航本日誌 width=

 
2026年の記録
目録
 
 2
/現在地

 
このページの本たち
ミセス・ハリス、モスクワへ行く』ポール・ギャリコ
精霊を統べる者』P・ジェリ・クラーク
時計仕掛けの歪んだ罠』アルネ・ダール
水脈を聴く男』ザフラーン・アルカースィミー

 
各年の目録のページへ…

 
 
 
 
2026年03月05日
ポール・ギャリコ(亀山龍樹/遠藤みえ子/訳)
『ミセス・ハリス、モスクワへ行く』角川文庫
 旧題『ハリスおばさんモスクワへ行く』

 《ミセス・ハリス》シリーズ第四作
 エイダ・ハリスは、ロンドンの通いの家政婦。
 半年前からお得意さんになったジェフリー・ロックウッドのことが気になっていた。なんとなく、部屋を悲しみの影がおおっているのだ。
 デスクに置かれた写真をきっかけに、ロックウッド氏は悩みを打ち明けてくれた。
 ロックウッド氏には、ロシア人のリザベータという恋人がいる。本の執筆のためロシアの調査旅行をしたときに出会い、お互いひと目惚れ。
 しかし、時代は米ソ冷戦の真っただ中だ。ロシア当局は外国人との結婚について神経をとがらせている。ふたりは関係を秘密にし、一緒になるべく計画を練った。
 すべては、ロックウッド氏がKGB(ソビエト国家保安委員会)に逮捕されたことで終わった。疑いは晴れたもののロンドンに送り返され、好ましからぬ人物というレッテルをはられてしまった。二度とビザをもらえないだろう。
 ロックウッド氏は追い詰められていた。外務省の友だちは、政治情勢がよくないとにべもない。もっとも耐えがたいのは、リザベータはなにも知らないということだ。
 ロックウット氏の悲恋に、ミセス・ハリスは心を痛めた。窮地から救い出す自分を夢想するが、空想はあくまで空想。なにもできない。
 そんなとき、カラーテレビ目当てで富くじを買ったミセス・ハリスは「モスクワ往復5日間のペア旅行券」を当てた。
 ミセス・ハリスは、友だちのバイオレット・バターフィルドおばさんを説得して、ふたりでロシアに行くことにする。なんとしてもリザベータを探し出し、連れ帰るつもりだ。どうすればいいのかは分からないけれど。
 一方ロシアではKGB検査官が、フランス外務省顧問に就任したイポリット・ド・シャサニュ侯爵のファイルを見ていた。国の内外に目を光らせるKGBでは、敵対者を探し出し、記録し、リストを作っている。シャサニュ侯爵とつながりのある人物には、エイダ・ハリスの名前があった。
 それだけではない。エイダ・ハリスという人物は、反ソ映画製作社シュライバーとも関係がある。下院議員にもなっている。
 大物スパイにちがいない。
 KGBが警戒するなか、ミセス・ハリスとバターフィルドおばさんにビザがおりるが……。

 ミセス・ハリスをめぐる騒動記。
 ミセス・ハリスはまったく変わってません。周囲の人たちの接しかたもまったく変わってません。前作でいい雰囲気になったベイズウォーターさんは名前も出てきません。
 もしや、なかったことになっているのでは……と思ったら、KGBのファイルの存在から、きちんと経歴になっていたことが分かりました。と同時に、漠然と舞台は60年代あたりと考えていたことの裏付けがとれました。
 1958年『ミセス・ハリス、パリへ行く
 1960年『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く
 1965年『ミセス・ハリス、国会へ行く

 かなり大げさに、おもしろおかしく書かれてます。当事者たちとしては大変な時代だった……と思うと複雑。そういうことは忘れて楽しむべきなんでしょうけど。


 
 
 
 

2026年03月08日
P・ジェリ・クラーク(鍛治靖子/訳)
『精霊を統べる者』創元海外SF叢書

 1872年。
 エジプトはアブディーン宮殿で、アル=ジャーヒズが錬金術と魔法からおおいなる機械をつくった。ジンの棲む異世界カーフに穴があけられ、数多くの領域の障壁が弱まる。
 世界は永遠に変わった。
 カイロじゅうにジンがあらわれるようになったのだ。エジプト総督と対立したアル=ジャーヒズは、機械と著作もろとも姿を消してしまう。以来、姿を見た人はいない。
 それから40年ほどがたった。
 ファトマ・エル=シャラウィーは、エジプト錬金術・魔術・超自然的存在省に所属するエージェント。
 列強のひとつとなったエジプトは、近代性を誇りとしている。女性が社会に進出し、参政権も手に入れた。いずれは行政官になるだろうともいわれている。
 だが、まだまだ認められた存在ではない。そんななかファトマは努力を重ね、抜群の成績をおさめてきた。その活躍はアカデミーの教科書にものっている。
 この夜ファトマは、ギザのアリステア・ワージントン卿の屋敷に呼びだされた。魔法が疑われる凄惨な事件が起きていたのだ。
 死者は24人。ほとんどが焼死なのだが、服はそのままに身体だけが焼けていた。
 犯人らしき男を、令嬢のアビゲイル・デレナ・ワージントンが目撃している。
 男は背が高く、黒いローブを着て、黄金の仮面のようなものをつけていた。強烈な眼差しが恐ろしく、アビゲイルは気を失ってしまう。そのため詳しいことは分からない。
 1890年代の終わり近く。ワージントン卿はアル=ジャーヒズ秘儀友愛団を創設した。アル=ジャーヒズの秘儀が世界に平和をもたらすと信じたのだ。
 ワージントン卿も含む24人の死者は、アル=ジャーヒズ秘儀友愛団のメンバーだった。
 ファトマは情報提供者から、金の仮面をつけている黒衣の者の噂を知る。人々はアル=ジャーヒズがもどってきたと噂しているらしい。
 ファトマはアル=ジャーヒズについて調べていくが……。

 歴史改変SF。
 とにかく情報量が多いです。この地域の予備知識があると読むのが楽になると思います。

 ファトマは女性差別と戦ってきた側です。男装して、刃物を仕込んだステッキを持ち歩いてます。それでも女性に先入観を持っていて、守られるべき人たちだと思ってます。
 そんなファトマですから、新人エージェントのハディア・アブデル・ハーフェズとコンビを組むことになって、もめたりします。
 差別ってなかなか難しい。考えさせられました。


 
 
 
 
2026年03月10日
アルネ・ダール(田口俊樹/訳)
『時計仕掛けの歪んだ罠』小学館文庫

 準備中・・・


 
 
 
 
2026年03月12日
ザフラーン・アルカースィミー
(山本薫/マイサラ・アフィーフィー/訳)
『水脈を聴く男』書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)

 準備中・・・

 
 

 
■■■ 書房入口 ■ 書房案内 ■ 航本日誌 ■ 書的独話 ■ 宇宙事業 ■■■