世の中には、犬派と猫派がいるそうで。
どちらかといえば、自分は猫派。猫のからむ物語の方を選びがちです。とはいえ、別に犬を否定しているわけではありません。
というわけで、犬派大絶賛、らしいノンフィクションに手を出してみました。
ジョン・グローガン
『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』
子育ての練習にと、新婚のジョンとジェニーがひきとった仔犬のマーリー。頭がいいラブラドール・レトリーバーを選んだはずが、みるみる大きく育ってやんちゃなバカ犬になり、夫婦は数々の騒動にふりまわされることに。でも、出産、子育て、転職と人生の転機を支えあって乗り越えていく二人にマーリーは大切なことを教えてくれた—愛犬家を中心に絶大な支持を得て世界的ベストセラーに登りつめたエッセイ。
(「BOOK」データベースより転載)
新婚のジョンとジェニーは、どちらも子供時代に犬と一緒に成長してきたので、たぶん、練習というのは口実。
犬と暮らせる環境にいるのに飼わずしてどうする?
ってところでしょうか。
夫婦が向かったのは、素人ブリーダーのお宅。
利益優先のブリーダーは避けるべきだと判断したから。その気持ちは分からなくもないけれど、プロのブリーダーが一律ダメというわけではないし、素人ブリーダーが最上かといえば、そういうわけでもないような……。
最終的には、個人の考え方、ということになるのでしょうか。
ブリーダーが提示した値段は、
・雌400ドル
・雄375ドル
ジョンは、一匹の仔犬に目をとめます。すかさずブリーダーが一言。
その子なら350ドルでけっこうですよ
バーゲン品に目のないジェニーは、即決します。ジョンも、一応のテストはするものの、お買い得なその子に決めます。
雌と雄の価格差は一般的だと思うけれども、交渉する前から割引されている仔犬って、どうなんでしょう?
値段がものをいうなら、飼い主に見放された犬を検討してもよかったのでは?
かつてジョンは、“完璧な犬”と誰もが認めるショーンを飼ってました。もしかして、ショーンは完璧だったのに、飼い主の方は雑種であることに引け目を感じていたのでしょうか?
だとしたら、ちょっと残念。
この安売りしてた仔犬が、世界一のバカ犬とレッテルを貼られてしまうマーリー。(飼い主の具合が悪いときには、おとなしく側に寄り添ってくれるいい子なんですが……)
こうなってみるとブリーダーは、良心はなかったとしても、さすがに犬を見る目をお持ちだな、と。
で、肝心の話はというと、マーリー中心に展開するのは少しだけ。家族の話の方が比重が大きいです。子供が産まれたり、転職したり、引っ越ししたり。
犬の話かと思っていたので、少々物足りない。
しかもこの家族は、マーリーがもう長くないと分かっているのに、ディズニーワールドに旅行に行ってしまうのです。もちろん、しっかりした動物病院に預けてはいますけれど。
犬派の人が読むと、ちがう印象なのでしょうね。生活の中に溶け込んでいるマーリーを思って、頷いたりできるのでしょうね。
やっぱり猫派なのだわ、と再認識した一冊でした。