セルバンテス
『ドン・キホーテ』
ラ・マンチャ地方のさる郷士は、暇を持て余していた。50歳になるところで騎士道物語を読みふけり、家の管理やそれまでの趣味もきれいに忘れて、魔法や、途方もない出来事、恋愛沙汰、一騎打ちといった妄想でいっぱいになってしまう。
郷士は自らを、ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ、遍歴の騎士だと名乗りだす。思い姫をでっちあげ、近所に住む農夫サンチョ・パンサを褒美でつって従士とし、冒険の旅にでかけるが……。
ローラン・ビネ
『HHhH プラハ、1942年』
ラインハルト・ハイドリヒは、ヒムラーの右腕だった。第三帝国で最も危険な男と怖れられた。1942年。チェコの亡命政府は、ハイドリヒ暗殺計画を立案する。
現在チェコの教会には、カブチークとクビシュとハイドリヒの名を記したプレートが張りつけてある。襲撃と惨劇と報復と。
そのとき、なにか起こったのか?
J・グレゴリイ・キイズ
『水の都の王女』
『神住む森の勇者』
大河の神の子孫が治めるノールの第九王女ヘジは、神官たちに連れ去られた従兄デンを探していた。神官たちは、ある年代の王族を連れ去ることがある。ヘジには、基準も理由もわからない。あのころのデンと年齢が近づき、ヘジは焦燥をつのらせるが……。
一方、ノールのはるか北の地域では、バルク族のペルカルが小川の女神に恋していた。小川の女神は、なんでも食べてしまう大河の神をおそれている。小川の女神を助けるため、ペルカルは神をも殺す武器を切望するが……。
パミラ・ブランチ
『死体狂躁曲』
ファン・ヒルフォードは、死体を見つけた。夫のピーターが犯人だと直感したファンは警察に通報せず、死体を隠す道を選ぶ。
たまたま遊びにきた幼馴染のレックスは、パレエ・ダンサー。日頃バレリーナたちを持ち上げているのだから力があるはずだ。ファンはレックスに死体のことを打ち明け、ふたりは協力して始末しようとするが……。
ニー・ヴォ
『塩と運命の皇后』
チーは、シンギングヒルズ大寺院の聖職者。その使命は、記憶すること、書き留めること。記録さえあれば、後から判断することができるのだから。
封印されていた場所が解放されると耳にしたチーは、略奪される前に記録をとるため〈深紅の湖〉を訪れた。ここに〈塩と運命の皇后〉が追放されていたのだ。チーは、皇后の侍女だったという老女と出会い、話を聞くが……。
表題作のほか、同シリーズ「虎が山から下りるとき」収録。
レオ・ペルッツ
『スウェーデンの騎士』
たまたま道連れとなったのは、泥坊と、脱走兵となった貴族のクリスティアン。泥坊はクリスティアンに頼まれ、金を用立てるため代父がいるというクラインロープの屋敷に向かう。代父はすでに亡く、女領主となっていたマリア・アグネータは、差配人に財産を横領されていることに気がついていない。
泥坊はクリスティアンに成り済まし、マリア・アグネータを助けようとするが……。
エイモア・トールズ
『モスクワの伯爵』
ロストフ伯爵を救ったのは、一篇の詩だった。貴族を快く思わないボリシェヴィキ政府だったが、民衆を鼓舞した詩を発表した伯爵の功績を考慮し、銃殺刑ではなく軟禁刑としたのだ。かくして伯爵は、現在の住まいであるメトロポール・ホテルに暮らすことになった。
ホテルの屋根裏部屋に居を移した伯爵は、人生を投げださないことを心に決める。時代の変化をメトロポールに居ながらにして感じ取るが……。
イーライ・ブラウン
『シナモンとガンパウダー』
ラムジー卿の料理人だったオーウェン・ウェッジウッドは、ラムジー卿を殺めた海賊ハンナ・マボットに連れ去られてしまった。マボットの要求は、どんな皇帝にもひけを取らない最高の食事。
ウェッジウッドは生き延びるために最悪の状況下で料理を考案しつつ、脱走の機会をうかがうが……。
2023年01月 | 『深海のYrr』フランク・シェッツィング 『ジャングル・ブック』ラドヤード・キップリング 『あの本は読まれているか』ラーラ・プレスコット 『スティール・キス』ジェフリー・ディーヴァー 『蛇の言葉を話した男』アンドルス・キヴィラフク 『アポロ18号の殺人』クリス・ハドフィールド 『エドウィン・マルハウス』スティーヴン・ミルハウザー |
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2023年02月 | 『白衣の女』ウィルキー・コリンズ
『ハザール事典[女性版]夢の狩人たちの物語』ミロラド・パヴィチ 『ハザール事典[男性版]夢の狩人たちの物語』ミロラド・パヴィチ 『惑星カレスの魔女』ジェイムズ・H・シュミッツ 『ボヘミアの不思議キャビネット』マリー・ルツコスキ 『天球儀とイングランドの魔法使い』マリー・ルツコスキ 『レインボーズ・エンド』ヴァーナー・ヴィンジ |
2023年03月 | 『水の都の王女』J・グレゴリイ・キイズ 『神住む森の勇者』J・グレゴリイ・キイズ 『テネブラ救援隊』ハル・クレメント 『エンド・オブ・オクトーバー』ローレンス・ライト 『死をはこぶ航海』イアン・ローレンス 『闇にひそむ海賊』イアン・ローレンス 『アクロイド殺し』アガサ・クリスティー |
2023年04月 | 『風の影』カルロス・ルイス・サフォン 『タタール人の砂漠』ディーノ・ブッツァーティ 『マイ・フェア・レディーズ』トニー・ケンリック 『夜毎に石の橋の下で』レオ・ペルッツ 『リトル・カントリー』チャールズ・デ・リント 『タイムラインの殺人者』アナリー・ニューイッツ 『誰?』アルジス・バドリス 『死者の書』ジョナサン・キャロル |
2023年05月 | 『三銃士』アレクサンドル・デュマ 『ブルックリンの死』アリッサ・コール 『フォワード 未来を視る6つのSF』未来テーマSF 『ネコのつけた日記』ヨセフ・コラールシュ 『スモモの木の啓示』ショクーフェ・アーザル 『王子と乞食』マーク・トウェイン 『犬の心臓・運命の卵』ミハイル・ブルガーコフ 『最後の審判の巨匠』レオ・ペルッツ |
2023年06月 | 『ドン・キホーテ』セルバンテス 『死体狂躁曲』パミラ・ブランチ 『縮みゆく男』リチャード・マシスン 『ウサギ料理は殺しの味』ピエール・シニアック 『水源』アイン・ランド |
2023年07月 | 『我ら死者とともに生まれる』ロバート・シルヴァーバーグ 『塩と運命の皇后』ニー・ヴォ 『スウェーデンの騎士』レオ・ペルッツ 『ロンドン・アイの謎』シヴォーン・ダウド 『僧正殺人事件』S・S・ヴァン・ダイン 『地底旅行』ジュール・ヴェルヌ 『時ありて』イアン・マクドナルド 『ダーウィンのドラゴン』リンゼイ・ガルビン 『クララとお日さま』カズオ・イシグロ 『ロドリゴ・ラウバインと従者クニルプス』エンデ&フロイント |
2023年08月 | 『名探偵と海の悪魔』スチュアート・タートン 『モスクワの伯爵』エイモア・トールズ 『不思議な少年44号』マーク・トウェイン 『ブラック・スクリーム』ジェフリー・ディーヴァー 『クイーンズ・ギャンビット』ウォルター・テヴィス 『平和という名の廃墟』アーカディ・マーティーン 『タイムボックス』アンドリ・S・マグナソン 『首のない女』クレイトン・ロースン 『蘇りし銃』ユーン・ハ・リー |
2023年09月 | 『指差す標識の事例』イーアン・ペアーズ 『インテグラル・ツリー』ラリイ・ニーヴン 『スモーク・リング』ラリイ・ニーヴン 『かもめ』チェーホフ 『惑う星』リチャード・パワーズ 『不死鳥と鏡』アヴラム・デイヴィッドスン 『グッゲンハイムの謎』スティーヴンス&ダウド 『最後の宇宙飛行士』デイヴィッド・ウェリントン 『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリー |
2023年10月 | 『九段下駅 或いはナインス・ステップ・ステーション』 『小惑星ハイジャック』ロバート・シルヴァーバーグ 『哀れなるものたち』アラスター・グレイ 『都市』クリフォード・D・シマック 『カリブ海の秘密』アガサ・クリスティー 『復讐の女神』アガサ・クリスティー 『夏への扉[新訳版]』ロバート・A・ハインライン 『ワニの町へ来たスパイ』ジャナ・デリオン 『HHhH プラハ、1942年』ローラン・ビネ 『はなればなれに』ドロレス・ヒッチェンズ |
2023年11月 | 『異星の客』ロバート・A・ハインライン 『竜を駆る種族』ジャック・ヴァンス 『七人のおば』パット・マガー 『エステルハージ博士の事件簿』アヴラム・デイヴィッドスン 『青い城』モンゴメリ 『生存の図式』ジェイムズ・ホワイト 『マーダー・ミステリ・ブッククラブ』C・A・ラーマー 『三体』劉慈欣 『図書館がくれた宝物』ケイト・アルバス 『小さなことばたちの辞書』ピップ・ウィリアムズ |
2023年12月 | 『マネー!マネー!マネー!』ポー・ブロンソン 『人類の知らない言葉』エディ・ロブソン 『古い骨』アーロン・エルキンズ 『メキシカン・ゴシック』シルヴィア・モレノ=ガルシア 『ユートピア』トマス・モア 『恐竜と生きた男』ジョージ・ゲイロード・シンプソン 『キルトとお茶と殺人と』サンドラ・ダラス 『シナモンとガンパウダー』イーライ・ブラウン 『殺人交叉点』フレッド・カサック 『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』T・キングフィッシャー |