹塚は、金儲けに敏感。金のためならば、多少のことには目をつぶってくれます。ただ、私腹を肥やしているのではなく、捜査にはなにかと金がかかるので、その資金に当てるため。
 立ち位置としては、磐音の味方。融通がきくので、今後とも活躍しそうな存在感でした。

 今回は、連作短編集のような構成でした。
 ・内藤新宿でのあれこれ。
 ・楊弓場、金的銀的での用心棒家業。
 ・明石屋参左兵衛に頼まれた、愛人の浮気調査。
 ・両替商今津屋の用心棒稼業、ふたたび。
 ・恩人の幸吉の誘拐事件。
 その狭間にちょこちょこと顔を出すのが、豊後関前藩のこと。磐音が関わったあの事件は、実は陰謀でした、と。そちらの方の進展は、あるような、ないような。

 磐音は、のどかな雰囲気でひょうひょうとしているのですが、悪人を前にすると、ためらうことなく斬り殺してしまいます。そんなところが、時代ものならでは。
 ひとつのエピソードが長くないこともあって、やや物足りなさはあるのですが、登場人物の個性がしっかりしてきて、安心して読めました。


 
 
 
 

2015年07月04日
佐伯泰英
『花芒ノ海』双葉文庫

居眠り磐音江戸双紙》シリーズ3
 坂崎磐音(いわね)は、元・豊後関前藩士。今では、江戸は六間堀町の裏長屋、金兵衛長屋に暮らす浪人の身。
 磐音の胸の中に黒々と横たわっているのは、自身が藩を出ることとなった国許での大事件。そして、磐音の朋輩だった上野伊織が殺されたこと。
 伊織は、守旧派宍戸一派の不正をさぐろうとしていた。あの大事件も、宍戸派が仕組んだものであるらしい。
 そんなある日磐音は、豊後関前藩の急使の仁助から、聞き捨てならない噂を耳にする。ちょうど藩主福坂実高が、参勤交代で江戸にむかっているところ。その留守の間に、人事が大幅に刷新されるとの噂が流れているらしい。
 指揮をとるのは、国家老の宍戸文六。そして、磐音の父、坂崎正睦は蟄居閉門の憂き目に遭っているという。
 正睦は藩主の信頼厚く、藩の財政改革に着手していた。そのために、既得権益を守ろうとする宍戸に目をつけられてしまったのだ。このままでは、濡れ衣を着せられて切腹させられるかもしれない。
 磐音は急ぎ帰国するが……。

 本作では、豊後関前藩でのあれこれが主題。
 ただ、律儀な磐音は、借りを返したり、江戸でお世話になったひとたちに挨拶したり、助けを求められたり、で、豊後関前藩に入るのは後半になってから。
 一貫して、豊後関前藩にはびこる輩をなんとかするんだ、という強い想いがあるので、物語としてはまとまってます。ただ、やはり決着があっけない。軽く読めるエンターテイメントを貫いた、といったところでしょうか。

 
 

 
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