書的独話

 
2017年のひとりごと
01月01日 展望、2017年
01月08日 2016年、ベスト
06月30日 中間報告、2017年
07月12日 後出しの幸い
08月13日 180日の隔壁
09月18日 天国と地獄と煉獄と
12月31日 総括、2017年(準備中)
 



 
 
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2017年01月08日
2016年、ベスト
 

 読了本80冊で終わってしまった2016年。
 案の定「この1冊!」というものとは出会えず。とはいうものの、気になる本はありました。今回は、気になる本のみを2016年に読んだ本ベストとしてご紹介します。

ピエール・ルメートル
その女アレックス
 街角で女が誘拐された。捜査の指揮をとるのは、4年前の誘拐惨殺事件で妻子を救えなかったカミーユ・ヴェルーヴェン。目撃者は少なく、被害者の身元すらなかなか掴めない。4日後、ついに犯人の目星がつくが……。
 出版は2014年。当時「週刊文春2014年ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」「IN POCKET文庫翻訳ミステリー」の各所で1位を獲得してました。
 誘拐された女アレックスが実は……という、どこまで書いていいんだか困る系のミステリ。後から、あの言動はそういうことだったんだ、と分かってくるのが楽しかったです。

ニール・ゲイマン
スターダスト
 トリストランは恋するヴィクトリアを想うあまり、流れ星を拾ってくる約束をしてしまう。落ちた星を求めて不思議な者たちが住まう世界を旅するトリストラン。そして同じように、王国の相続権を得るために、3人の王子は前王の放ったトパーズを追いかける。また、己のために星の心臓を狙う魔女リリムは罠を仕掛けて待ち構える。トリストランは星を持ち帰れるのか?
 ただただ美しく、詩のような物語でした。いろんなものが絡まりあって……まぁ、ちょっとそのままになってしまっていることもありましたけど。
 2007年に映画化されているんですよねぇ。観たいような、観たくないような……。

スティーヴ・ハミルトン
解錠師
 マイクル28歳、刑務所にて服役中。
 マイクルは8歳のとき、悲惨な事件の主人公となった。それ以来、一語もことばを発することができずにいる。成長したマイクルは、プロの解錠師になっていた。雇われて、犯罪に手を貸すが……。

 出版は2012年。当時「このミステリーがすごい!2013海外編」「週刊文春海外ミステリーベストテン海外部門」の各所で1位を獲得してました。
 作中、3つの時間が流れていく、ちょっと珍しいタイプの物語でした。刑務所に入っているマイクル、ブロの解錠師になるまでのマイクル、仕事をはじめてから刑務所に入るまでのマイクル。
 それぞれの時間軸をばらしてつなぎ直すと、きちんと1本の線になっている、というのを確かめたくて、行きつ戻りつしながら読んでいました。

マイクル・コーニイ
ブロントメク!
 風光明媚な惑星アルカディアは、とても大きな問題を抱えていた。そのために人口は減り続け、経済が廻らなくなりつつあった。そんなアルカディアに、超巨大企業へザリントン機構が手を差し伸べてくる。だがそれは、住民もろともへザリントンの所有物になるということ。人びとは機構に反発するが……。
 英国SF協会賞受賞作。
 コーニイの作品って、読むたびにこれまでで一番おもしろい、と思うのです。2013年に『パラークシの記憶』をベストにした理由が、2008年に『ハローサマー、グッドバイ』をベストに挙げたからでした。
 本作もベストにせざるを得ない……。
 
ネヴィル・シュート
パイド・パイパー 自由への越境
 1940年。イギリス人のハワードは南フランスで静養中、ダンケルク大撤退作戦を耳にして帰国を決意。親しくなったイギリス人の子供ふたりを連れてイギリスを目指すが、戦況は悪化の一途。汽車の運行はままならず、バスはドイツ空軍の機銃掃射を受けて立往生。
 老人と子供たちの大冒険がはじまるが……。

 異色のロードノベル。主人公のハワードは次々と困難に巻き込まれます。なにしろ、たとえ平時であったとしても予測不能な子供たちとの旅。その苦労たるや!
 対するハワードは、なが〜い人生経験をきちんと生かせる人物。子供相手にあせってもろくな結果にならないことをよく分かった上で行動します。そういうハワードの特性ゆえ、どこか暖かい。  


 

 
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