2009年04月07日
宇宙への切符
まずご紹介するのは、こちら。
アーサー・C・クラーク
『
宇宙島へ行く少年』
コンテストで優勝したロイは、世界中のどこへでも旅行させてもらえる権利を獲得した。ロイが望んだのは、低位ステーション。夢は実現し、ロイは宇宙へと旅立つが……。
出だしはもちろん、ロイが優勝する場面。ロイのがんばりが、ついに実を結びます。そして、いよいよ言うぞ。
「低位ステーションに行きたいんです」
と、ここでちょっと頭をかすめたのは、同じく努力によって宇宙へのなにがしを手に入れた少年の話。
ロバート・A・ハインライン
『
大宇宙の少年(スターファイター)』
月にあこがれを抱いているキップは、〈月世界旅行無料御招待!!!〉という懸賞にかけていた。キップの不断の努力は実り、応募したキャッチコピーは受賞したものの、規定により一等賞を逃してしまう。落胆するキップに代替品として送られてきたのは、本物の宇宙服だった。
その後キップも、宇宙へと旅立つことになります。そして、キップを待ち受ける大冒険の数々ときたら! クラークの方が現実的かもしれませんけど。
さて、クラークとハインラインとくれば、自称SF三大巨匠の残りひとり、アシザック・アシモフの作品を挙げたいところですが、残念ながら思い浮かびません。忘れてしまったのか、そういうものは書いていないのか……。
代わりに、ロイやキップと同じように、他人の手によって宇宙へと旅立った人たちをご紹介。でも「同じように」と言っても、ふたりのような不断の努力はしてませんけど。いずれにせよ、一般市民にとっての宇宙は遠い存在、という時代に地表を離れた一般市民、という姿を見せてくれます。
ジェフリー・A・ランディス
『
火星縦断』
第三次火星探検隊は火星に降り立ったが、到着2日目にして帰還船〈ダルシネア〉にトラブルが発生してしまう。一行はやむなく、かつてブラジル隊が遺した〈ジェズス・ドゥ・スル〉を使うことを決意するが……。
本作では、火星くじが登場します。実は、第三次火星探検隊のうち、ひとりはずぶの素人でした。資金集めのため、火星探検隊への参加権をくじにしてしまったのです。
この幸運なのか不幸なのかを射止めたのは、トレヴァー・ホイットマン。21歳の青年なのですけれど、実は……という驚きの設定あり。
作者のランディスは、NASAの現役研究者だそうです。現実にも宇宙開発にからむくじってありえるのでしょうか? 買ってみたいですね。
ジョン・J・ナンス
『
軌道離脱』
キップは、宇宙商業飛行を運営するASA社のキャンペーンに当選し、地球脱出のチケットを手に入れた。訓練も経てついに旅たつが、事故が発生し、パイロットが死んでしまう。通信手段も断たれ、宇宙船の中で立ち往生してしまったキップだったが……。
こちらのキップは、ハインラインのキップと違ってかなりオトナ。しかも、ロイの行った低位ステーションよりさらに地球寄りの低軌道。SFではなくNVレーベルから出たのも納得な内容でした。
そして、こういうキャンペーン、実際にありましたよね。かつてペプシがやってました。
2001年宇宙の旅キャンペーン
もし計画が失敗した時は当選者に1,000万円を支払う、という但し書きがついてましたが、その後どうなったのでしょうか。もしかして、いまだに延期中?
宇宙空間で宙ぶらりんはOKですが、地球の上で宙ぶらりんは嫌なものです。