書的独話

 
2005年のひとりごと
01月01日 展望、2005年
01月04日 まるで映画を観るように
02月05日 レムの異質生命体との遭遇(仮)三部作
02月22日 さらば、Cube
03月27日 パーセク
05月01日 1997年ベスト
05月02日 1998年ベスト
05月03日 1999年ベスト
05月04日 2000年ベスト
05月05日 2001年ベスト
05月06日 2002年ベスト
05月07日 2003年ベスト
05月08日 2004年ベスト
06月05日 冒険者たち
07月21日 深いぞ、トリポッド
08月17日 ハンチントン病
09月07日 記録による不死世界
09月21日 世界のおわり
10月13日 鼻づまりに効く本
11月03日 宙色堂、オープン
12月11日 宙色堂、1ヶ月
12月31日 総括、2005年
 

各年のページへ…

 
 

 
▲もくじへ
2005年10月13日
鼻づまりに効く本
 
 風邪をひいてしまって、鼻がつまってしょうがない……。
 なんてときによく読んでいたのが、こちら。

 黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん
 トットちゃんは公立小学校を退学になってしまった。そのために通うことになったのが、トモエ学園。全校生徒50人の小さな私立学校だ。新しく友だちもでき、トットちゃんは学校が楽しくてしかたない。しかし、時代は戦争へと向かっていた……。

 通して読むことがないのでなかなか記録には現れないのですが、いったい何回読んだのか、思い出せないくらい読んでます。さすがに一言一句は覚えてませんけど。
 読んでいると、自然と涙がでてきます。泣くところじゃないのにな〜と思いつつ、涙、涙。気がつけば鼻づまりも解消されてる寸法。
 それにしても、この物語(実話)が現代だったら、同じエピソードもちがった受け取り方になるのではないでしょうか。トモエ学園に最期が訪れるにしても、同じ現象は起こっても、その原因はけっして同じにはならない。戦争の影は、微笑ましい子供の世界であってさえも暗く、だから泣けてしまうのでしょうね。
 この『窓ぎわのトットちゃん』に限らず、泣けてしかたない作品は、通しで読みにくいようです。こういう話のときは途中で打ち切り、とか、ここから先は読まない、なんてことはしてないのですが……。
 読書記録でお目見えできず、愛読書でのご紹介のみにとどまっているのが、こちら。

 水樹和佳子『イティハーサ
 鷹野は“目に見えぬ神々”への信仰を抱く部族の出身。部族は“目に見える神々”の一人、威神・鬼幽によって滅ぼされてしまった。鷹野は、難を逃れた仲間と共に威神を倒すべく旅立つ。民の危機に手を差し伸べず“目に見えぬ神々”はいずこに消えてしまったのか? そして“目に見える神々”はいかにして誕生したのか?

 文庫で全七巻の長編漫画。唯一持ってる漫画でもあります。絵がダメって人が多いのが残念。太古の日本を舞台に、神々、魔法のような真言告、その他もろもろが詰め込まれ、翻弄される登場人物たち。伏線を生かした彼らのラストに涙、涙。
 泣ける話だけれど、ハナガミが必要なほど泣けるのはそこだけ。とはいえ、結末に泣けるのはそれまでの経緯があるからこそ。それまでのエピソードが走馬灯のごとく駆け巡ってしまいます。
 鼻づまり時に読む本はこれまで『窓ぎわのトットちゃん』と『イティハーサ』の双璧でした。そこへついに、新たな仲間が加わりました!

 オースン・スコット・カード『消えた少年たち
 ステップは、身重の妻と3人の子供たちをひきつれ、ノースカロライナはストゥベンへと移り住んだ。満足できない雇われ仕事と職場の人間関係に悩むステップ。一方、長男のスティーヴは、なかなか学校に慣れず、空想の友だちと遊ぶにいたってしまう。

 上下巻でちょっと文量が多くて、物語の方向も転々としてます。ステップの職場のこと。新しい生活のこと。夫妻が熱心にとりくむ信仰のこと。スティーヴの病気のこと。最終的にはこそげ落とされ一本化されて、感動の結末へ……。
 ちょっと非現実ですけど。
 結末を知った今では、いくつかのエピソードはちがった角度から眺められそうです。泣く準備をしつつ、再読したい一冊になりました。  


 

 
■■■ 書房入口 ■ 書房案内 ■ 航本日誌 ■ 書的独話 ■ 宇宙事業 ■■■