ほとんど読書しなかった、2006年。
いつもなら、どれをベストから落とすかで悩むのですが、今回ばかりは逆でした。どれをベストに入れたもんか……。
その結果、無理矢理気味に選んだのが今回の3冊。
コニー・ウィリス
『航路』
認知心理学者のジョアンナは、科学的に臨死体験を解明しようと研究中。ある日、神経内科医のリチャードに共同研究を持ちかけられる。リチャードは、臨死体験が脳のサバイバル・メカニズムだとすれば、心停止した患者の蘇生に応用できるのではないかと考えていた。申し出を受けたジョアンナだったが、被験者の不足から、自身が実験台となることになってしまい……。
医学ミステリの傑作。
人間の「死」という重いテーマを扱っているものの、シリアスだけでなく、可笑しさも併せ持った作品でした。長い上下巻を一気に読ませます。
最後がやや、必要以上に長かったように感じましたが。
ジェフリー・A・ランディス
『火星縦断』
第三次火星探検隊が火星に降り立った。彼らは、到着2日目にしてトラブルに遭遇してしまう。隊員のひとりが死に、帰還船も壊れてしまったのだ。このままでは地球に帰ることは出来ない。エンジニアは、隊長のラドコフスキーにある進言を行う。謎の絶命をとげたブラジル隊の帰還船がある、と。ラドコフスキーは北極へと向かう決断をするが……。
NASAの現役研究者による作品。作家ではないので、あまり期待せずに読んだのがよかったようです。火星の大自然や、度重なる事故の謎、隊員たちの秘密、さまざまな要素が絡み合ってました。
クライマックスへと向けた盛り上がりはいまひとつかも。
ランドル・ギャレット
『銀河の間隙より』
母星から遠く隔たった宇宙で事故に遭ったナイプ。ナイプは、ある惑星に不時着した。一方、はじめて異星人と出会った人類はナイプたちのことを知りたがるが、対処法を誤ってしまう。地球中枢機構は、恐怖の対象となったナイプと対決させるため、改造人間をつくりあげるが……。
改造人間バートの失われた記憶の秘密や、ナイプの知的生命体としての論理感、ナイプを生け捕りにするため命を投げ出す人々、それらが、けっして長くない文面で語り尽くされます。
1963年の作品ですからね、古くささは否めませんけど。
ベストに入れるかどうかで大いに悩んだのが、こちら。
A・C・クラーク&G・ベンフォード
『悠久の銀河帝国』
人類は繁栄を極め銀河に進出した。それから5億年。今では“侵略者”によって追い返され、地球最後の都市ダイアスパーで、細々と暮らす日々。人々の胸には、外界への恐怖心が渦巻いている。ダイアスパーで唯一の子供・アルヴィンは、恐怖心とは無縁のところにいた。外界に憧れ、古代の移動装置を探し当てるが……。
クラークの名作『銀河帝国の崩壊』と、ベンフォードが書いた続編をセットにした合本。クラークの部分は文句なしの傑作。ただねぇ、ベンフォードは苦手な作家に名を連ねるお人だけあって、後半はいまひとつ楽しめませんでした。ベンフォード好きなら大満足なんでしょうけど。