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2002年の記録
目録
 
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このページの本たち
指輪物語 王の帰還』J・R・R・トールキン
陽気な容疑者たち』天藤 真
日本アパッチ族』小松左京
地球は空地でいっぱい』アイザック・アシモフ
鈍い球音』天藤 真
 
親友記』天藤 真
エスパイ』小松左京
ファウンデーションの彼方へ』アイザック・アシモフ
分解された男』アルフレッド・ベスター
華氏451度』レイ・ブラッドベリ

 
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2002年02月07日
J・R・R・トールキン(瀬田貞二/田中明子/訳)
『指輪物語 王の帰還』
全二巻・評論社文庫

指輪物語》三部作の、第三部です。
 ついに終わってしまって、感無量。
 おもしろくないところ、つまらないところ、物足りないところ、いろいろありましたがそれにも増して、夢中になったところが方々に……。
 今はただ、壮大な物語に黙するばかりです。


 
 
 
 
2002年02月11日
天藤 真
『陽気な容疑者たち』
創元推理文庫

 あまりいい評判のない吉田辰造が、財産と我が身を完璧に守らせるために造った倉からでてこない。やがて、警官たちの手によって倉はこじあけられ、辰造は死体となって発見された……。

 映画化もされた『大誘拐』で有名な、天藤真の処女長篇です。よくある密室もの。
 読みどころはトリックではなく、あくまで人間関係。容疑者たちが陽気になってしまうのもうなづけます。


 
 
 
 
2002年02月17日
小松左京
『日本アパッチ族』
光文社文庫

 鉄を食べる人間の物語。
 SFなのか、シミュレーションなのか……。
 正義(?)のために弱い立場の人間を犠牲にする大酋長に対して、主人公は、独白の中でそういう指摘をしつつなんら行動を起こさない……。これが書かれた社会背景によるものか、長さ制限があったのか。
 いずれにしても、少々物足りない作品でした。


 
 
 
 
2002年02月22日
アイザック・アシモフ
(小尾芙佐/小笠原豊樹/内田昌之/深町眞理子/浅倉久志/伊藤典夫/田中融二/訳)
『地球は空地でいっぱい』
ハヤカワ文庫SF

 いろんな人が訳した短編集。
 いろんな人が訳してるのにどれも暖かく感じられるのは、いずれの訳者もすばらしいからか、アシモフの書いたものがすばらしいからか……。

「投票資格」
 選挙結果を予測する機械が発達した世界の物語。
 たった一人の投票者から結果が決まってしまうのだけど、そのたった一人は機械によって選ばれる……。フィリップ・K・ディックの『偶然世界』を彷佛とさせられました。

「死せる過去」
“過去”を覗くことができる機械をめぐる研究者の物語。
 1950年代に書かれただけあって、機械がちょこっと、古めかしい。でも、陳腐さもなくおもしろいのは、アシモフたるゆえんか???


 
 
 
 
2002年02月24日
天藤 真
『鈍い球音』
創元推理文庫

 万年最下位のプロ野球球団をリーグ優勝に導いた監督が失踪した。折しも日本シリーズ開幕直前。監督の片腕だったコーチが、友人の新聞記者に協力を依頼し、新聞記者は捜索に乗り出す……。

 短いながらもきちんと練られた展開で、安心して楽しめます。阪神ファンとしては放っておけない一冊です。


 
 
 
 
2002年03月07日
天藤 真『親友記』創元推理文庫

 短編集。

「親友記」
 田舎からでてきた同級生が、電車の中で偶然再会して、親友付き合いが始まって……という小話。ホロリときましたよ。親友ってこういうものかもねぇ。

「犯罪講師」
 犯罪師Xなる人物が自分の行った誘拐事件を題材に、犯罪者たちに講議する小話。わずか22ページの作品ですが、面白みがあり、なおかつ引き締まった逸品でした。

「誓いの週末」
 中学生向け雑誌に連載されたジュブナイルです。ジュブナイルって、読みやすい反面ついていきにくい面も……。鈍いワタクシには、犯人の目星が全然つかなかったんですけどね。


 
 
 
 
2002年03月10日
小松左京
『エスパイ』
ハルキ文庫

 超能力者もの。
 ソ連首相暗殺計画の阻止を命じられたヨシオだったが、思いもかけない攻撃を受けることに……。
 週間漫画サンデーに連載されていた作品で、細切れなので、ちょっと物足りない。そして、小松左京としては毎度のこととはいえ、いまいち納得できないラスト。


 
 
 
 

2002年03月14日
アイザック・アシモフ(岡部宏之/訳)
『ファウンデーションの彼方へ』
上下巻
ハヤカワ文庫SF

銀河帝国興亡史》第四巻
 第ニ銀河帝国への道を確実に進む第一ファウンデーションだったが、議員トレヴィスは、打ち負かしたはずの第二ファウンデーションの影を感じていた。第一ファウンデーション市長は、トレヴィスを追放するという形で人類発祥の星らしい“地球”をさがしている考古学者ペロラットと共に外宇宙へと送りだす。
 それは第ニファウンデーションを捜すためだったが、次第に別の勢力の存在が浮き彫りになっていく……。

 少々肩透かし。


 
 
 
 
2002年03月16日
アルフレッド・ベスター(沼沢洽治/訳)
『分解された男』
創元SF文庫

 進化した人類は、多くの超感覚者(エスパー)を生み出した。超感覚者たちが人々の心を自在に透視するため、犯罪を計画することさえ、もはや不可能!
 しかし、一大産業王国の樹立を目論むベン・ライクは、宿命のライバル、ド・コートニー・カルテルの社長殺害を企て、実行する。
 かくして、警察本部の第一級超感覚者、リンカン・パウエルとライクの戦いが始まった。

 切れ味のある語り口が、とにかく粋。
 ベスターの著作物は、別の訳者のものも読んだことがありますが、やはりこれは原作のもつ力でしょう。その魅力を損なわせなかった訳者も、見事と思います。
 しばし放心。


 
 
 
 
2002年03月19日
レイ・ブラッドベリ(宇野利泰/訳)
『華氏451度』ハヤカワ文庫NV

「禁止された本を焼き捨てる役場」に務めるモンターグの物語。
 本には無意味なことしか書かれていないのか?

 静かで、力強い。
 とても易しいのに、難しい。
 名作と呼ばれる由縁が垣間見られた気がしました。

 
 

 
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