書的独話

 
2012年のひとりごと
01月01日 展望、2012年
01月03日 灰色の世界
01月15日 2011年、ベスト
02月16日 おバカな買い物
03月31日 善人って・・・
04月13日 監視社会
04月14日 それもこれも猫なのだ
05月20日 『マーリー』
07月15日 封鎖都市
08月06日 挫折のタイミング
08月19日 『図書館ねこデューイ』
10月11日 子供から大人へ
12月31日 総括、2012年
 

各年のページへ…

 
 
イラスト
 
▲もくじへ
2012年01月03日
灰色の世界
 

 ミュージカル映画「オズの魔法使」が公開された1939年は、白黒からテクニカラーへの移行期。冒頭のカンザスのシーンが白黒で始まり、竜巻に襲われた少女ドロシーが不思議なオズの国についた途端、世界に色がつきます。
 現実とオズを強烈に比較する、過渡期ゆえの演出に思えたものでした。そして久しぶりに、原作を読みました。

ライマン・フランク・ボーム
オズの魔法使い
 カンサスの灰色の世界で暮らしていた少女ドロシーは、竜巻に巻き込まれて異世界に飛ばされてしまった。懐かしいカンサスに帰るため、オズの偉大な魔法使いに頼るが……。

  すっかり忘れていましたが、原作でも、冒頭のカンサスは灰色なんです。緑色である草までも。というのも、

 お日さまが、長い葉先を焼いて、どこかしこと同じ、灰色にしてしまったから

 景色だけでなく、ヘンリーおじさんも、エムおばさんも沈んだ灰色。ちがうのは、みなしごのドロシーだけ。小さな黒い犬のトトが、ドロシーを笑わせてくれるおかげで。
 ドロシーはそんな沈んだ世界にいたのに、美しいオズの国を目の当たりにしても、なお「うち」に帰りたがります。
 故郷ってやつは……。

 ドロシー役のジュディ・ガーランドがその思いを語ったセリフは、アメリカ映画協会によって、名セリフ・ベスト100に選ばれました

 There's no place like home.


 

 
■■■ 書房入口 ■ 書房案内 ■ 航本日誌 ■ 書的独話 ■ 宇宙事業 ■■■