北アメリカ大陸で、イギリス人たちの植民が本格的に始まったのは16世紀のおわりごろ。まずは、現在のノースカロライナ州はアウターバンクスにある、ロアノーク島から。
何度か入植が試みられたものの、現住部族との関係は思わしくなく、植民者たちは本国に救援を求めます。ところが、時代は英西戦争の真っ最中。補給もままならず、ようやく船がロアノーク島に着いたときには、植民地は放棄され、誰ひとり残っていませんでした。
以後ロアノークは「失われた植民地」と呼ばれ、語り継がれることになったのです。
けっこう有名な話らしいのですが、自国の歴史というわけでもありませんし、きちんと習った覚えはありません。(授業中に寝てただけかも?)
はじめてロアノークの名前を意識したのは、ジョン・スコルジーによる物語。
『最後の星戦 老人と宇宙3』および、
『ゾーイの物語 老人と宇宙4』
コロニー防衛軍を退役したジョンとジェーンの夫妻は、新たに誕生する植民惑星ロアノークの指揮をとることになった。コロニー防衛軍はロアノークを、他の種族から譲り受けたものだと説明するが、どうも裏があるらしい。入植者たちは準備万端整えて出発するものの、船が到着したのはロアノークではない未知の惑星だった。
物語の中で、ロアノークの名前の由来が触れられていて、そんなことがあったのか、と。
そして、もう一冊。
ジャック・マクデヴィット
『探索者』
9000年前、自由を求めて地球を旅立った人々がいた。彼らは二隻の宇宙船を使って植民したが、いまだに成否は分かっていない。そのときの宇宙船〈探索者〉の備品が見つかった。古美術商アレックスと相棒のチェイスは調査を開始するが……。
解説を読むまで、ロアノークが関係しているとは気づきもしませんでした。言われてみれば、確かに、ロアノークな感じ。
知識があれば、読んでいる最中に思い至ったでしょうに。別の角度から読めたでしょうに。
さて、ここにきて、ついにそのものズバリと遭遇しました。
ビル・ネイピア
『聖なる暗号』
古書の解読を依頼されたハリーだったが、不可解なことが立て続けに起こったうえ、古書の所有者が殺されてしまった。古書の内容は、ロアノーク遠征隊に参加した若者の手記。遠征には秘密の目的があったらしいのだが……。
そのものズバリ、と言っても、この物語の舞台となったのは第一次の遠征隊。なので、失われた植民地の関係者ではありません。でも、ロアノークは登場するし……と思って興味津々で読んでいたのですが、なんだかちょっと違うような?
失われた植民地の真相については、現在も研究が続けられているようです。
植民者たちになにがあったのか?
謎が解明される日はくるのか?
ロアノークを題材にした物語、探せばまだまだありそうです。