J・R・R・トールキン『指輪物語 旅の仲間』
フロド・バギンズは従兄弟にして養父のビルボに、魔法の指輪を譲られた。それは、ビルボがかつての冒険で偶然手に入れたもの。2人の親友である魔法使い・灰色のガンダルフは、その指輪が、復活しつつある冥王サウロンのものであることを見抜く。すべてを統べる主なる指輪だったのだ。フロドは仲間たちとともに、指輪を始末する旅にでるが……。
シリーズ第一作。全三部作(『二つの塔』『王の帰還』)を代表してベストにしました。当時は、この壮大な物語に敬意を表して、といった感じだったのですが、再読して(2004年8月『旅の仲間』『二つの塔』『王の帰還』)評価が高まりました。ベストにしておいてよかった〜。
8月30日づけの書的独話「再読・指輪物語」でも取り上げました。
アルフレッド・ベスター『分解された男』
多くの超感覚者がふつうに生活している未来世界。人々は心を見透かされ、犯罪行為は計画することさえできない。そんな中、一大産業王国の樹立を目論むベン・ライクは、ド・コートニー・カルテルの社長殺害を企てる。うまく自分の心を隠して犯行に至るが、予期せぬ目撃者が……。
華のある作品。舞台はSFですけれど、基本は倒錯ミステリ。動機があって、犯行があって、刑事がでてくる。倒錯ものである以上結末は割れているんですけど、読ませます。これをベストに入れずして、なにをベストに入れるのか???
アーシュラ・K・ル=グィン『ロカノンの世界』
フォーマルハウト第二惑星では、高度な知能を有する生命体が数種類生息していた。ロカノンは、調査のために全世界連盟から派遣されてくる。しかし、連盟反逆者たちに宇宙船を破壊されてしまった。孤立したロカノンは反逆者の手許にある通信装置を狙って、未踏の大地へと旅立つが……。
それほど長い物語ではないのですが、連なる大地の厳しいこと。ロカノンにとっては未開でも、現地人たちは日々の営みをつづけているわけで……。正直に告白すれば、もう忘れかけてます。そろそろ再読せねば。
バリー・ヒューガート『鳥姫伝』
十牛は唐国庫福村の少年。ある日、村の子供たちが次々と原因不明の疫病にたおれた。高名な賢者を雇うため、北京へと走る十牛。手持ちの銭では名高い賢者は無理だったが、ある老師をつかまえ、おかげで病の原因は判明する。しかし、薬草がない。必要なのは、幻の人参・大力参。十牛は老師と共に薬草さがしの旅に出るが……。
中華風ファンタジィがベースのミステリイ。唐国は架空の国家で、起こるのは奇想天外な出来事ばかり。右往左往しつつ気がつくとちゃんと着地している不可解さ。酔いました。
続編に『霊玉伝』『八妖伝』があります。
ロバート・J・ソウヤー『イリーガル・エイリアン』
アルファケンタウリのトソク族が地球にやってきた。ファースト・コンタクトはうまく運ぶ。しかし、天文学者クリータス・カルフーンの惨殺死体が発見され、事態は一変する。カルフーンは、最初の接触に立ち会った人物。現場はトソク族の滞在する施設で、トソク族のハスクに容疑がかかるが……。
SFを舞台とした法廷ミステリ。ハスクは犯人なのか? 法廷で徐々に明らかになる、トソク族の生態やらなんやら。ドラマとかでお目にかかったことのあるアメリカの法廷にいる宇宙人、かなり異質です。それだけでもインパクトありますが、ソウヤーですから、それだけでは終わりません。
ベストに入れるかどうかで悩んだのが、
コードウェイナー・スミス
どの本を推すかで迷ったあげく、どれも入れず。
この年『鼠と竜のゲーム』『ノーストリリア』『シェイヨルという名の星』『第81Q戦争』と読みました。独特の、ややとっつきにくい世界観が楽しい。