
宇宙創造を扱った短編集。
「岬にて」……人里はなれた島に暮らす世捨て人たちのはなし。
「ゴルディアスの結び目」……“憑かれた”娘の精神内部に入りこんだ、サイコ・ダイバーのはなし。
「すぺるむ・さぴえんすの冒険」……220億全人類の生命とひきかえに、宇宙の一切の秘密と真理の授与をもちかけられた男のはなし。
「あなろぐ・ら!」……宇宙を分娩させた男と、目に見えない謎の存在による問答。
小松左京の宇宙観がぎっちり入ってます。
コンピュータの内部世界を描くSF長篇。
キャンベル記念賞受賞作。
人間が、おのれの肉体と記憶をスキャンして、コピーとしてコンピュータ内部の仮想空間に暮らすことが可能となった世界が舞台。ただし、そうするためにはそれなりの金がかかる……。
それらのコピーの中でもとりわけ裕福な人々に、宇宙が終わろうとも永遠に存在しつづける方法があると提案するダラム。そのダラムに、人工宇宙内にひとつの惑星と原始有機体の設計を依頼されたマリア。しかもそのプログラムは、地球上のコンピュータすべてを使っても走らせることができない。ダラムは、単なる詐欺師なのか?
設定はおもしろいんですけどねぇ、ちょっと難ありかも。読むのに苦労しました。
※キャンベル記念賞は、最優秀長篇に贈られる審査員制の賞。
直木賞作家、宮部みゆきの長編デビュー作。
高校野球で注目されているエース・諸星克彦が、ガソリンをかけられ焼かれた姿で発見された。その後、高校を中退した元チームメート、山瀬浩が、克彦殺しをほのめかす遺書を残して自殺する。
同じころ、大同製薬会社は謎の人物から、かつて行われていた違法な人体実験に関して恐喝を受けていた……。
大半を、探偵事務所で飼われている犬の目を通して描きだされた、やわらかいサスペンス。起こっていることはけっこうおぞましいんですけど、読後には爽快感があります。
おすすめ。
アン・マキャフリイの代表作である《パーンの竜騎士》シリーズ第三作。
後見人つきの若き大守ジャクソムの成長物語。
個人史の一端……といった感じでした。いくつもの事件だの出来事だのが折り重なって、ジャクソムと彼の竜・ルースが描かれていきます。その分集点は弱めなのですが、これはこれで、おもしろい……。
戦争絡みのSF。連作短編集。
南極大陸にはいつの間にやら超空間通路が出現し、地球は謎の異星体ジャムに侵略されようとしていた。地球防衛軍は、通路を通って惑星フェアリイに到達し、そこに前哨基地を設営した。
主役は、電子頭脳を搭載した戦闘機スーパーシルフのパイロット・深井零。スーパーシルフは、ジャムの情報を収集するため、戦隊機と共に戦場におもむき、援護することもなく任務を遂行する。たとえ仲間が全滅しようとも……。
基本的に短編集なため一つ一つのエピソードが切れ切れで、そこがちょっと物足りないところ。きっとSF好きな人しか読まないだろうな、と思うとちょっともったいない。
名作。
《マジカルランド》シリーズ第六作。
偉大な魔術師(ということになっている)スキーヴが巻きこまれる(引き起こす?)事件簿。
ルールも分からずに挑んだドラゴン・ポーカーで大勝ちしたスキーヴは、負けた相手から借金代わりに幼女を押しつけられた。それだけでもトラブルの元なのに、情婦希望のバニーがやってくるわ、刺客が差しむけられてしまうわ、最強のドラゴン・ポーカー勝負師から対決を挑まれるわ、てんわやんわ。
かる〜く読めてしまいます。
かつての大ベストセラーのパニック小説。
鳥島の北東。まだ名前もつけられていない島が、一夜にして海に沈んだ。その調査のために、小野寺俊夫と地球物理学者・田所博士は深海潜水艦に乗りこんだ。そこで異変を発見する。日本列島が沈没するのではないか? その警告を聞き入れた政府は、極秘に調査を開始した。
人間からの視点と、より高い視点からの二本立て。
小野寺が危機的状況に陥っても、その後のことは、あとで回想としてでてくるだけなので、少々物足りなさが残りました。高みから見れば、おもしろいんですけどね。
「武器店」二部作完結編。
(第一部は『イシャーの武器店』)
「イシャー帝国」と「武器店」の二大勢力の緊張緩和を目的にして、地球唯一の不死人・ヘドロックはイシャー宮廷に潜入した。しかし、そこでスパイの疑いをかけられ、死刑を宣告される。あやういところで刑の執行は免れたものの、今度は武器店側から死刑判決がだされた。
ヘドロックは最新鋭の宇宙船を奪い取り、ケンタウルス座にむかう。そして、蜘蛛族に捕らえられてしまった。彼等こそ、宇宙を支配する不死の存在。地球文明の破壊を狙う彼等に、ヘドロックは実験台にされてしまう。
危機的状況が繰り広げられながら、ヘドロックの秘密が徐々に…そして一気に明らかになっていきます。やや大味的な部分はありますが、ほころびはなし。
純文学系の、一人称小説。
「夫婦茶碗」と「人間の屑」の二遍収録。
退廃的。
語り口から中島らもの『超老伝 −カポエラをする人−』がチラつき、はなしの内容から椎名誠の諸小説が思い起こされました。
評価する人は最上級の賛辞を贈るでしょうし、評価しない人は「くだらん」の一言で済ましてしまうような一品。
アシモフの名作『われはロボット』の姉妹短編集。
いささか方向性のちがう作品群を、アシモフ自身の解説でつなぎ合わせた一品。
快作、入ってます。
先に『われはロボット』を読んだ方がいいのは確かですが。