ポール・ギャリコ
『ジェニィ』
思いがけず猫となってしまった少年ピーターは、人間たちの町をさまよったあげく、負傷してしまう。倒れたピーターを助けたのは、雌猫ジェニィだった。ピーターは、猫であるにも関わらず、毛繕いひとつ満足にできない有様。ジェニィから猫のことを学ぶが……。
宣伝文句は、猫好き大絶賛。
実際、涙、涙でした。
ギャリコは、猫好きが高じてか『猫語の教科書』なんて本も書いてます。フィクションとノンフィクションの間の子のような本で、残念ながら、猫語を学びたい人間のために書かれた本ではありません。
原題は“THE SILENT MIAOW -a manual for kittens, strays, and homeless cats-”です。人間の家の乗っ取りに成功した猫によって書かれた、子猫、迷子、およびホームレス猫のための手引書なのです。
タイプライタに向かっている様子まで収めた、念の入り用(上右の写真)。
邦題には「教科書」とついていますが、中味はあくまで猫からの視点。記述通りの食生活を採用すると、猫は喜ぶでしょうが、健康を害するおそれもあるので「教科書」とは思わない方がいいだろうな、という感じでした。
書かれた当時(1964年)は、猫の体によくない食べ物については、あまり知られてなかったのかもしれませんね。
さて、『猫語の教科書』は猫語に関する教科書ではなかったわけですが、実は、猫語の教科書が実在します。
野澤延行の『ネコと話そう』です。
第1章:ネコの言葉を理解する基礎知識
第2章:ネコ語60完全翻訳ガイド
第3章:ネコ先生の診療記
こんな感じになってます。
第1章と第3章は、まぁ、よく見かける内容。第2章が、まるで語学のテキストのようになってます。(上右写真)
同じニャーでも、語尾に変化があったり、態度によって意味が違ったり、バリエーションは豊富。
そういえば、うちの猫も、言ってます。
ニャーオ ニャーオ(トイレが汚れてますけど)
はーい、ただいま!
猫と一緒に暮らしていると、ある程度のことは分かってくるのですが、ときどき取り違えて、怒られることも……。
猫語の教科書で精進してみます。