書的独話

 
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2018年06月28日
七番目の息子の七番目の息子
 

 スーザン・クーパーの『闇の戦い1 光の六つのしるし』を読んでいたら、主人公のウィルは、実は……という形で出てきた設定が

 七番目の息子の七番目の息子

 というやつ。
 これまでウィルは知らなかったけれど、兄がひとり幼くして亡くなったので、実は七番目の息子なんです、と。それ以上の言及はなく、それを理由にした事件が起こるでもなく、そういうことだから分かるよね? といった感じ。
 いや、ぜんぜん分からん。
 でも、この設定、他でもあったような気がする……と記憶をたどってみて、思い出しました。

 オースン・スコット・カードの《アルヴィン・メイカー》シリーズに出てきた設定。第一巻『奇跡の少年』での航本日誌に、自分で(作中の該当箇所をひろって)「七番目の息子の七番目の息子」について書いてました。

 七番目の息子のさらに七番目の息子は、奇跡の子。七番目の息子にはすばらしい才能が宿り、そのさらに七番目の息子は最強の産まれつきと言い伝えられている。

 カードの独自設定かと思ってました。クーバーの本にも出てくるということは、言い伝えがあるんですね、本当に。
 というわけで、ほんのちょっと調べてみました。

 出所はカバラ説を発見。
 カバラというのは、Wikipediaによると「ユダヤ教の伝統に基づいた創造論、終末論、メシア論を伴う神秘主義思想」だそう。そのカバラで、 七番目の息子の七番目の息子を、奇跡の人とか、聖なる人という意味で呼んでいた、と。
 この説が本当かどうか、なぜそう呼ぶようになったのか、詳しいことは調べきれていないのですが、宗教がらみだったか、と理解しました。だから、七番目の息子の七番目の息子という設定ひとつで、後追いの説明もなく、きわめつきの特別な子なんです、ということが示せるんですね。
 ただし、同じ文化圏に所属している人には。

 この文化圏問題。
 翻訳物が苦手な人の原因って、ここだろうな、と思います。
 あまりに当たり前すぎて、わざわざ補足なんかしない。でも、異なる文化圏で育ってきた人には、察することすらできない。そういう問題。

 閑話休題。
 七番目の息子の七番目の息子は、特別ななにかを持っている、と。
 七番目の娘はいかんのか?
 現代だと、ちょっと問題になるかもしれませんね。

    * * * * *

スーザン・クーパー
闇の戦い1 光の六つのしるし
 ウィルは11歳の誕生日に〈古老〉として目覚めた。生まれながらに、光と闇との長い戦いに身を捧ぐべく定められていたのだ。ウィルは仲間の〈古老〉たちに導かれ、六つの偉大な〈光のしるし〉を捜すが……。

オースン・スコット・カード
奇跡の少年
 北米大陸には、いまだ開かれていない土地が残っていた。多くのアメリカ人が新しい土地を目指し、西へ西へと移動していく。ミラー家もそのうちのひとつ。
 アルヴィン・ジュニアは、そんな一家に生まれた。実はアルヴィンは創造主の生まれ変わり。そのために命を狙われるが……。


 

 
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