「日本」を題材にしたブラック・ユーモア短編集。
表題作の「日本国の逆襲」は……日本が多国籍軍に「経済力」を封じられたあとのおはなし。「小説新潮」の91年07月号で発表されました。バブルのころが忍ばれます。
などなど、短編9本が収録されています。
著者略歴の中にはあまりでてこない作品集ですが、実は、わたしのお気に入りです。「日本」がおちょくられてるわけですから、そういうことが嫌いな方にはおすすめできません。
女優、黒柳徹子の子供のころのおはなしです。
舞台は「トモエ学園」という私立小学校で、トットちゃんが公立小学校を退学になった(!)ために転校してきた小学一年生から、疎開する(空襲で学校が焼ける)小学四年生まで。
文章がうまいわけでもないのですが、ほんわかしてて、暖かくて、泣けます。
元・刑事を主役にした短編を4つ収録。
表題作の「地を這う虫」は……事情があって警察を辞めた中年男が、連続空き巣事件にでくわしたはなし。なにかあるとすぐにメモをとるあたり「あぁ、元・刑事なんだなぁ」と、しみじみきました。
骨太ながらも、一遍一遍が短いので気軽に読めます。
比較的。
ある日突然、首都圏を正体不明の“雲”におおわれてしまった日本の(パニック)シミュレーション小説。
“雲”の内部はどうなっているのか? 首都を失った日本はどうすればいいのか? 諸外国との関係は? わくわくしながら読みました。ラストは突然でしたけどね。まぁ、始まりも突然でしたから。
名古屋を愛する人はちょっとうれしいかも?
五分だけ遅れている世界が舞台のパラレル・ワールドもの。
五分後の世界は、第二次世界大戦で日本は降伏せず、地下都市を建設して国連と闘い続けている、というもの。主役は、その世界に迷いこんだ「五分前」の世界に生きる男で「五分後」の世界に生きる日本人たちの協力を得て、自分の元いた世界に帰ろうとする。
骨太なはなしで、読みがいがありました。
ゾクゾクきますわ、こういうはなしには。
五分だけ遅れている世界が舞台のパラレル・ワールドもの。
五分後の世界は、第二次世界大戦で日本は降伏せず、地下都市を建設して国連と闘い続けている、というもの。主役はアメリカ人の女性ジャーナリストで、日本人兵士と共に、原因不明の感染症の発生源におもむく。
ウイルス大嫌い人間にはキツイだろうなぁ、と思いながら読みました。自分がウイルス大嫌い人間じゃなくって、よかったですわ。このはなしを読めたから。
ハードボイルド。探偵もの。
電話で指定された家に向かったところ、誘拐犯の一味として逮捕されてしまうのが幕開け。その後、身代金を運ぶことになるが失敗してしまい、誘拐されていた少女は死体で発見される。誘拐犯は誰か? 消えた身代金はいったいどこに?
実は、登場人物リストに記された名前が多くって読むのをためらったのですが、読みだしたら、記憶力の乏しさなど問題にはなりませんでした。
主役の探偵“沢崎”は、ちょっと好みの分かれそうなタイプだな、と思いますが。
ハードボイルド。探偵もの。
たやすく思われたボディ・ガードの仕事が、謎の追手による襲撃で失敗するのが幕開け。守るべき老人だけでなく親友も連れ去られ、探偵は追跡を始めた。老人の正体は? 親友はいったいどこに?
予備知識一切ナシで、タイトルで選びました。やっぱりタイトルのいい本は、中味もグー。などと、一人ご満悦です。
火星人にふりまわされる地球人を書いた、ユーモアSF。
ある夜突然、地球に火星人が大挙してやってくる。そのとき、たとえばSF作家のルークは、人里はなれた一軒家でカンヅメ状態だったところ。テレビ局では、生放送中。新婚のグルーダー夫妻は……といった具合に、採りあげられるシーンは限りない。
散漫なのではなく、奥行きがあるということです。作者のあとがきも、きいてました。
自分の過去(前世)をさぐる旅にでたラマ(僧)の冒険SF。
前世の最期の場面と思われる夢を見たチベットの少年僧ミグマは、真実を知るために僧院を旅立ち、世界の秘密に立ち向かう。自分はなぜ死んだのか。なんのために転生したのか。世界の秘密とはなんなのか。
ゾクゾクしながら読みました。
主な舞台は雪山で、とにかく寒かったです。