8月24日、それまで太陽系の一惑星だった冥王星が、惑星から矮惑星に改められました。
冥王星が発見されたのは、1930年。以来、第九惑星としての位置を与えられてきましたが、76年たってのどんでん返し。もう、水金地火木土天海冥なのか、水金地火木土天冥海なのか、考えなくっていいのね〜。
現在の惑星の定義を簡単に言ってしまえば、こんな感じ。
・太陽のまわりを回っていること
・質量が充分で、ほとんどまるいこと
・自身の軌道から他の天体をけちらしていること。
この“惑星の定義”をめぐる騒動でまっさきに頭に浮かんだのが、今回の表題にした「当時、惑星の数は8個だった」という一文。SF小説の解説で読んだ記憶があります。てっきり、これの解説かと思い込んでいたのですが……
ラリイ・ニーヴン『プタヴの世界』
宇宙で事故に遭ったクザノールは、自身を時間遅延フィールドで包み、ある惑星に降りて生き残りをはかった。それから長い時が流れ、像のようなクザノールは、人類に発見される。テレパスのラリイは、この異星人の思考を読もうとするが……。
実はこのお話、1966年のもので、ばっちり冥王星も出てきてます。クザノールは地球に降りる前、生き延びるために冥王星に重要なものを投下していたのでした。人間の記憶って、曖昧模糊。
じゃあ、あの一文の出所はいったい?
古い時代の作品をいくつか当たってみましたが、結局見つからず。手放した本の解説は読めないし、分からずじまい、となってしまいました。
もしかしたら、ホルストの組曲「惑星」の逸話(後日、他の作曲家によって「冥王星、再生する者」の章が書かれた)と混同したのかもしれません。
こんな騒動の直前、読了していたのが《銀河ヒッチハイク・ガイド》シリーズの最終巻、
ダグラス・アダムス『ほとんど無害』
テレビ・キャスターのトリシアは、宇宙人の来訪を受けた。彼らは、予期せぬ事故によって集団記憶喪失に陥り、今は太陽系第十惑星に潜伏中。占星術に関心を示し、トリシアに助けを求めてきたのだ。トリシアは、カメラ片手に嬉々としてついていくが……。
この作品が長く残ると、解説では惑星増減の経緯を語らねばならないわけですね。
当時、惑星の数は9個。第十惑星とは……云々
余談ですが『プタヴの世界』は、ランドル・ギャレットの『銀河の間隙より』に似ていませんか? ニーヴンは意識していたのでしょうか……
ランドル・ギャレット『銀河の間隙より』
宇宙で事故に遭ったナイプは、ある惑星に不時着した。ナイプは惑星に棲む人類と接触するものの、根本的な部分で理解し合うことができない。人類は、地下に潜ったナイプを捕らえるため、バートという改造人間をつくりあげるが……。