2008年08月20日
選ばれた人たち
傑作と名高い、キム・スタンリー・ロビンソン『
レッド・マーズ』を読了。
ついに火星への植民がはじまった。第一陣は、試練の末に選ばれた100人のエリートたち。精鋭なのだが、火星到着後も派閥抗争が繰り広げられる結果となってしまう。火星の未来をめぐって激論が繰り広げられるが……。
とにかく、人間ドラマが醜悪。
作品そのものは絶賛できても、登場人物に対する評価はと言うと……。
それはさておき、SFには〈選ばれた人たち〉というのがよく出てきます。特に宇宙探査もの。宇宙船に乗れる人数は限られているので、致し方ないところでしょうね。
その中で、もっとも印象に残っているのが
ロバート・L・フォワード『
ロシュワールド』です。
無人探査機が、バーナード星系で珍しい二重惑星を発見。ふたつの惑星は、たった80キロの間隔で互いに回転しあっていたのだ。人類は、恒星間宇宙船プロメテウス号をバーナード星系に派遣するが……。
この本の評価は、決して高くないです。
5年ばかり前に読んで、記憶に残っていることといえば……異星人と一緒に泳ぐんだよねぇ、確か。政治が絡んでくるんだよねぇ、確か。
それと、奇妙な船旅。そう、選ばれた人たちのこと。
バーナード星系は6光年の距離で、片道40年かかります。選ばれた人たちは、元気な状態で探査できるように延命剤を服用しますが、それだけではないんです。
彼女らは、童心に戻ってしまうのです。
ロボットに世話されながら、いい大人の男女が、子供になりきって遊びまくる。笑えます。マジメな話なんですけど、笑えました。
ちなみに……
『
ロシュワールド』の本当のウリは、科学に裏打ちされたハードウェアと前代未聞の天体です。ふたつの天体の最接近距離は、わずか80km! 潮汐力が働き、惑星間を渡る大量の水・水・水。
圧倒されます(確か)。