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2010年の記録
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このページの本たち
モスフラワーの森』ブライアン・ジェイクス
氷上都市の秘宝』フィリップ・リーヴ
ドラゴンと愚者』パトリシア・ブリッグズ
エルデスト 宿命の赤き翼』クリストファー・パオリーニ
栄光の道』ロバート・A・ハインライン
 
遥かなる賭け』メリッサ・スコット
神の熱い眠り』オースン・スコット・カード
キャピトルの物語』オースン・スコット・カード
盗まれた記憶の博物館』ラルフ・イーザウ
幻の特装本』ジョン・ダニング

 
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2010年04月17日
ブライアン・ジェイクス(西郷容子/訳)
『モスフラワーの森』徳間書店

《レッドウォール伝説》第二巻
 いにしえのモスフラワーの森はコター砦を根城とするヤマネコの“千目族”に支配されていた。極悪非道の女王ツアーミナ率いるコター砦軍と森の生きものたちが攻防をくり返す中、ネズミの勇者マーティンは、モスフラワーの正当な統治者、アナグマの闘士ボアを連れもどるという使命を帯びて、“炎龍の高嶺”への危険な旅に出た。“盗賊ネズミ”のガーンフ、モグラの“小えくぼ”、旅の途中で仲間になったトガリネズミの“丸太の船頭”らとともに、マーティンはようやく目的の地にたどりつく。だが、闘士ボアの運命は、モスフラワーとは別のところに定められていたのだった…果たしてマーティンたちは、コター砦の圧政をうち負かし、真の自由と平和を手にいれることができるのか、また、モスフラワーの動物たちの運命は…? 前作『勇者の剣』の主人公マサイアスが手にした剣。その真の持ち主、伝説の英雄「勇者マーティン」の物語がいよいよ明らかに! レッドウォール修道院の来歴、謎解き、冒険、そして友情。英米でロングセラーを続けるファンタジー、ますます面白い、シリーズ第二弾。
(引用:「BOOK」データベース)

 とりあえず、勇者マーティンの物語、ということになっているのですが、困ったことに肝心のマーティンの存在感がとても薄いです。宿敵のツアーミナや仲間たちが個性的すぎて、真面目なマーティンが埋没している印象……。

 旅人の〈勇者〉マーティンがこの地を通りかかったところ、コター砦の面々と争いになってしまいます。マーティンは勇敢に戦いますが、多勢に無勢。健闘むなしく、捕らえられ、牢屋に入れられてしまいます。
 そのころモスフラワーの森には〈モチカ〉という、反コター砦組織が完成されていました。〈モチカ〉は、仲間である〈盗賊ネズミ〉のガーンフが捕らえられた情報をつかみます。救出作戦が練り上げられ、同じ牢屋に入れられていたマーティンも助けられます。
 マーティンは〈モチカ〉の仲間に加わることとなりました。

 なお、マーティンが〈炎龍の高嶺〉に出かけるのは、物語も半ばにさしかかってから。そのあたりからマーティンにもスポットライトは当たりますが、モスフラワーの森での攻防戦も平行して語られます。


 
 
 
 
2010年04月28日
フィリップ・リーヴ(安野 玲/訳)
『氷上都市の秘宝』創元SF文庫

《移動都市クロニクル》第三巻。(第一巻『移動都市』第二巻『略奪都市の黄金』)
 トムとヘスターはかつての氷上都市アンカレジで平穏に暮らしていた。ところがそんな日常に物足りなさを感じていたふたりの娘レンが、盗賊にだまされたうえに誘拐されてしまう。愛娘を救わんと必死で後を追うトムとヘスターがたどり着いたのは、水上都市ブライトンだった。最終戦争後の遥かな未来、移動都市が互いに食い合う奇怪な世界を描いた、星雲賞受賞作『移動都市』第三弾。
(引用:「BOOK」データベース)

 前作『略奪都市の黄金』から16年。
 移動都市と、反移動都市同盟を束ねる〈グリーンストーム〉との戦争が激化。そんな最中、〈グリーンストーム〉復活兵部隊の整備医師ドクター・オイノーネ・ゼロが、機能停止していたストーカー・シュライクを復活させます。
 シュライクは、最高司令官ストーカー・ファンの警備を担当することになりますが、ドクター・ゼロが裏切ろうとしていることを突き止めます。
 一方、アンカレジ。
 アンカレジは今では、うち捨てられた〈死の大陸〉の片隅に腰を据えています。世間から隠れてひっそりと日々を営んでいましたが、そこへ盗賊団〈ロストボーイ〉のガーグルがやってきます。
 ガーグルは、アンカレジに暮らす元〈ロストボーイ〉のコールに、ひそかに接触します。ガーグルの狙いは、アンカレジのラスムッセン家に代々伝わる〈ブリキの本〉。コールには頼みを断られますが、外の世界に憧れるレン・ナッツワーシーに言葉巧みに近づき、持って来るように頼みます。
 レンは〈ブリキの本〉を持ち出しますが……。

 いろいろなことが起こります。
〈ロストボーイ〉に連れ去られた挙げ句、潜水艦ごと水上都市ブライトンに捕獲され、〈ロストボーイ〉の一味と間違えられてしまうレン。そのブライトン市長は、かつてアンカレジ住民をだましたニムロッド・ペニーロイヤルでした。
 そのころトム・ナッツワーシーとヘスター・ショウは、愛娘レンの行方を追って、〈ロストボーイ〉の本拠地グリムズビーへと旅立ちます。
 鍵を握るのは、あの〈ブリキの本〉。
 暗号のような本の正体とは?
 ストーカー・ファン率いる〈グリーンストーム〉も絡んできて、まさに紆余曲折。なのに一直線。不思議な読後感でした。


 
 
 
 
2010年04月29日
パトリシア・ブリッグズ(月岡小穂/訳)
『ドラゴンと愚者』ハヤカワ文庫FT

 かつてドラゴンに守られ、魔法によって豊かに栄えたヒューログ。だが今やこの地は呪われ、貧しく落ちぶれた。ヒューログ城主の息子ワードウィックは、父の虐待を逃れるため、幼い頃から愚鈍を装ってきた。だが、城の地下で偶然ドラゴンの骨を見つけ、謎の少年オレグと出会ったのをきっかけに、ワードウィックは愚者の仮面を脱ぎ故郷を守る旅に出た…。周辺各国の陰謀に追われつつ、ワードと仲間たちの冒険の幕が上がる。
(引用:「BOOK」データベース)

 主にワードの独白で物語は進みます。
 恐れていた父が亡くなり、ヒューログ城主の指輪と秘密を受け継いだワード。ところが、愚鈍なふりがなかなか抜けきりません。
 誤解を解かないでいるうちに、五王国を統べるジャコベン王の命令書が届けられます。ワードを王立療養所に入れて、適切な手当を受けさせよ(監禁してしまえ)、と。
 ワードは少数の仲間と共に城を脱出します。向かうは、オランストーン国。始まりつつある戦で手柄を立て、ジャコベン王に認めさせようと考えたのですが……。

 一族の守護霊オレグの存在とか、ヒューログ城の秘密とか、さまざまな謎の提示があり、登場人物も多彩。個人的な諍いだけでなく、国や地域や民族の対立も書かれてます。
 消化しなければならない情報量が多いため、前提となる歴史的背景がなかなかつかめず、苦戦させられました。


 
 
 
 
2010年04月30日
クリストファー・パオリーニ(大島双恵/訳)
『エルデスト 宿命の赤き翼』上下巻
ソニーマガジンズ

《ドラゴンライダー》シリーズ第二部(第一部『エラゴン 意志を継ぐ者』)
「背中に刻まれた剣の傷痕、それがおまえの運命なのだよ」−力と強さを信じたとき、勇者への道がひらかれる。師を失った悲しみ、受け継いだ使命。美しきエルフに導かれ、エラゴンとサフィラは黄金の賢者に出会う…世界を席巻した冒険ファンタジー第2弾! ついに撮影開始! 世界を魅了する本格冒険ファンタジー待望の第二弾。
(以上、上巻の「BOOK」データベースより転載)
「いま聞かせてやろう、すべてを滅ぼす恐ろしい秘密を…」−反逆ののろしはあがった。運命は勇者に味方するのか? 戦士たちの決意、ドワーフ王の勇姿。魔法に脈打つ銀の護符を胸にエラゴンは剣をぬく…NYタイムス・ベストセラー堂々の第1位! 2006年映画公開決定! 世界を魅了する本格冒険ファンタジー待望の第二弾。
(以上、下巻の「BOOK」データベースより転載)

 アラゲイジアをガルバトリックス王から解放するため、ドラゴンの〈サフィラ〉に選ばれたエラゴンが、エルフの都に修行に出かけます。
 一方、エラゴンが後にしてきた故郷カーヴァホールには帝国の魔の手がしのびより、エラゴンの従兄ローランが立ち上がります。

 シリーズ第一作は、元はといえば自費出版だったそうで、なるほどシロウト、といった感じでした。で、第二作。プロの担当者もついたんでしょうし、改善されているかな、と密かに期待していたのですが……相変わらずでした。あんまり矯正すると、原石の輝きが失われると判断したのかしらね。
 ローランの変化は圧巻でしたし、いろいろとおもしろい設定がないわけではないのですけれど……。
 なお、三部作というふれこみでしたが、どうやら四部作になったようです。


 
 
 
 
2010年05月03日
ロバート・A・ハインライン(矢野 徹/訳)
『栄光の道』ハヤカワ文庫SF340

《あなたは臆病者ですか? ではあなたに用はありません。われわれは勇敢な男性を必要としているのです。あらゆる武器に熟達、不撓不屈の勇気、顔型はハンサムなこと。永久雇傭、非常に高給、輝く冒険、大きな危険!》ふと手にした新聞にこんな広告が載っていたとしたら、あなたならどうしますか? バカバカしいと放りなげる? それとも……。そう、われらが主人公オスカー・ゴードンは、この広告に応募したのである! そして時空を超える冒険の旅へ−栄光の道へと旅立ったのだ、右手には剣を、左手には〈二十の宇宙〉をあまねく支配する絶世の美女アスターを伴って……
(以上、内容紹介文より転載)

 ゴードンはアメリカ人で、徴兵から逃れようと大学を目指しますが失敗。ヴェトナムに派兵されます。除隊後もうだつがあがりませんが、そんなときに手にした新聞広告に、冷やかし半分で応募します。
 その結果が、栄光の道。
 アスターと異世界に旅立ち、下僕ルーフォにも手伝われて大冒険を繰り広げます。
 アスターが、二十の宇宙に君臨する女帝陛下だと知れるのは、物語の三分の二を過ぎてから。そこから趣ががらりと変わります。
 何のための冒険だったのか?
 栄光の道は本当はどういうものなのか?
 すべて明らかになります。冒険の最中はやや暗中模索のような感じだったのですが、この転換があって助かりました。


 
 
 
 
2010年05月04日
メリッサ・スコット(梶元靖子/訳)
『遥かなる賭け』創元SF文庫

 女帝オリアナの突然の崩御の報せは、銀河全域を震撼させた。領域に覆権を争う九つの貴家(ドミ)は俄然色めきたつが、故人の遺言状は思いがけぬ人物を後継者に指名していた。ケイラ・ルノー…女帝の庇護のもとにあった一介のギルドマスターにすぎない。だが野心と才気に満ちたこの若者は、異をとなえる貴家に対等に互して、帝国を自らの手中に収める決意だった。絢爛たる銀河エピック。
(引用:「BOOK」データベース)

 この世界の貴族たちが有しているのが〈能力(タレント)〉と呼ばれる、超能力。直感力のようなもので、血によって受け継がれます。
 貴族や平民、帝国のすべての人を縛っているのは、〈協約〉と呼ばれるもの。絶対的な行動指針で、敵も味方も、己の行動が〈協約〉破りとならないように神経をとがらせてます。
 ルノー家は、かつては上級貴族だったものの、皇室とのいざこざで滅亡したと思われていた家系。ケイラはオリアナの愛人でしたが、〈能力〉に欠けたところのあるオリアナに代わって、事実上、帝国を統治してました。
 タイトルにもなった賭けとは、ケイラ・ルノーの祖先と、〈連邦〉大使の祖先がしたもの。対象は、ルノー家から皇帝がでるかどうか。この賭けは、脇役のようでいて重要な意味を持ってました。

 いかんせん、世界設定が複雑。登場人物も多彩。読み進めていくのも、つっかえつっかえな状態でした。つかんでしまえば大丈夫なのですが……。
 ファンタジーのような文章運びでしたが、きちんとSF。その混合具合がなかなか楽しめました。


 
 
 
 
2010年05月05日
オースン・スコット・カード(大森 望/訳)
『神の熱い眠り』ハヤカワ文庫SF1104

《ワーシング年代記》1
 あらゆる苦痛が瞬時に癒され、不幸や恐怖の存在しない世界−少年レアドが暮らすその世界に突如「苦痛」が蔓延した朝、人々の前に不思議な男が現われた。男はジェイスン・ワーシング、伝説の神と同じ名の持ち主だった。その日からレアドは、一万五千年以上にわたるジェイスンの波瀾の人生を何度も夢に見るようになる。夢が進むにつれ、やがて明かされる宇宙創造の秘密とは。人気作家カードの原点といえる傑作SF長篇。
(引用:「BOOK」データベース)

 世界が一変し、そこへ現れるジェイスンとジャスティス。
 ジェイスンは、積極的に村人に関わろうとします。言葉を覚え、レアドに物語を書くことを頼みます。その物語の題材を夢の形でレアドに伝えるのが、ジャスティス(公正)という名の女性。
 ジャスティスは、ジェイスンと違って言葉を覚えることはなく、レアドや妹サラの心に直接話しかけます。
 ジャスティスがレアドに見せる夢は、ときに哀しく、レアドはふたりに反発しますが……。

 ジェイスンとその末裔たちの物語と、レアドを中心とした現代の出来事と、織り交ぜられながら語られていきます。
 読み始めた当初は意味が分からなかったことも、進みに連れて徐々に理解できるようになっていきます。レアドの世界に「苦痛」が存在しなかった理由や、ジェイスンとジャスティスがここを選んだ理由も、明らかになります。
 さすがカードだな、と。


 
 
 
 
2010年05月06日
オースン・スコット・カード(大森 望/訳)
『キャピトルの物語』ハヤカワ文庫SF1111

《ワーシング年代記》2
 伝説の男ジェイスン・ワーシングがこの世に生まれる遙か以前−銀河帝国の首都キャピトルでは、人工冬眠薬ソメックが人々の関心を集めていた。ソメックを投与された人間は数年ごとに睡眠と覚醒を繰り返し、ほとんど永遠に生き続けることができるのだ。だがこの偽りの不死が、大いなる悲劇をもたらすことになろうとは…。長篇『神の熱い眠り』の背景となった壮大な宇宙史の全容を、数々の逸話を通じて描きあげた名品集。
(引用:「BOOK」データベース)

 キャピトルでの物語と、ウォーターズの森での物語の二部構成。シリーズ一冊目の『神の熱い眠り』で語られた物語と、かなり重なってます。そのため、やや興ざめな感がありました。


 
 
 
 
2010年05月07日
ラルフ・イーザウ(酒寄進一/訳)
『盗まれた記憶の博物館』上下巻
あすなろ書房

 父さんが、弟が、次々と消えていく。だれかが私の記憶を消そうとしている…。ふたごの天才コンビが古代から現代まで、時空を超えて謎に挑む壮大な歴史ロマンファンタジー。ブックステフーダー賞受賞作。
(引用:「MARC」データベース)
 ※ブックステフーダー賞は、ドイツの、子どもの読者によって選ばれる賞

 ジェシカとオリバーは、双子の姉弟。ある日、自宅に警察の家宅捜索が入り、びっくり仰天。警察は、トーマス・ボロックという男を窃盗の容疑で追いかけているらしい。
 ジェシカもオリバーもそんな男に覚えはないが、警部の話を聞いて、またまたびっくり仰天。トーマスは、姉弟の父親だったのだ。
 なぜ父親のことを忘れてしまったのか?
 トーマスは、ベルリン市のペルガモン博物館の夜警。それ以前は、著名な考古学者だった。行方不明となった朝、展示されていた古代の石像が消え、それゆえに窃盗の嫌疑をかけられたらしい。
 ジェシカとオリバーは、アパートの屋根裏からトーマスの日記を見つけ、謎を解こうとする。鍵は、古代バビロニアの復元されたイシュタル門と、消えたクセハーノ像。
 ふたりは、古文書の指示通りにイシュタル門の前に立った。やがて門が開き、“心より忘れられしもの”を身につけたオリバーは、失われた記憶の国〈クワシニア〉へと旅立つ。残されたジェシカは、オリバーのことを忘れてしまうが……。

 ジェシカとオリバーが、現実とクワシニアに別れ、謎を解いていきます。
 ジェシカを手助けするのは、ペルガモン博物館の学芸員ミリアム。ふたりはクセハーノの正体を見極めようと、悪戦苦闘します。クセハーノはクワシニアだけでなく、現実世界をも支配下に置こうとしているのです。
 一方のオリバーには、旅の道連れができます。シエラザート姫のガラスの小鳥〈ニッピー〉や、ソクラテスの弟子〈エレウキデス〉、ナポレオンの外套〈コフェル〉…などなど。彼らは一致団結して、クワシニアを恐怖で支配するクセハーノに立ち向かいます。
 児童書ゆえの物足りなさはありますが、よく練られた構成と、記憶に関するメッセージは印象的でした。


 
 
 
 
2010年05月08日
ジョン・ダニング(宮脇孝雄/訳)
『幻の特装本』ハヤカワ文庫MT

 警察を辞めて古書店を営むクリフは、元同僚の依頼に愕然とした。存在するはずのない、エドガー・アラン・ポー作『大鴉』の1969年限定版を盗んで逃亡中の女を連れ戻してくれというのだ。その本は限定版専門の出版社の特装本で、見つかれば莫大な価値がある。興味を惹かれ、事件を調べ始めたクリフの前に、やがて過去の連続殺人の影が…。
(引用:「BOOK」データベース)

死の蔵書』のシリーズ第二弾。
 逃亡中の女は、エリノア・リグビー。すんなりと見つかります。
 ところが、連れ帰る途中でアクシデント発生。エリノアは誘拐されてしまいます。クリフはエリノアの行方を追いますが、見つかったのはエリノアではなく、誘拐犯の死体でした。
 現場に残されていたのは、なにかの燃えかす。どうも『大鴉』のコピーのようなのです。出版の記録がない1969年版の『大鴉』は、存在するのか?
 謎が謎を呼びます。

 幻の特装本を追う筋立てはいいのですが、途中でエリノアのことが忘れられてしまいます。誘拐された後、死体が見つかった家屋にいた形跡は残っているものの、その後の足取りは不明なまま。クリフは、エリノアの安否はさして気にせず、『大鴉』の謎の方を向いてしまいます。
 実は、エリノアの父ガストンは、『大鴉』を出版したグレイスン・プレスの元従業員。『大鴉』の謎と、エリノア誘拐の真相はつながってはいるのですが……。
 少々、違和感の残る読後感でした。

 
 

 
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