短編集。
「父さんに似たもの」
「アフター・サーヴィス」
「自動工場」
「人間らしさ」
「ベニー・セモリがいなかったら」
「おお! ブローベルとなりて」
「父祖の信仰」
「電気蟻」
「時間飛行士へのささやかな贈物」
以上、9作品を収録。
表題作の「時間飛行士へのささやかな贈物」は……
タイム・トラベルの実験中に爆発事故が起きてしまう。乗員は全員死亡。 乗組員の一人であるアディスンは、死の直前に恋人・メリールウの家に仲間たちを招く。そして、事故の原因を探ろうとするが……。
哀しいです。とても。
リドラは、かつて軍の暗号部で働いていた、美貌の詩人。フォレスター将軍から〈バベル−17〉を解読する依頼を受けた。
〈バベル−17〉は、インベーダーの破壊活動が行われるときにあらわれる、発信源不明の謎の通信。リドラは、それが一種の宇宙言語であることをつきとめる。
だれが、どこで、この謎の言語をしゃべっているのか?
いったい何を言おうとしているのか?
リドラは、宇宙船を駆り、次の事故の現場に急行することを決心する。
快作。
ただし、ディレイニイの華は、読む人を選ぶのが難点。
おもしろいんですけどね。
保呂草潤平は、私立探偵兼便利屋。
入居しているアパート・阿漕荘のオーナーから、護衛の依頼を受けた。
一年に一度、決まった条件下で起こる殺人事件。日にちは、7月7日ないしは6月6日。最初の被害者は11歳。次は22歳。昨年は33歳。
オーナーの小田原静子は6月6日の誕生日に44歳になるのだが、殺人を予告するかのような手紙が届いたのだ。
保呂草は、誕生パーティーの開かれる小田原家を監視するが、静子は殺されてしまう……。
キャラクターが気に入らないと、楽しむことが難しい作品。
1992年。
ランシター合作社は、超能力者の力を中和する不活性者の良識機関。このところ、たてつづけに能力者たちを見失っていた。能力者たちはいったいどこに消えたのか?
その謎は、仕事の依頼をしにワートが現れたことから解明する。
月面プロジェクトに、かなりの数のテレパスが紛れ込んでいるというのだ。
ランシターはワートの求めに応じ、月面に11名の不活性者を送り込むことになった。自分と、片腕のジョーもつれ、罠とも知らずに……。
ジョーの前に現れる、死んだはずのランシター。
退行していく時間。
退行に立ち向かえるのは特効薬ユービックのみ……。
ディック独自のアイデアと不可思議性がきらめく、サスペンスです。
“捕り手”は“ホシ”を追っていた。
それぞれが宇宙船を駆り、墜落した先は地球の南太平洋。ゼリー状の半液体生物たちは、宿主なしには生きられない。
“捕り手”は、浜に居合わせた一人の少年の体内に入りこんだ。少年の名はロバート・キンネアド。二つの生命体はコンタクトに成功するが、それは捜査の始まりにすぎない。
“ホシ”はいったい誰に入りこんでいるのか?
傑作は、麻薬のよう。
『20億の針』の続編。
前回の事件から7年。
共存をつづけるロバート・キンネアドと“捕り手”だったが、次第に二人の関係はうまくいかなくなる。“捕り手”がいるために、ロバートの免疫機能が働かなくなりだしたのだ。次第に弱々しくなっていくロバート。
“捕り手”は、母星の科学者たちと連絡をとることを決意する。
7年前の墜落で自分の宇宙船は破壊されたが“ホシ”の宇宙船は交信可能かもしれない!
どこにあるかもしれない宇宙船捜しにとりかかる二人。
やがて、ロバートは自分の命が狙われていることを知る。“ホシ”は生きていたのか?
前作の傑作ぶりからは一歩引いた感じでした。
あるいは、期待しすぎたか……。
ロンド・ヘシュケは、考古学者。異星人・アムラックとの戦争で破壊された遺跡を調べていた。
ある日ヘシュケは、自称〈地球の守護者〉タイタン軍に召集される。異星人の人工物と思われるものを調べるために。しかし、それは名目。タイタン軍が発見したのは、異星人のタイムマシンの発見だった。
ヘシュケは、現在自分が発掘しているハザー遺跡へと旅立つことに。ただし300年前の。
そこでヘシュケが目の当たりにしたのは、自分で遺物に彫り込んでおいた整理番号だった。
時間は逆行しているのか?
地味な表紙で損しているような一冊。
ベイリーの面白さは、一種の不真面目さだと思うのですが。
牧師アレックスの試練は突然だった。
それは船旅で寄った南の島で火渡りに挑戦してから始まった。火渡り直後に意識を失って目覚めると、世界が変わっていたのだ。新たな世界での名前はアレック。マルガレーテという恋人がおり、船内貸金庫には百万ドルの現金が……。
アレックスはマルガレーテに事情を打ち明けるが、今度はマルガレーテ共々新たな世界に転移することになってしまう。
600ページ程の厚い作品で、内容的には二部に分かれてます。
第一部は、アレックスとマルガレーテの試練の旅路。マルガレーテが北欧の最高神オーディンを信仰しているために、牧師であるアレックスはなんとか改宗させようとがんばっちゃう。というのもアレックスは、キリスト教の〈最後の審判〉が始まるのも時間の問題だと思っているから……。
第二部は、読んで確かめてください。
連作短編集。
「ペンタグラム」
「TR4989DA」
「ブラック・ウィドゥ」
「ルービィ」
「ヴァーミリオン」
「パズラー」
「ヘクサグラム」
以上、7作品を収録。
日常生活のすべてを掌握している“制御体”という名の機械をいただくリンボウ。色が司るルービィ・ランド。二つの世界を軸に展開する物語群。
どうも読む時期ではなかったようです。
まどろっこしい感じだけが残りました。
惑星間飛行が日常となった未来の世界。
惑星レベルでは対応しきれなくなった犯罪に対抗して、銀河パトロール隊が誕生した。その精鋭がレンズマンたちである。
キムボール・キニスンは、新人レンズマン。
宇宙海賊ボスコーンとの闘いのために、最新鋭艦〈ブリタニア〉号で出撃した。搭載された兵器は、新開発のQ砲。キニスンは、まんまと海賊の有する極秘情報を手に入れたものの、情報は持ち帰らなければ意味がない。迫る海賊の包囲網。
どうする、キニスン?
ついつい夜更かししてしまった一冊。
昔の作品の匂いがプンプンで、馴染めない人は楽しめないんでしょうけど、そういうのが好きな人にはお薦め……しなくてもご存知でしょうね。