なんの予備知識もなしに読んだ本が映画の原作だと知って、それじゃあ映画の方も観てみるか、となった顛末。
W・ブルース・キャメロンの『野良犬トビーの愛すべき転生』を読んだのは、1月11日。タイトル的には、主人公の野良犬トビーが、何度か転生する話です。実際のところは、転生したら飼犬ベイリーとなった犬が、さらに何度か転生する話、の方が近いか。
兄弟姉妹に囲まれ、野良犬としてこの世に生を受けた僕。驚くことに生まれ変わり、少年イーサンの家に引き取られ、ベイリーと名づけられる。イーサンと喜びも悲しみも分かち合って成長した僕は、歳を取り幸福な生涯を閉じる。ところが、目覚めると、今度はメスのエリーになっていた! 警察犬として厳しい訓練を受け、遭難した少年の救助に命がけで向かうが…。全米ベストセラー。
(引用:「BOOK」データベース)
映画のタイトルは「僕のワンダフル・ライフ」(2017年公開)。残念ながら愛犬家ではないので関心が薄く、どこかで聞いたことがあるなぁ、程度。
映画がヒットしたかどうか、判断基準のひとつに興行収入10億円以上、という数字があるようです。今作は10億円は超えているらしいので、話題作ではあったようです。
以降、多少のネタバレがありますのであしからず。
読了から4か月近くたって、ようやく鑑賞しました。
ちなみに、映画の方の内容紹介はこんな感じ。
『ギルバート・グレイプ』『HACHI 約束の犬』の監督が贈る最新作。
それ、内容紹介じゃないよね? と思いつつ。
どっちも観てないし。
映画は1時間40分ですが、原作は、とてもじゃないけれどその時間では読み切れません。当然、再構成されていくつかのエピソードがカットされているはず。あるいは……
転生もしないし別の話になっているかも?
などと考えてました。が、意外なことに、原作のストーリーほぼそのままでした。
野良犬として生まれて、捕獲されて安楽死させられて、生まれ変わって少年イーサンと出会って、死んで生まれ変わったら女の子で警察犬として活躍して、死んで生まれ変わって新しい飼主と仲良くなって、死んで生まれ変わって虐待されて野に放たれて、老人(?)イーサンと再会。
これをたったの100分で。
警察犬時代のエピソードが改変されているくらいで、ほぼ原作どおり。その結果、前世での記憶を活用するシーンはなくなり、イーサンとのエピソードもかなり割愛されてました。
映画化にあたっての契約で、ストーリーの改変に制限があったのでしょうか。
経験を生かさないなら、転生を繰り返す必要なんてないのに。イーサンとの友情が端折られてしまうと、転生後の飼主との意気投合があってもなおイーサンを想っている、その心理が伝わってこない気がします。
それとも、より多くの種類の犬を登場させるために、わざと転生を繰り返させた?
転生1回だけの方が、スッキリすると思えるのですが。
いきなり少年イーサンと出会って数々のエピソードを経て、死んで生まれ変わって虐待されて野に放たれて、老人イーサンと再会。
1回だけなら、両者の絆にたっぷり時間を割けますしね。
この「僕のワンダフル・ライフ」を鑑賞して、なにかがカットされていると感じた方は、ぜひ原作の『野良犬トビーの愛すべき転生』を読んでみてください。なにかがあると思います。
正直なところ原作の主犬公は自分至上主義者なので、そこが好きになれなかったんですけどね。