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2003年の記録
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このページの本たち
時間飛行士へのささやかな贈物』フィリップ・K・ディック
バベル-17』サミュエル・R・ディレイニイ
黒猫の三角』森 博嗣
ユービック』フィリップ・K・ディック
20億の針』ハル・クレメント
 
一千億の針』ハル・クレメント
時間衝突』バリントン・J・ベイリー
ヨブ』ロバート・A・ハインライン
プリズム』神林長平
銀河パトロール隊』E・E・スミス

 
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2003年01月14日
フィリップ・K・ディック
(浅倉久志/大森 望/大瀧啓裕/友枝康子/訳)
『時間飛行士へのささやかな贈物』
ハヤカワ文庫SF

 短編集。
「父さんに似たもの」
「アフター・サーヴィス」
「自動工場」
「人間らしさ」
「ベニー・セモリがいなかったら」
「おお! ブローベルとなりて」
「父祖の信仰」
「電気蟻」
「時間飛行士へのささやかな贈物」
以上、9作品を収録。

 表題作の「時間飛行士へのささやかな贈物」は……
 タイム・トラベルの実験中に爆発事故が起きてしまう。乗員は全員死亡。 乗組員の一人であるアディスンは、死の直前に恋人・メリールウの家に仲間たちを招く。そして、事故の原因を探ろうとするが……。
 哀しいです。とても。


 
 
 
 
2003年01月15日
サミュエル・R・ディレイニイ(岡部宏之/訳)
『バベル-17』ハヤカワ文庫SF

 リドラは、かつて軍の暗号部で働いていた、美貌の詩人。フォレスター将軍から〈バベル−17〉を解読する依頼を受けた。
〈バベル−17〉は、インベーダーの破壊活動が行われるときにあらわれる、発信源不明の謎の通信。リドラは、それが一種の宇宙言語であることをつきとめる。
 だれが、どこで、この謎の言語をしゃべっているのか?
 いったい何を言おうとしているのか?
 リドラは、宇宙船を駆り、次の事故の現場に急行することを決心する。

 快作。
 ただし、ディレイニイの華は、読む人を選ぶのが難点。
 おもしろいんですけどね。


 
 
 
 
2003年02月09日
森 博嗣
『黒猫の三角』
講談社文庫

 保呂草潤平は、私立探偵兼便利屋。
 入居しているアパート・阿漕荘のオーナーから、護衛の依頼を受けた。
 一年に一度、決まった条件下で起こる殺人事件。日にちは、7月7日ないしは6月6日。最初の被害者は11歳。次は22歳。昨年は33歳。
 オーナーの小田原静子は6月6日の誕生日に44歳になるのだが、殺人を予告するかのような手紙が届いたのだ。
 保呂草は、誕生パーティーの開かれる小田原家を監視するが、静子は殺されてしまう……。

 キャラクターが気に入らないと、楽しむことが難しい作品。


 
 
 
 
2003年02月11日
フィリップ・K・ディック(浅倉久志/訳)
『ユービック』ハヤカワ文庫SF

 1992年。
 ランシター合作社は、超能力者の力を中和する不活性者の良識機関。このところ、たてつづけに能力者たちを見失っていた。能力者たちはいったいどこに消えたのか?
 その謎は、仕事の依頼をしにワートが現れたことから解明する。
 月面プロジェクトに、かなりの数のテレパスが紛れ込んでいるというのだ。
 ランシターはワートの求めに応じ、月面に11名の不活性者を送り込むことになった。自分と、片腕のジョーもつれ、罠とも知らずに……。

 ジョーの前に現れる、死んだはずのランシター。
 退行していく時間。
 退行に立ち向かえるのは特効薬ユービックのみ……。
 ディック独自のアイデアと不可思議性がきらめく、サスペンスです。


 
 
 
 
2003年02月15日
ハル・クレメント(井上 勇/訳)
『20億の針』創元SF文庫

 “捕り手”は“ホシ”を追っていた。
 それぞれが宇宙船を駆り、墜落した先は地球の南太平洋。ゼリー状の半液体生物たちは、宿主なしには生きられない。
“捕り手”は、浜に居合わせた一人の少年の体内に入りこんだ。少年の名はロバート・キンネアド。二つの生命体はコンタクトに成功するが、それは捜査の始まりにすぎない。
“ホシ”はいったい誰に入りこんでいるのか?

 傑作は、麻薬のよう。


 
 
 
 
2003年02月16日
ハル・クレメント(小隅 黎/訳)
『一千億の針』創元SF文庫

20億の針』の続編。
 前回の事件から7年。
 共存をつづけるロバート・キンネアドと“捕り手”だったが、次第に二人の関係はうまくいかなくなる。“捕り手”がいるために、ロバートの免疫機能が働かなくなりだしたのだ。次第に弱々しくなっていくロバート。
“捕り手”は、母星の科学者たちと連絡をとることを決意する。
 7年前の墜落で自分の宇宙船は破壊されたが“ホシ”の宇宙船は交信可能かもしれない!
 どこにあるかもしれない宇宙船捜しにとりかかる二人。
 やがて、ロバートは自分の命が狙われていることを知る。“ホシ”は生きていたのか?

 前作の傑作ぶりからは一歩引いた感じでした。
 あるいは、期待しすぎたか……。


 
 
 
 
2003年02月23日
バリントン・J・ベイリー(大森 望/訳)
『時間衝突』創元SF文庫

 ロンド・ヘシュケは、考古学者。異星人・アムラックとの戦争で破壊された遺跡を調べていた。
 ある日ヘシュケは、自称〈地球の守護者〉タイタン軍に召集される。異星人の人工物と思われるものを調べるために。しかし、それは名目。タイタン軍が発見したのは、異星人のタイムマシンの発見だった。
 ヘシュケは、現在自分が発掘しているハザー遺跡へと旅立つことに。ただし300年前の。
 そこでヘシュケが目の当たりにしたのは、自分で遺物に彫り込んでおいた整理番号だった。
 時間は逆行しているのか?

 地味な表紙で損しているような一冊。
 ベイリーの面白さは、一種の不真面目さだと思うのですが。


 
 
 
 
2003年03月03日
ロバート・A・ハインライン(斎藤伯好/訳)
『ヨブ』ハヤカワ文庫SF

 牧師アレックスの試練は突然だった。
 それは船旅で寄った南の島で火渡りに挑戦してから始まった。火渡り直後に意識を失って目覚めると、世界が変わっていたのだ。新たな世界での名前はアレック。マルガレーテという恋人がおり、船内貸金庫には百万ドルの現金が……。
 アレックスはマルガレーテに事情を打ち明けるが、今度はマルガレーテ共々新たな世界に転移することになってしまう。

 600ページ程の厚い作品で、内容的には二部に分かれてます。
 第一部は、アレックスとマルガレーテの試練の旅路。マルガレーテが北欧の最高神オーディンを信仰しているために、牧師であるアレックスはなんとか改宗させようとがんばっちゃう。というのもアレックスは、キリスト教の〈最後の審判〉が始まるのも時間の問題だと思っているから……。
 第二部は、読んで確かめてください。


 
 
 
 
2003年03月07日
神林長平
『プリズム』
ハヤカワ文庫JA

 連作短編集。
「ペンタグラム」
「TR4989DA」
「ブラック・ウィドゥ」
「ルービィ」
「ヴァーミリオン」
「パズラー」
「ヘクサグラム」
以上、7作品を収録。

 日常生活のすべてを掌握している“制御体”という名の機械をいただくリンボウ。色が司るルービィ・ランド。二つの世界を軸に展開する物語群。

 どうも読む時期ではなかったようです。
 まどろっこしい感じだけが残りました。


 
 
 
 
2003年03月08日
E・E・スミス(小隅 黎/訳)
『銀河パトロール隊』創元SF文庫

 惑星間飛行が日常となった未来の世界。
 惑星レベルでは対応しきれなくなった犯罪に対抗して、銀河パトロール隊が誕生した。その精鋭がレンズマンたちである。
 キムボール・キニスンは、新人レンズマン。
 宇宙海賊ボスコーンとの闘いのために、最新鋭艦〈ブリタニア〉号で出撃した。搭載された兵器は、新開発のQ砲。キニスンは、まんまと海賊の有する極秘情報を手に入れたものの、情報は持ち帰らなければ意味がない。迫る海賊の包囲網。
 どうする、キニスン?

 ついつい夜更かししてしまった一冊。
 昔の作品の匂いがプンプンで、馴染めない人は楽しめないんでしょうけど、そういうのが好きな人にはお薦め……しなくてもご存知でしょうね。

 
 

 
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