書的独話

 
2014年のひとりごと
01月01日 展望、2014年
01月25日 惜しい!
02月01日 2013年、ベスト
02月15日 過去をふりかえる
08月02日 大河から沼地へ
12月31日 総括、2014年

 



 
 
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2014年02月01日
2013年、ベスト
 

 毎月コツコツ読むはずが、然うは問屋が卸さない状態だった2013年。グダグダながらも、それなりにおもしろ本と出会えたのは不幸中の幸いか。
 そんなこんなで、2013年に読んだ本ベストは、こちら。

ピアズ・アンソニイ
カメレオンの呪文
 ザンスで生まれた者は、誰もが独自の魔法の力を持っている。ところがビンクは、なんの魔法も見せることができずにいた。このままでは、マンダニアへと追放になってしまう。ビンクは、自身の魔法の力を知るため旅立つが……。
 大長編となった《魔法の国ザンス》シリーズは、当初、三部作として計画されたそうです。そして、すべての始まりは、この1冊から。
 《魔法の国ザンス》シリーズは今のところ17巻まで読んでます。毎回なかなかに楽しめる内容なのですが、パターンにはまってしまってたり、つなぎの1冊、といった読後感が残ってしまうものがあるのも確か。それでもなお、次作も読んでみようと思えるのは、記念すべき1冊目のすばらしさゆえ。  予想外の展開の連続は、圧巻の一言でした。
 なお、三部作のあと2冊は『魔王の聖域』と『ルーグナ城の秘密』です。

フィリップ・リーヴ
アーサー王ここに眠る
 グウィナは農場で働いていた。平穏な暮らしだったが、アーサーが率いる戦団に襲われ、農場は炎上してしまう。身よりのないグウィナをひろったのは、吟遊詩人のミルディンだった。ミルディンはアーサーのため、評判を高める物語をつくっているところ。グウィナは、男の子グウィンとして、ミルディンに仕えるが……。
 イギリスのアーサー王伝説を下敷きした物語。
 アーサー王伝説については、それなりに知ってはいましたが、まとまって読んだ記憶はありませんでした。そこで、本書に先立って、とりあえず読んでおいたのがトマス・ブルフィンチ『新訳 アーサー王物語』。それが役に立ったかどうかは……?
 児童書とはいえ波瀾万丈なグヴィナの半生は読み応え抜群。フィリップ・リーヴは《移動都市クロニクル》シリーズも面白くて、第一作『移動都市』は2007年のベストにも挙げました。今後も注目していきたい作家さんです。

ブランドン・サンダースン
ミストボーン −霧の落とし子−
 支配王によって統治されている〈終の帝国〉では、貴族たちが奴隷階級の民〈スカー〉を使役し、富を享受していた。稀なる能力を得た盗賊団の首領ケルシャーは〈スカー〉による革命を企て、仲間たちを鼓舞するが……。
 《ミストボーン・トリロジー》三部作の一作目。
 一作目が3分冊という文量。かっちりした世界設定と、しっかりした登場人物と、がっちりしてる展開。すごいの一言。二作目の『ミストスピリット −霧のうつし身−』も、一作目の結末を受けながらも新展開で、すごい作家さんだな、と。
 とはいえ、翻訳紹介されるときには、文庫から、なんですよね。もう少しすると、大御所みたいにハードカバーで出版されたのち文庫落ち、というパターンに組み込まれるのか。
 本書の濃厚ぶりは、今からでもハードカバーで読みたいような……。(置き場所に困りそうですけど)

マイクル・コーニイ
パラークシの記憶
 先祖の記憶を持ってうまれてくるスティルクたちは、自分の記憶も後世に受け継がれることを意識している。そのため、犯罪などはまず起こらない。ところが、海辺の村ノスで、内陸の村ノスの男長の兄ブルーノが他殺体となった発見された。ブルーノの息子ハーディは、ノスの男長の息子カフを犯人だと告発してしまうが……。
 2008年のベストに入れていた『ハローサマー、グッドバイ』の続編。当時から、いよいよ続編が翻訳される、と騒がれていましたが、2013年になってようやく出版されました。
 実は、自分のベストに入れるかどうかで迷いました。もう少し若い世代向けということもあって、大満足かと言えば、そうとも言えない。でも、本書を読んでしまうと『ハローサマー、グッドバイ』は、序章のようなものだったんだな、と。そうなると、序章をベストにして本編をベストにしないのもはばかれる気がして……。
 うなる一冊であることは確かですが。

 そして、ベストにするかどうか逡巡してしまったのが、こちら。

コニー・ウィリス
ブラック・アウト
オール・クリア
 オックスフォード大学の航時史学生たち3人は、調査のため別々に1940年へと旅立った。それぞれ、第二次大戦下のロンドン大空襲を、郊外の領主館で疎開のようすを、ダンケルク撤退を調べていたが、トラブルが発生してしまう。降下点が開かず、現代に帰れなくなってしまったのだ。3人は、同じ時代に来ているはずの仲間と合流しようとするが……。
 過酷な状況下でもユーモアを忘れず、ウィリス得意のすれ違いの連続も絶好調。時間が関わるだけに複雑で、ハラハラしたり、ドキドキしたり、ワクワクしたり。
 名作、だとは思いますよ。思うんですけど、とにかく長い。長過ぎる。
 全体で、原稿用紙3500枚分だそうな。
 実績のあるコニー・ウィリスだから、3500枚でも許されたんでしょうね、きっと。新人さんだったら、2000枚か、ヘタしたら1000枚くらいに削られていたでしょうね、おそらく。


 

 
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