黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』
トットちゃんは公立小学校を退学になってしまった。そのために通うことになったのが、トモエ学園。全校生徒50人の小さな私立学校だ。新しく友だちもでき、トットちゃんは学校が楽しくてしかたない。しかし、時代は戦争へと向かっていた……。
通して読むことがないのでなかなか記録には現れないのですが、いったい何回読んだのか、思い出せないくらい読んでます。さすがに一言一句は覚えてませんけど。
読んでいると、自然と涙がでてきます。泣くところじゃないのにな〜と思いつつ、涙、涙。気がつけば鼻づまりも解消されてる寸法。
それにしても、この物語(実話)が現代だったら、同じエピソードもちがった受け取り方になるのではないでしょうか。トモエ学園に最期が訪れるにしても、同じ現象は起こっても、その原因はけっして同じにはならない。戦争の影は、微笑ましい子供の世界であってさえも暗く、だから泣けてしまうのでしょうね。
この『窓ぎわのトットちゃん』に限らず、泣けてしかたない作品は、通しで読みにくいようです。こういう話のときは途中で打ち切り、とか、ここから先は読まない、なんてことはしてないのですが……。
読書記録でお目見えできず、愛読書でのご紹介のみにとどまっているのが、こちら。
水樹和佳子『イティハーサ』
鷹野は“目に見えぬ神々”への信仰を抱く部族の出身。部族は“目に見える神々”の一人、威神・鬼幽によって滅ぼされてしまった。鷹野は、難を逃れた仲間と共に威神を倒すべく旅立つ。民の危機に手を差し伸べず“目に見えぬ神々”はいずこに消えてしまったのか? そして“目に見える神々”はいかにして誕生したのか?
文庫で全七巻の長編漫画。唯一持ってる漫画でもあります。絵がダメって人が多いのが残念。太古の日本を舞台に、神々、魔法のような真言告、その他もろもろが詰め込まれ、翻弄される登場人物たち。伏線を生かした彼らのラストに涙、涙。
泣ける話だけれど、ハナガミが必要なほど泣けるのはそこだけ。とはいえ、結末に泣けるのはそれまでの経緯があるからこそ。それまでのエピソードが走馬灯のごとく駆け巡ってしまいます。
鼻づまり時に読む本はこれまで『窓ぎわのトットちゃん』と『イティハーサ』の双璧でした。そこへついに、新たな仲間が加わりました!
オースン・スコット・カード『消えた少年たち』
ステップは、身重の妻と3人の子供たちをひきつれ、ノースカロライナはストゥベンへと移り住んだ。満足できない雇われ仕事と職場の人間関係に悩むステップ。一方、長男のスティーヴは、なかなか学校に慣れず、空想の友だちと遊ぶにいたってしまう。
上下巻でちょっと文量が多くて、物語の方向も転々としてます。ステップの職場のこと。新しい生活のこと。夫妻が熱心にとりくむ信仰のこと。スティーヴの病気のこと。最終的にはこそげ落とされ一本化されて、感動の結末へ……。
ちょっと非現実ですけど。
結末を知った今では、いくつかのエピソードはちがった角度から眺められそうです。泣く準備をしつつ、再読したい一冊になりました。