2016年に第一作を読み、2017年に入ってから、一気に読み進めました、リリアン・J・ブラウン《シャム猫ココ》シリーズ。
現在、残すところあと4冊。作者はすでに亡くなられているため、それで終わってしまうのだなぁ、と思うとなんとも寂しいものです。
ジム・クィラランは、シャム猫のココとヤムヤムと共に、悠々自適な生活を謳歌していた。暮らしているのは、ムース郡ピカックス市。地域新聞〈ムース郡なんとか〉にコラムを執筆している。
クィラランは、ムース郡はおろか合衆国の中部北東地域でもっとも裕福な独身男だった。その莫大な富は、遺産相続によってころがりこんだもの。クィラランにとって重荷でしかなかったが、慈善団体を設立して遺産をつぎこむことで、問題は解決した。
ただし別の問題があって、クィラランのまわりでは四六時中、事件が発生するのです。「ジャーナリスト魂が事件を嗅ぎつけている」というべきか。
ここにきて、ようやく番外編の『猫は日記をつける』に目を通すことができました。
「BOOK」データベースによると、内容はこんな感じ。
これまで数々の難事件を解決してきた元新聞記者にして地元の名士クィラランと不思議な推理力を持つ飼い猫のココ。彼らの知られざる日常や、事件の裏エピソードを知りたくはありませんか? 本書ではクィラランがつけている日記の一部をご紹介し、ココとヤムヤムの秘密や、登場猫紹介、ためになるココの格言など、クィラランの猫たちに対する愛情に迫ります。豪華イラスト入り、全22篇収録のシリーズ番外短篇集をどうぞ。
まだ読んでない巻のことが書いてあったら……と思って、今まで読めずにいました。そのため翻訳出版された順番が巡ってくるまで、待っていたのです。
読んでみたら(当たり前ですが)人間視点で書かれていて、猫は日記につけられているだけでした。その日記も、回想録といった雰囲気で、後から書いた印象。もうちょっと早く読んでいてもよかったかもしれません。
懐かしい、カウ・コウ=クン(ココ)との出会い。
まだフレイアと呼ばれていたころのヤムヤム。
そんなところからはじまります。本篇で書かれていたようなことも入ってます。
このシリーズは、日本では《シャム猫ココ》と名づけられていますが、本国アメリカでは《Cat Who Series》とされてます。
ココは格別な猫です。意図的なのか偶然なのか、事件につながる何かをクィラランに示してくれます。そのためシリーズ名にココの名を冠するのも分かります。
でも、ヤムヤムも特別な猫なんです。
『猫は日記をつける』の第5章「前足のヤムヤム」の出だしに、
誰もがココを賞賛するが、誰もがヤムヤムを愛している!
と、ありますが、まさしくその通り。ヤムヤムの一挙手一投足に猫好きたちは、ほほえみ、うなづき、うらやんでいるのではないでしょうか。
とかく、ココばかりがクローズアップされるこのシリーズ。『猫は日記をつける』を読むと、猫という文字の半分がヤムヤム成分で成り立っていると分かります。
ココとヤムヤム、二匹で猫なのです。