航本日誌 width=

 
1998年の記録
目録
 
 2
/現在地
 
このページの本たち
SFバカ本 たいやき編』大原まり子・岬兄悟/編
アラブの電話』村上政彦
はるさきのへび』椎名 誠
天を越える旅人』谷 甲州
エキゾティカ』中島らも
 
後宮小説』酒見賢一
星の墓標』谷 甲州
テロリストのパラソル』藤原伊織
時間泥棒』ジェイムズ・P・ホーガン
時空の支配者』ルーディ・ラッカー
カブキの日』小林恭二

 
各年の目録のページへ…

 
 
 
 
1998年04月24日
大原まり子・岬兄悟/編
『SFバカ本 たいやき編』
ジャストシステム

 バカなSF小話を集めたアンソロジー。2人の選者の他に、岡崎弘明、東野司、伏見憲明、麻城ゆう、森奈津子、山藍紫姫子、のバカ話が読める。
 いいねー。SFの基本だよ、バカ話は。


 
 
 
 
1998年04月27日
村上政彦『アラブの電話』福武書店

 村上政彦の長編が読みたかったのだが、中途半端な中編と短編のセットだった。ちと残念。ただ相変わらずタイトルがいい。
 最近の人は乱読なんてしないそうだが、近場に図書館なり激安古書店なりがあるのなら、ぜひおすすめしたい。売れてる本を読むのもいいが、他人の選んだ本では、なかなか自分を発見することができない。なぜ本を読むのか? 乱読すると分かる。すると村上政彦のような作家を見つけられるわけだ。


 
 
 
 
1998年05月02日
椎名 誠『はるさきのへび』集英社

 私小説風の小説集。
 自分の私生活をベースに架空のはなしを書いているのがおもしろい。(あくまで私小説なので、基本はホントのはなし)Aのはなしででてくるエピソードが、別のBの話では主役の過去として語られる…。椎名誠パズルの輪郭が浮きでてくる感があり、おもしろい。
 椎名誠は愛読誌「本の雑誌」の編集長で、とてもおもしろい文書を書く人だという認識はあるものの、なかなか手のだせない作家の一人。
 出版社によって、本の書体や組み、印刷法が微妙に異なるのだが、好きではない、読まない出版社というのが確かにあり、椎名誠の本は大半がここに収まってしまうのが原因。よくない傾向だ。


 
 
 
 
1998年05月20日
谷 甲州『天を越える旅人』ハヤカワ文庫JA

 雑誌「岳人」に連載されていた登山小説……なんだけど、仏教小説とした方が近いかも。チベット系の仏教。
 さすが仏教系だけあって、哲学しちゃってまぁ、て感じです。でもそこがおもしろい!
 仏教の知識ゼロな方は、さわりだけでも勉強してから読むことをおすすめします。もしかすると、理解できないまま終わってしまうかもしれないから。


 
 
 
 
1998年05月31日
中島らも『エキゾティカ』双葉社

 短編の寄せ集めなので1つ1つゆったり読みたいところ。
 ハナシの内容はもちろんだけど(と言っても納得できない人もいるかも)なんたってレイアウトがいい。短編集の場合、ただ文字が並んでるだけよりおしゃれである方がドキドキ度が増すんだなぁ、私の場合。長編でヘンにこられちゃうと肩こるけど。
 東南アジア的なハナシが読みたいなーって人におすすめします。


 
 
 
 
1998年06月15日
酒見賢一『後宮小説』新潮社

 第1回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
 アニメで見たから、まっいっかーて感じで、今の今まで手つかずだったんですが、これがすごかった!!
 架空国家のイナカ娘が皇帝の正妃に就職するのが大スジ。 
 で、なにがすごいって…物語の手法。つまるところ歴史書のパロディなんである。
 今や中国もので確固たる地位を築いた感のある宮城谷昌光も研究発表的な部分があるけれど、それとはまた違う趣向。おもしろいです。
 でも、学術書嫌いな人にはおすすめできせん。


 
 
 
 
1998年06月30日
谷 甲州『星の墓標』ハヤカワ文庫JA

 《航空宇宙軍史》シリーズ。
 拡散しているSF界の中で比較的中心部に位置する大マジなSF。
 連作中編集。
 概略を知らずに読んでほしい1冊。ただし、SFって小難しいと思ってる人にはおすすめしません。


 
 
 
 
1998年07月20日
藤原伊織『テロリストのパラソル』講談社

 江戸川乱歩賞受賞作。
 自分の知らない世界がそこにある的おもしろさ。そしてなにより、新人賞応募作としての話の展開の仕方がきっちり守られていたと思います。(ただ起承転結なだけでは最後まで残れない)しかしこの話、実は悪評も多いんです。でてくる人、でてくる人、みんな関係者。出だしがすごかっただけに、ちょっと引いてしまいました。
 でも、興味のある人は絶対読むべし。


 
 
 
 
1998年12月19日
ジェイムズ・P・ホーガン(小隅 黎/訳)
『時間泥棒』
創元SF文庫

 以前、とあるベストセラー作家が「今どきタイム・マシンって人もいないでしょ」発言をしていて、それを聞いて以来、時間にかかわるものになんとなく目がいってます。バクスター(中原尚哉/訳)『タイム・シップ』とか、大原まり子『タイム・リーパー』とか…。『時間泥棒』にはタイム・マシンはでてきませんが、その延長線上です。ワタシの中では。


 
 
 
 
1998年12月27日
ルーディ・ラッカー(黒丸 尚/訳)
『時空の支配者』
ハヤカワ文庫SF

 主要な存在としてでてくる寄生頭脳とかたくさんの自身の小人とか、ワタシは、オールディス『地球の長い午後』や大原まり子『物体Mは私の夢を見るか?』を思い浮かべてしまうのですが(寄生する場所や発生の仕方はそれぞれ違います)、こういう記憶の喚起って、書かれた順より読んだ順なのだな、とつくづく思いましたよ。


 
 
 
 
1998年12月30日
小林恭二『カブキの日』講談社

 ようやくの仕事納め。やれやれ。で、読みました。小林恭二氏については『日本国の逆襲』、『邪悪なる小説集』、と短編集のみ読んでまして、長いのは初めて。しかもカブキ……。カブキの知識が皆無だからか、最初のほうはかなりこんぐらがりました。もう少し知ってれば、もっとずっと何倍も楽しめたかもしれないなぁ、と思うと少し口惜しくもあります。

 
 

 
■■■ 書房入口 ■ 書房案内 ■ 航本日誌 ■ 書的独話 ■ 宇宙事業 ■■■