ムーミンパパの捨て子時代から、ムーミンママに出会うまでのおはなし。
挿絵の入ってる本って正直苦手ですが、このムーミン・シリズは、いくつかある例外のうちの一つ。癒されます。
刊行当時も読書家たちのあいだで話題になりましたが、すごく軽い本です。
中身は、軽いショート・ショートの詰め合わせ。作品に合わせた装丁にしたのでしょう。装丁がいい本って、それだけでおもしろく思えるから不思議です。
不思議といえば、内容も。夢の世界を文字化したかのような、不可思議なショート・ショートの嵐でした。おもしろがれたり、意味不明だったり、不愉快になったり……。
この本は、実は「一人の男が飛行機から飛び降りる」と「父の頭をかぶって」の合本になってます。ショート・ショートという形式はおなじなので、両者にそれほどちがいはないかもしれませんが。
戦闘機乗りの男と、その戦闘機に搭載された人工知能の物語。
名作でした。
すべてに納得できるわけでもないし、すべてに満足できるわけでもないけど“名作”っていうのは、そういうもの……。
でも、おもしろがれない人が確実にいるのが見えているので、ちょっと小声で(^_^;)。
2002年01月14日
トーベ・ヤンソン(小野寺百合子/訳)
『ムーミンパパ海へいく』講談社文庫
《ムーミン》シリーズ。
ムーミン谷を捨てて孤島の燈台に移り住んだムーミン一家(ムーミンパパ、ムーミンママ、ムーミントロール、養女ミイ)の物語。
とにかくラストが圧巻。
ムーミン一家の苦労はこのラストのためにあったのだとしみじみきました。
フロド・バギンズは、行方不明になったいとこ・ビルボに譲られた指輪を持っていた。ただの指輪ではない。それは、冥王サウロンの力が込められた、主なる指輪、すべてをすべるただ一つの指輪だったのだ。
復活しつつある冥王サウロンに指輪を渡してはならない!
フロドは仲間たちとともに、指輪を始末するために出立した。
かの有名な《指輪物語》三部作のうち、第一部の部分です。おそらく初読み……。
のっけからドキドキわくわくの連続で、さすが読みつがれている物語はちがいます。カタカナ地名&名前の苦手な人は脱落してしまったりもするでしょう。でも、それだけの理由で読むのをやめてしまうとしたら、とてももったいないことです。
ビルボが主役の『ホビットの冒険』を先に読んでおくことをおすすめします。また、序章は読むのが大変でした。挫折しそうなときには、飛ばしてしまっても大丈夫です。
二冊目(上2)で、訳者あとがきを読んでしまったことはとても哀しい出来事でした。
ホスピス病院で目覚めた介護機械である「私」の、自分さがしの物語。
祥伝社の400円文庫シリーズの中の一冊で、うすくってすぐに終わってしまうのですが、涙、涙でした。
1992年の作品だけあって目新しさは期待していなかったのですが、まぁ、そこそこ。二日かけて読む予定だったのに一日で読み切ってしまったのだから“そこそこ”以上か???
仮想都市〈ヴィーナス・シティ〉を主な舞台にしたネットワークものです。
ラストがあっけなかった……。
2002年02月01日
トーベ・ヤンソン(鈴木徹郎/訳)
『ムーミン谷の十一月』講談社文庫
《ムーミン》シリーズ。
《ムーミン》シリーズのラストを飾る一冊ですが、ムーミン一家は思い出の中にしかでてこない……。
ふりかえって考えてみると、《ムーミン》シリーズというのはムーミン・トロールが主役なのではなくって“ムーミン谷”そのものが主役なんだな、という気がしますね。
ときには谷を離れることもありますが。
半世紀ほど前に書かれた、宇宙漂流もの。
これに影響を受けた(と思われる)作品を先に読んでいるので、ちょっぴり変な感じでした。
フロド・バギンズは、冥王サウロンの力が込められた一つの指輪の所有者となったために、それを葬り去る長い長い旅をつづけていた……。
《指輪物語》三部作のうち、第二部です。
これから読む人のことを思うと、多くは語れません。