書的独話

 
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2024年01月11日
ディアトロフ峠事件
 

 本日は、降ったら雪だろうな、といった寒さでした。
 寒い夜には、寒い話を。

 零下30度の極寒で起こった、気温以上に震撼させられる不可解な事件が《ディアトロフ峠事件》です。
 ディアトロフ峠で起こったわけではないです。その場所が、のちにディアトロフ峠と呼ばれるようになったんです。地名になるほどの事件でした。
 それから半世紀。
 事件について考察した本が出ました。

ドニー・アイカー
『死に山
 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』

 1959年、冷戦下のソ連・ウラル山脈で起きた遭難事故。登山チーム9名はテントから1キロ半ほども離れた場所で、この世のものとは思えない凄惨な死に様で発見された。氷点下の中で衣服をろくに着けておらず、全員が靴を履いていない。3人は頭蓋骨折などの重傷、女性メンバーの1人は舌を喪失。遺体の着衣からは異常な濃度の放射線が検出された。最終報告書は「未知の不可抗力によって死亡」と語るのみ―。地元住民に「死に山」と名づけられ、事件から50年を経てもなおインターネットを席巻、われわれを翻弄しつづけるこの事件に、アメリカ人ドキュメンタリー映画作家が挑む。彼が到達した驚くべき結末とは…!
(「BOOK」データベースより)

 1959年。
 昭和34年。
 日本では皇室のご成婚でわいた年。

 現在ロシアと呼ばれている国を含む社会主義国家ソビエト連邦は、冷戦下にあります。一時期の締め付けよりは緩んでいるものの、まだ諸外国と好き勝手な往来はできません。
 学生たちの自由な精神は、厳しい環境でのトレッキングに向かっています。

 この年、イーゴリ・ディアトロフが率いたディアトロフ・グループは、ウラル山脈のオトルテン山を目指しました。
 ディアトロフ・グループのトレッキング・レベルは高く、この地域の山々を何度となく征服してきました。経験は豊富で、事前準備に余念はなく、基本に忠実、危険も覚悟していた。決して無謀な挑戦をしたわけではありません。
 それでもかれらは帰ってこなかった。
 学生たちになにが起こったのか?

 3つの視点から語られます。
  ・1959年1月、山へと向かっていく学生たち
  ・1959年2月、救助作業へと向かった人々
  ・2010年、ロシアの現場へと向かう著者
 重要参考人となる生存者や遺族、関係者を訪ねるようすが織り込まれていきます。

1959年
1月23日
 ディアトロフ・グループのメンバーは10人。
 スヴェルドロフスク市から汽車にのり、出発した。

1月26日
 最後の町ヴィジャイに到着。
 廃棄された地質調査用の北部の居住地に向かう。

1月28日
 元居住地の空き家で過ごす一行。
 出発の朝、持病が悪化した者がトレッキングを断念し、引き返した。グループのメンバーは9人となった。

2月1日
 オトルテン山への登山に備える前日。
 ホラチャフリ山(別名:死に山)の標高1079メートルの地点にテントを設営する。
 ここが、のちにディアトロフ峠と呼ばれることになる。

2月12日
 ディアトロフ・グループがヴィジャイに戻る予定日。

2月19日
 捜索隊が組織される。

2月26日
 グループのテントが発見される。今にも誰かが帰ってきそうな、整然としたようすだった。

3月5日
 この日までに、5名の遺体が発見された。死因は低体温症だった。

5月4日
 残る4人が見つかる。凄惨な死に様だった。

 ディアトロフ峠事件は、さまざまな憶測を呼びました。なにしろ情報が統制されていた時代。大事にしたくない当局は早々に決着をはかり、真相究明をしませんでした。
 当て推量による噂だけが一人歩きしていきます。
 雪崩に巻きこまれた、強風に飛ばされた、武装集団に襲われた、兵器実験に巻きこまれた……などなどなど。

 本書で著者は、ひとつずつ検討していきます。さすがに宇宙人説は論外にして。
 考えただけでなく、実際にディアトロフ峠まで足を運んでいるのが頼もしいです。行ったからこそ断言できたことも。 そのうえで著者のだした結論は、納得のいくものでした。
 読んでよかった。
 知れてよかった。

 それにしても……読んでるだけで寒かった〜。


 

 
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