望んではいなかった冒険で魔法の指輪を手に入れた、ビルボ・バギンズ。(『ホビットの冒険』がその冒険の記録)やがて指輪は、いとこにして養子のフロド・バギンズに譲られる。そして明らかにされる、指輪の正体。
かつて中つ国に暗黒時代をもたらし、人間の王イシルドゥアによって滅ぼされた冥王サウロン。ふたたびその力を盛り返しモルドールに戻ったサウロンは、フロドの持つ指輪を欲していた。なぜなら指輪には、サウロンの力の大きな部分を吹きこんであったから。
エルフ族が持つ三つの指輪。
ドワーフ族が持つ七つの指輪。
人の子が持つ九つの指輪。
それらすべてを支配する、冥王サウロンの指輪。
フロドは、魔法使いガンダルフに促され、ひそかに生まれ故郷を後にする。迫る刺客。エルフたちの忠告。古森の恐怖。
道中、野伏の馳夫という道連れができ、守られ、傷つきながらも、目指す裂け谷にたどりつく。連絡のとれなかったガンダルフとも再開を果たした。しかし、旅は終わりではなかった。
指輪が冥王サウロンの手に渡れば、暗黒時代が始まってしまう。かといって、用いるものを堕落させる指輪を使うことはできない。指輪は滅ぼさねばならないのだ。完全に。その方法はただ一つ。指輪がつくられた火の山に、モルドールの滅びの亀裂に指輪を投げこむのだ。
仲間たちと共に、フロドは旅立った。
指輪物語というと、最近映画化されて話題になりました。まだ第一部しか観ていませんが、風景にも役者にも不満はなく、楽しいひとときを過ごさせてもらいました。むろん違和感もなし。
でも、こうして改めて読んでみると、やっぱり原作の方が……というのが正直なところ。イメージに合ってると思っていた役者たちの顔すら、活字になると当てはまらないから不思議です。
再読して、最初とまったくちがう印象を残したのが、王の末裔アラゴルンと、半エルフ・エルロンドの娘アルウェンとの恋物語。
初読時には、物語を追うだけでアップアップ状態だったんでしょうねぇ。二人の結末を知っているうえで読むと、随所に仄めかされていて、びっくりです。
こんなあからさまに書かれていて、なんで気がつかなかったのだろう???
またしばらく時間をおいて、それから読むと、まったく別の面に目を奪われそうです。まだまだ語り尽くせない名作です。