書的独話

 
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2016年06月17日
《居眠り磐音江戸双紙》読本2
 

 2015年から、佐伯泰英の《居眠り磐音江戸双紙》シリーズを読み始めました。23巻まで読んだ時点で書的独話で「《居眠り磐音江戸双紙》読本」(2015年08月26日)を書いてます。
 そして、ただいまはシリーズ38巻の手前。

 時代は、老中田沼意次全盛のころ。
 江戸は神田神保小路の直心影流佐々木道場に通う坂崎磐音は剣の腕前と人柄を見込まれ、道場主佐々木玲圓の養子になります。磐音は、将軍嗣子家基の剣術指南役をつとめ、今小町と評判のおこんと祝言をあげ、順風満風。
 ところが、家基が暗殺されてしまいます。
 佐々木家は将軍家とひそかなつながりがあり、佐々木玲圓は殉死。その上、田沼意次の差し金で、道場は取り潰しとなってしまいます。
 磐音は、懇意にしていた両替商今津屋が持つ小梅村の御寮に身を寄せますが、自身と仲間たちの命が危うくなり、おこんと共に江戸を脱出します。尾張を経てひとまず落ち着いたのが、紀伊の隠れ郷。
 やがて隠れ里は田沼一派の知るところとなりますが、刺客を退け、江戸に帰ることを決意します。
 江戸を離れて2年半の歳月が流れていました。

 というところで、新たな読本『居眠り磐音江戸双紙帰着準備号 橋の上』なるものが出ました。
 38巻の『東雲ノ空』から、舞台は江戸に戻ります。その準備、という位置づけ。

 読本の内容は、地図と、物語に絡めた江戸の旅行ガイド、著者インタビュー、24〜37巻までの年表など。
 前回の読本にもあった書き下ろし中編も収録。
 今後のために書き留めておくと……

「橋の上」
 豊後関前藩中老の嫡子、坂崎磐音は、藩主の参勤上番に従い、小姓頭として初めて江戸に出てきた。
 江戸の両国橋を渡るとき磐音は、水面を見下ろす、屋敷奉公の形をした娘に目を留めた。思い詰めた様子の娘は、やくざ者にかどわかされそうになる。
 娘は、直参旗本久貝儀左衛門の奉公人、お糸。
 お糸を助けた磐音だったが、久貝の用人から言いがかりをつけられてしまう。お糸から預かり物をしたのでは、と。
 磐音は久貝家の騒動に巻き込まれてしまうが……。

 舞台は明和6年。
 シリーズの始まりが明和9年なので、その前の出来事、ということになります。読者サービス的な場面もありますし、かなり中途半端に終わってしまっているのが残念。読本収録の小話で伏線みたいなこと書かなくてもいいのに……。

 ちなみに《居眠り磐音江戸双紙》は、51巻(タイトル数は50)で完結しています。
 このシリーズは、時代的にありえないことが起こったり、ときどき迷走したり、方針転換を図ろうとして失敗して元に戻ったり、突っ込みどころ満載。
 ですので、人には勧めません。
 とはいうものの「シリーズ累計発行部数2000万部のベストセラー」といったうたい文句は伊達ではなく。2002年に初巻が出てから14年続けられたのですから、おもしろいところもあります。
 とにかく、自分は最後までつきあう腹づもり。まだしばらく一連のタイトルが並びますが、あと12巻、どうぞよしなに。


 

 
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