『悪魔のハンマー』は、彗星の衝突による文明崩壊もの。登場人物たちそれぞれの日常をつづる前半。そこから、彗星の到来と破壊されていく文明のようすをへて、後半で、生き残った人々のそれからを描きます。
序盤で、ふと、スティーヴン・キングを思いだしました。正確には、キングのホラー小説につけられた解説を。キングの物語がこわいのは、なんでもない日常が丹念に書かれているからだ、といったことだったと記憶してます。(うろ覚えだけど)
ということは、この後に恐怖がくるわけか〜。
と意味もなく分析しながら読み進めて、どこかで読んだことがあるぞ、こんなはなし……と、心をさまよわせているうちにたどりついたのが、
アイザック・アシモフ&ロバート・シルヴァーバーグ『夜来たる[長編版]』
太陽が六つある関係で、夜というものを知らずに繁栄していた惑星カルガッシュ。この惑星に、2000年に一度の夜がやってくる。天文学者は夜の到来を予測し、警告するが……。
そうか、あんな感じか〜。
とはいえ、『夜来たる[長編版]』の登場人物たちは地球人ではないので、微妙な差はありますけど。
実際に彗星が衝突し始めると、映画のワンシーンがばばばと浮かんで、ああ、集中できてない。
おそらく「ディープ・インパクト」の一場面だと思うんですけど、あちらは、 フィリップ・ワイリー&エドウィン・バーマー『地球最後の日』と、アーサー・C・クラーク『神々の鉄槌』のかけ合わせらしいので、本作とは関係ありません。とはいえ、同じ設定だと、同じような展開になるんですよね。で、映像も同じようになるから、連想として思い浮かべちゃう。
でも、最終的に考えていたのは、どれそれに似てるとか、そういうことではなく、共著者であるラリイ・ニーヴン自身による『リングワールド』。
G2型恒星のまわりをとりまく、未知のリング状の超巨大構築物“リング・ワールド”へ探検隊がおりたつが、存在していたはずの高度な文明は崩壊していた。
不測の事態により文明が維持できなくなることは想像できますけど、原始時代にまでもどっちゃうもんなのかなぁ、と疑問があって、しかも、文明崩壊後、何世代もたっているのに新たな文明が芽生えることもなく……。
ちょっとモヤモヤしていたのですけど、この本ですっきりしました。
そうそう、文明人はへこたれないのだ。