書的独話

 
2017年のひとりごと
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08月13日 180日の隔壁
09月18日 天国と地獄と煉獄と
10月14日 ときには解説も
12月31日 総括、2017年
 



 
 
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2017年10月14日
ときには解説も
 

 解説って、読んだり読まなかったり。
 読んでも、ナナメ読みしていたり。じゃあいらないか、と言えばそんなことはなく。載ってないと、なんだかさびしいんですよね。
 勝手なものですが。

 問題作と呼ばれていた本を、ついに読みました。

 ウィリアム・コッツウィンクル
 『ドクター・ラット
 大学の実験室で狂気に追いやられたドクター・ラット。スローガンは、死こそ解放なり。ドクター・ラットは、仲間たちに助言を与え、励まし、心の支えとなってやっていた。
 そんなある日、研究室にやってきた野良犬たちが、危険なプロパガンダを放送しはじめる。扇動的なイメージのおかげで
研究室は、革命的な感情でざわめく始末。ついに実験動物たちは蜂起する。
 事態を収めようと、ドクター・ラットは孤軍奮闘するが……。

 言うなれば、どう考えればいいのか分からない本。
 そういうとき、あとがきが読みたくなります。物語にかかわる誰かの言葉を確認したくなる。
 そして読んだ、訳者あとがき。

 82年に、作者は映画〈E.T.〉のノベライゼーションを発表。内容面で映画を超えているとまでいわれ、日本でもベストセラーとなりましたが、

 とありました。
 気がつかなかったなぁ。「E.T.」は知っているけれど、ノベライズをコッツウィンクルが書いていたんだ。という以前に、ノベライズあったんだ。
 正直言うと、ノベライズものって苦手なのです。たまに読んでは、もやもやしてしまう。おそらく、映像と文字で得意とする表現手法が違うから。

 でも、超えているとまで言われているものを読まないわけにはまいりません。

 というわけで『ドクター・ラット』は置いといて、コッツウィンクルの『E.T.』を買いに走ったのでした。

 ウィリアム・コッツウィンクル
 『E.T.
 秘密裏に地球を訪れていた異星人たちだったが、地球人たちに見つかってしまった。宇宙船が緊急発進したため、ひとりが取り残されてしまう。
 彼は、隠れているところを少年エリオットに見つけられ、匿われた。エリオットと交流するうち、仲間たちにメッセージを送ることを思いつくが……。

 映画の公開が1982年。そのころも鑑賞しましたし、20周年特別版も同じ。だから、だいたいのところは分かってます。
 印象に残っているシーンもたくさん。
 エリオットがピザを踏んづけてしまうところ。惑星の模型が宙に浮かぶ不思議さ。解剖用カエルを逃がしてしまう騒動。自転車で空を疾走するときにかかっていた音楽。

 それから15年ほどがたっています。かなり記憶が薄れているようです。そのせいもあるのか、おどろいたのが、エリオットの母メリーの存在感。

 シングルマザーで苦労しているのは伝わってました。とはいえ、メリーは脇役のひとりに過ぎません。それほどクローズアップはされてなかったように思います。
 それが、こまかく揺れ動く心のうちまで、しっかり書かれているとは。
 別の女のところに行ってしまった旦那への恨みつらみ。好き勝手している子供たちへのいらだち。理不尽な会社の上司への怒り。新たな出会いを夢想してしまう寂しさ。

 確かに、映画を超えている。
 これは、もう一度、映画「E.T.」を観なくては!

 ところで、文中で〈E.T.〉が大絶賛していたチョコレート、はっきりとは書かれていないのですが、M&M'sのようでした。なんでも映画では、M&M'sに使用を断られたため、ハーシーのチョコを使ったとか。
 ノベライズを書いたころには、まだM&M'sの予定だったんでしょうね。そのあたりも確認したくなりました。

 たまには、ノベライズもいいですね。
 そして、ときには解説も読むべきですね。


 

 
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