2009年08月16日
SF ATB
この略はなにかといえば、SFの
All
Time
Bestです。
自分なりのオールタイム・ベストを発表!
するわけではないので、タイトルから誤解させてはいけないと思って、略してみました。
発端は、ついつい買ってしまった「SF本の雑誌」。巻頭特集は、SFと銘打った特集本のお約束である、オールタイム・ベスト。
お約束通りとはいえ、そこは〈本の雑誌〉社。少人数で恣意的に決めるのは当たり前。一般的なベストとかけ離れているのは否めないんですが、通常のベストものと一線を画そうとする試みは、
ちょっといいかもな〜
と、リストを眺めていて思ったのでした。
とりわけ象徴的に思えるのが、ロバート・A・ハインラインの名作『
夏への扉』
ダニエルは優秀な技術者だったが、共同経営者マイルズと、婚約者ベルに裏切られてしまう。悲嘆にくれるダニエルは、30年の冷凍睡眠に逃避することを決意。しかし、どうしても捨て台詞が言いたくなりマイルズの元へと向かうが……。
あえて外して、代わりに『異星の客』(47位)が入ってました。実は、あの厚みに阻まれて(?)未読なので、これについては、どっちがどうとはコメントできないのですが……、
A・E・ヴァン・ヴォークトで選ばれたのが、ありがちな『
武器製造業者』でなく『
イシャーの武器店』の方だったのは、ちょっとうれしかったかも。
『
イシャーの武器店』
地球はイシャー帝国によって支配されていた。イネルダ女帝は人々から崇拝されていたが、唯一の気がかりは武器製造者ギルドの存在。ついに攻撃を決意するが……。
『
武器製造業者』
二大勢力〈イシャー帝国〉と〈武器店〉の緊張緩和を目的にして、不死人ヘドロックはイシャー宮廷に潜入していた。しかし、スパイの疑いをかけられ死刑を宣告されてしまう。それは回避できたものの、今度は武器店からも死刑判決が出されてしまった。ヘドロックは地球から逃げ出すが……。
二部作を成す二冊ですが、とかく日の目を見るのは『
武器製造業者』の方。後から書かれた『
イシャーの武器店』の方が、どちらかと言えば構造がしっかりしてる気がしていたので、
この機会に注目してもらえれば
と、思います。
注目といっても、対談の中で言及されているわけではないので難しいかもしれませんけど。
ところで、その『イシャーの武器店』は58位だったのですが、それより上の51位に、なんと、なんと、ジャック・ヴァンスの《魔王子》シリーズがランク・イン!
《魔王子》シリーズ
小さな町マウント・プレザントは、5人の大犯罪者〈魔王子〉によって滅ぼされてしまった。難を逃れた少年カース・ガーセンは生涯をかけた復讐を誓うが……。
寸評が載っているわけでもなく、たった一行、51位の欄に書いてあっただけですが、それを見ただけで
「SF本の雑誌」を買ってよかった〜
と、思えてしまうのですから、ファンってありがたいですよねぇ。