

ロバート・シルヴァーバーグ『夜の翼』の記録をつけるとき、ちょっと迷いました。
この物語、文明崩壊後の地球が舞台になっているけれど、その原因が書かれるのは、第二部に入ってから。地球文明がなぜ滅んだのか、他星人によって所有されるに至ったのはなぜか、明かされるのはある程度進んでから。
そこまで書いていいものかどうか。
ちなみにこの物語は、2004年にも読んでます。そのときの記録をのぞいてみると、世界設定から書いてました。(その記録はこちらの『夜の翼』)
はっきりと明文化していませんが、航本日誌では、どのように書くか大まかに決めてあります。年々アップグレードさせてますが、現在は、なるべく本文の雰囲気が残るようにしています。
たとえば、漢字の使い方、句読点の打ち方、言い回し。登場エピソードは、できるだけ登場順で。
そんなわけで今回は、主人公一行がロウムに向かっているところからはじめました。
ところで、ロウムって、ローマのことだと思うのですが、2004年の記録ではまったく言及してないんです。もしかすると、気がついてなかったのかも。
今回は、アルファベットで表記したときに名称がどのように変遷していったのか、そういったことに興味をそそられてました。
Roma →…………→ ロウム
Egypt →…………→ アグプト
Jerusalem →……→ ジョルスレム
「a」が「u」に変化した?
翻訳した方も、日本人でも元々の地名が分かるように、気を配ったことでしょう。
閑話休題。
今年の5月、過去の記録で驚愕したことがありました。今回と同じように、どう書くか問題で。
チャールズ・ストロスの『シンギュラリティ・スカイ』はとてもややこしい物語で、ややこしさの元凶は、世界設定にあります。書かれているのは、シンギュラリティ後の人類の物語。
この物語の世界を簡単に言えば、こんな感じ。
21世紀、謎の高次知性体エシャトンが現われ、世界人口の9割が連れ去られた。残された人々は時間をかけて、宇宙に出ていくまでに回復し、超光速航法と超光速通信が実現すると、連れ去られた人々の行方が明らかになった。
彼らは、さまざまな星系、まちまちな時代にばらまかれていた。
ここまではあくまで、背景。
物語の舞台は、
地球から250光年離れている(したがって、建国250年の)新共和国と、新共和国の新しい植民星ロヒャルツ・ワールド。(戦前のロシアのような)新共和国では革命家たちが、労働者たちの(ソビエト連邦のような)国をつくろうと活動している。
物語の幕開けは、ロヒャルツ・ワールドがフェスティバルに宣戦布告されるところから。
舞台はストーリーに密接に関わってくるけれど、世界設定はそうでもない。ただし、エシャトンはあらゆることに気を配っていて、彼らが禁じたことは絶対に無視できない。そのため、その存在を抜きにしてこの世界は語れない。
2018年の『シンギュラリティ・スカイ』は、ロヒャルツ・ワールドにふれたうえで、ほぼ出来事順となるフェスティバルの来襲からはじめました。エシャトンはどうすればいいんだろう、と思案した結果、単独で書いてみました。
参考にするため、2006年の『シンギュラリティ・スカイ』の記録を見てみると、まったく違うことになってました。
ほぼ、世界設定。主人公格のマーティンとレイチェルはオマケで足した程度。当時は、どういう世界での物語なのか、そちらの方を重視していたようです。
設定について書くか、展開について書くか。悩ましい問題です。
ときおり再読をしますが、その際には、過去の記録を併せて見ると、違った角度からの視点が垣間みられておもしろいかもしれません。特に、10年以上隔たっているときには。