とても嫌な奴だった!
ということだけは記憶に刻まれてしまいました。
そして、今回、その嫌さぶりを思い出させてくれたのが、アダム=トロイ・カストロの『シリンダー世界111』でした。
出版社曰く……
『リングワールド』以上の特異な世界を舞台にミステリ仕立てで展開する傑作ハードSF
というのは大嘘で、SF仕立てのミステリ。
独立ソフトウェア知性集合体〈AIソース〉によって創られたシリンダー型世界111で、殺人事件が発生した。被害者は、知性体ウデワタリを調査している人類の外交団の一員。法務参事官アンドレアが駆けつけ調査に着手するが……。
アンドレアは、犯人からと思われる脅迫にさらされながらも、事件に真っ向勝負でぶつかっていきます。
このアンドレアが、嫌な感じの人なのです。
とにかく冷淡で、かたくなに人付き合いを拒絶します。そういう主義になったのには理由があり、その理由もまた、物語に深く深くかかわっているのですが……。
実はこのアンドレア、本当は嫌な人なんかじゃないんです。当初見せていた嫌な人ぶりは、物語の進行と共に、嫌な人じゃないぶりにとって代わられていきます。
嫌な人を書くには、こうでなくては。
いやー!
まいりました。