谷 甲州『凍樹の森』
日露戦争から生還した美川梗次郎は、生活のために猟師となった。腕はよかった。しかし、中国大陸へと渡り、猟師では食べて行けなくなってしまう。そこへ、かつての上官武藤が現れる。美川は、戦死したと思われていた加瀬らと共に、ロシアの活動家ソコロフの救出作戦に従事することになるが……。
骨太な一冊。ただ、「愛読書」に入れたためベストから外れた谷甲州『天を越える旅人』の身代わり……という感じがしないわけでもなかったりして。なにぶん長いはなしなので、手元にはあるものの、なかなか再読できず。関連書として、新田次郎『八甲田山死の彷徨』を読みました。
逢坂 剛『百舌の叫ぶ夜』
男は、発見されたとき記憶を失っていた。やがて妹と名のる女性に身元を確認されるが、帰宅途中、その妹に殺されそうになってしまう。自分はいったい何者なのか?
おそらく再読。入り組んだ良質なミステリ作品で、さすがは逢坂剛。何度も読んだものですから、カバーがボロボロになってしまいました。読書時にカバーを外す習慣が染みついたのは、この反省から。このごろ読んでないのは、ただ単に未読本が溜まっているからでしょう。
フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
リック・デッカードは、逃亡アンドロイドを狩るのが仕事。火星からアンドロイドが数体、逃げてきたニュースを受けた。彼らをとらえれば成功報酬が入る。念願の“生きた”動物を買えるのだが、リックの心は千々に乱れていた。
映画「ブレード・ランナー」の原作。
はじめて読んだディックがこれでした。ディックにしては読みやすいし、映画の原作本という知名度もあって、はじめてのディック作品として選ばれることが多いようです。ベストにしましたが、他のディック作品への敬意も含んでいると思います。未だ確定していないベスト・ディックではないのは確か。
(2003年12月にも記録があります)
ベストに入れるかどうかで悩んだのが、
安能 務『封神演義』
古代中国・殷の紂王は天女の神殿に詣で、不埒な書きつけをしてしまう。それが原因で、紂王の元には女狐が化けた絶世の美女・姐己が侍ることに……。かくして人間界に易姓革命が巻きおこった。仙人たちは道士・姜子牙を人間界に送りこむ。この混乱に乗じ、溢れすぎた厄介者どもを抹殺し、新世界(神界)に封じてしまおうと考えたのだが……。
何度も何度も読んだがために買い直しせざるをえなくって、現在所有しているのは3代目、という曰くつきの全三巻。とはいえ、よく読んでいたのは1988年の刊行から7年間くらいで、2000年には、かなりトーンダウンしてました。もちろん、今でもちょこっと読んで楽しんでますけど、年間ベストに入れるのには抵抗がありました。
【追記−2007年07月】
当時は存在した「愛読書」コーナーに掲載した本は年間ベストから外していました。当年は、下記の本がそれに当たります。
『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子
『われはロボット』アイザック・アシモフ