2012年01月03日
ライマン・フランク・ボーム
(佐藤高子/訳)
『オズの魔法使い』ハヤカワ文庫NV
ドロシーは、カンサスの大草原の真ん中にある農園で、ヘンリーおじさん、エムおばさん、愛犬トトと暮らしていました。
ある日、つましい住まいを竜巻が襲い、一家は地下室に避難しようとします。ところが、ドロシーは愛犬トトと共に逃げ遅れてしまいました。
竜巻はドロシーを家ごと巻き上げます。たどりついた先は、とても美しいマンチキンの国でした。
ドロシーは、小柄でへんてこりんなマンキチンの人たちの大歓迎を受けます。と、いうのも、ドロシーの家が、人々を苦しめていた
〈東の魔女〉の真上に落ちたから。ドロシーは魔法使いと勘違いされたのです。
懐かしいカンサスに帰りたいドロシーは、居合わせた〈北の魔女〉に、大魔法使いのオズに会いに行くことを勧められます。
オズの住まい〈エメラルドの都〉は、黄色いレンガの道の先にあります。ドロシーは、〈北の魔女〉の祝福のキスと、〈東の魔女〉の魔法の靴をもらい、旅立ちました。
ドロシーは道中、脳ミソを切望しているわらのかかしと、ハートを取り戻したいブリキの木樵りと、勇気を欲している臆病なライオン、という道連れができました。そして、困難を乗り越えてオズと面会しますが……。
ボームがこの「オズの魔法使い」を発表したのが、1900年。すでに100年以上の時が流れましたが、古さは感じさせず。
ドロシーがはじめてオズと面会するのが、物語の半ば。その後も、さまざまな冒険が続きます。
子ども向けゆえ、あっさりとはしています。大人向けに書かれていたら、大長編になるのでしょうね。それはそれで読んでみたい気がします。
世界は崩壊状態にあった。
海面が上昇し、沿岸諸都市は水没。疫病が広がり、資源も残り少ない。主要なエネルギー源として頼るのは、特殊なゼンマイだった。
ゼンマイは、遺伝子操作された象であるメゴドントによって巻かれている。人々の糧も、メゴドントの飼料も、提供しているのはバイオ企業。彼らはカロリー企業とも呼ばれ、世界経済を支配していた。
タイ王国は、首都バンコクを防波堤で囲み、厳格な検疫と、守り抜いた種子バンクによって生き延びていた。しかし、環境省と通産省が対立し、一触即発の状態。そんな中、カロリー企業がタイの種子バンクを狙ってくるが……。
とにかく登場人物が多くて、ストーリーと呼べるような動きが出てくるのは中盤から。主要な面々は4〜5人。
アンダースン・レイクは、スプリングライフ社の工場オーナー。工場では改良型ゼンマイを生産していますが、実は、カモフラージュ。
タン・ホク・センは、アンダースンに雇われている中国系難民。マレーシアで成功した豪商だったものの、家族も財産もすべてを失い、今では最下層に甘んじています。
エミコは、遺伝子工学によって生み出された人工生命体(ねじまき)。かつては合法的に秘書として働いていたものの、主人に捨てられ違法な存在となってます。
ジェイディー・ロジャナスクチャイは、元ムエタイのチャンピオン。今では、環境省の検疫取締部隊(白シャツ隊)の隊長。不正が横行するタイにあって賄賂を受け取らず、国民から英雄視されています。中盤で失脚すると、代わって副官のカニヤが前面に出てくるようになります。
ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、キャンベル記念賞を総なめ。ただ、評価は人によって分かれそうです。
視点となる人物が多い作品って、ふたつに分かれると思います。結末にむけてまとまっていくものと、まとまらないもの。今作は、後者です。
群像劇として評価するか、しないか、そのあたりが評価の分かれ目のようです。
《ランドオーヴァー》シリーズ第一巻。
ベン・ホリデイは、シカゴの弁護士。
最愛の妻アニーを事故で亡くし、人生の意義を見失いつつあった。人とのつきあいを避け仕事に打ち込むが、それにも限界を感じている。
ある日アニー宛てに届いたのは、ローゼン社のクリスマス・カタログ。買い物が好きだったアニーを想いながらページをめくるベンだったが、「魔法の王国売ります」という広告に目が釘付けになってしまう。
価格は100万ドル。決して安くはないが、ベンにとって払えない額ではない。現実逃避したい気持ちを抑えきれなくなったベンは、〈ランドオーヴァー〉という国の王座を買い取った。
なにかのトリックを想像していたベンは、魔法の王国が実在していることに驚く。しかし、王国は荒れ放題だった。
ランドオーヴァーの先王が亡くなったのは20年前。
その間に人々の心は離れ、国庫は空っぽ。絶対的な守護者であるパラディンは姿を消し、王国は妖魔マルクに狙われている。今でも王に仕えるのは4人だけ。
宮廷魔術師のクエスター・スーズ。クエスターの魔法の失敗で犬になっている宮廷書記のアバーナシイ。猿のように見えるコボルト族の宮廷料理長パースニップと、宮廷使者のバニオン。
ベンは、なんとかして立て直そうと悪戦苦闘するが……。
本業が弁護士であるだけに、ベンはたくみに演説しますが、一度離れた人々の心は取り戻せず。その頑なさの原因は、この20年間の出来事にありました。
先王が亡くなってから20年……とはいえ、20年間、王座が空だったかというとそういうわけでもなく、実は、魔法の王国は何度となく売りに出されていたのです。
ベンは、なんだかんだ言って、魔法の王国を信じているんだなぁ…というのが最初の印象。まったく信じてない状態から、藁をもつかむ心情でランドオーヴァーに行くとインパクトが違ったと思うのですが。
とはいえ、物語の設定はかなり納得がいきます。魔法の王国が売りに出されるに至った経緯とか、宮廷魔術師ともあろうものが失敗ばかりのダメ魔法使いであった理由とか……。なるほど、なるほど、と。
この後、シリーズは5巻まで翻訳されています。ベンの活躍が楽しみ……ですが、ランドオーヴァーが意外と狭いのが、気にかかります。
既存の国家は力を失い、経済は崩壊した。政府は存在しているものの、サッチャー夫妻率いるドライコ社がアメリカを牛耳っている。
ジョアナは、ドライコ社の新規プロジェクト担当副社長。昇格してから9ヶ月にして、ようやく新規プロジェクトを任されることになった。
ロイサイダで哲学と神学を教えているレスター・ヒル・マキャフリイなる人物が、超自然的な力を持っているらしい。
サッチャー・ドライデンは、レスターを〈救世主〉として売り出す腹づもり。ジョアナを送り込み、スカウトするが……。
《アンビエント》もしくは《ドライコ》6部作の三作目。(時系列的には2作目。翻訳されたのは最初)
ジョアナはサッチャーと愛人のような関係にありますが、レスターに惹かれてしまいます。このころドライコ社では、社員のジェンスンが殺害される事件が起こっており、ジョアナとレスターも、ジェンスンが関わっていた秘密に巻き込まれていきます。
とにかく複雑。
注意深く読んでいかないと、物語を見失ってしまいます。細部にも情報がつまっているので、接するたび、何か新しいことに気がつきそうです。
その分、読む人を選ぶ作品だと思います。
古代中国。
商は祭祀国家であり、神々が治める国だった。人々は、うらなうために甲骨文字を生み出した。
文丁王は28代目の商の王。版図の拡大を目論み、王子たちを辺地に封授する。まもなく文丁王は崩御し、長子の羨(えん)が王となった。
ある日羨王は、最高の神である帝の文字をとって、帝乙(ていいつ)と名乗りだした。それに異議を唱えたのは、箕に封授された箕子ただひとり。帝乙の弟である箕子の発言は、問題視されることもなく、帝乙にかわされてしまう。
帝乙には何人か子どもがいたが、嗣子となったのは長子ではなかった。選ばれたのは、正妃の子でもある子受。
受は、叔父である箕子を敬い、教えを乞う。箕子もまた、その素質を評価していた。しかし、受が長子ではないため、心穏やかではない。
やがて帝乙が亡くなり、受が即位することとなった。箕子は大臣として、西方の召への聘命を進言する。
かつては商の同盟国であった召が離反して随分たつ。さらに西にある周は、どうやら天下をうかがう意志があるらしい。周に対抗するには、召を取り込む必要があったのだ。
しかし、箕子の案は議会で否決され、代わって周を招くことになってしまう。箕子は、周公が来朝しないように画策するが……。
宮城谷昌光の処女作。
商周(殷周)革命の前後の物語。主人公は、神々が治める時代(商)から、人が治める時代(周)への移り変わり、という時代そのもの。
箕子を中心に据えながらも、同じく文丁王の子である干子や、受王、後に文王となる周を治める昌、後に太公望と呼ばれる羌望、などなど、多彩な人物にスポットライトがあたります。
宮城谷昌光の作品は、主人公をじっくり追いながらも途中で意識が他所に逸れてしまうことがままあるのですが、今作の場合、最初から箕子以外にも力が注がれているため、逆に読みやすかったです。この時代の登場人物のことはすでに知っている、ということもあるかもしれませんが……。
《ランドオーヴァー》シリーズ第二巻。
シカゴの弁護士だったベン・ホリデイが魔法の王国ランドオーヴァーの王になって1年。
ベンは、荒廃した王城と国土の復活に心血を注いできたが、夢を見たことで過去を振り返るようになった。夢の中で、法律事務所のパートナーにして友人だったマイルズ・ベネットが窮地に立たされていたのだ。
ときを同じくして、宮廷魔術師クエスター・スーズも夢を見ていた。クエスターの夢は、探し求めている魔術書を見つけた夢。そして、ベンを慕うシルフのウィロウも、黒いユニコーンの夢を見ていた。
三人とも夢を真剣にとらえ、それぞれ探索に旅立つ。
しかし、夢は罠だった。
ランドオーヴァーの王座を狙う元・宮廷魔術師ミークスが、夢を送りつけていたのだ。そうとは知らないベンはミークスの術中にはまり、己を失ってしまう。
ベンの姿になったミークスはやりたい放題。クエスターが持ち帰った魔術書を奪い、黒いユニコーン探しに国民を駆り出す。
一方、野にたたき出されたベンは、プリズム猫エッジウッド・ダークと出会っていた。ベンは、ダークから情報を得ようとするが……。
前作で、陰謀を暴かれてつまはじきにされたミークスが、1年のブランクを経て復活。クエスターとは違って、本物の魔術師ぶりをみせてくれます。
前作では、パラディンの謎がありましたが、今作は、ユニコーンの存在が謎として浮上します。
クエスターが持ち帰った魔術書は二冊あり、ひとつはユニコーンの絵でうめつくされ、もうひとつは損傷していました。さらに、かつてはランドオーヴァーにいたユニコーンが消えてしまった謎、白いはずのユニコーンが黒いという謎、それらで結末までひっぱります。
ひっぱりますが、登場人物たちと同じように読者も気がつかずにいるか……というと話は別。もう少しうまく情報を出せないものかと、じりじりしてしまいました。
《アレックス&チェイス》シリーズ三作目。
チェイス・コルパスは、古美術商アレックス・ベネディクトのパイロット兼調査員。
ある日、骨董品のカップが持ち込まれ、第三千年期の品と判明した。それも、伝説の宇宙船〈探索者〉の備品らしい。
かつて地球には、共和国を名乗りながらも人々を抑圧した社会があった。教会に支配され、権力者には絶対服従を強いられる。国民の中には、裕福ながらも不自由さを嫌い、脱出を試みた者たちがいた。
〈探索者〉で旅立った彼らは、植民星の場所を明かさなかった。また、ときの政府は、厄介者の彼らの逃亡を喜び、捜そうとはしなかった。彼らはマーゴリア人と呼ばれ、9000年たった今でも行方は分からない。
チェイスは、アレックスに指示されるまま調査をすすめていくが……。
ネビュラ賞受賞作。
アレックスがさまざまな可能性を検討し、実際に動いて調査するのがチェイスの役目。ふたりにはマーゴリア人に対する温度差があります。物語は、冷めているチェイスの語りで展開していきます。
とにかく紆余曲折。
カップを持ち込んだエイミイは、元カレからもらったものだと主張します。その元カレは、窃盗の前科者。
カップは盗まれたものなのか?
本当に〈探索者〉に積まれていたものなのか?
チェイスは、あちらこちらに足を伸ばして調べまくります。まさしく、しらみつぶしに……。
時代的には1万年ほど未来になりますが、現代との隔たりはそれほど感じられず。ただ、古代ミステリを楽しむような感覚はありました。物語の世界にとっての古代も、かなり未来の出来事なのですけどね。
《ランドオーヴァー》シリーズ第三巻。
シカゴの弁護士だったベン・ホリデイが魔法の王国ランドオーヴァーの王になって2年。宮廷魔術師のクエスター・スーズが、ついに、探し求めていた魔法を発見した。
かつてクエスターは宮廷書記アバーナシイに魔法をかけ、犬にしてしまった。あれ以来アバーナシイは、柔らかい毛のウィートン・テリアになったまま。元の人間に戻ることはアバーナシイの悲願であり、クエスターの宿願でもあった。
自信満々のクエスターだったが、魔法には王のメダルが必要とあってベンは不安でならない。渋々、アバーナシイにメダルをかけクエスターの魔法が始まるが、大事なところでクエスターがくしゃみをしてしまった。
アバーナシイはメダル共々消え失せ、代わりに現れたのは白い瓶。どうも、アバーナシイと瓶が入れ替わったらしい。
実は、瓶は、宮廷魔術師だったミークスが、王子だったマイケル・アルド・リイに与えたもの。瓶には妖魔ダークリングが封印されており、ダークリングは瓶の持ち主の願いを叶えてくれる。ただし、憎むべき悪しき感情を利用して。
瓶の正体が分かったときには、瓶は、ノームたちによって持ち去られたあと。ベンは瓶の追跡をクエスターに任せ、シルフのウィロウと共にアバーナシイの探索に旅立つ。
一方、瓶と交換に飛ばされてしまったアバーナシイは、アメリカに住むマイケルのグローム・ワイズ城にいた。城の管理人の娘エリザベスに発見され、匿われるが……。
これまで、まったく顧みられず名前すら明らかでなかった王子が、ついに登場。アバーナシイにとって不幸なことに、悪徳ぶりを見せてくれます。
エリザベスは最善を尽くすものの、いかんせんまだ子ども。ランドオーヴァーへの道がヴァージニアにあることは分かっているものの、アバーナシイを連れていくことができません。
今作では、アバーナシイにかつてないほどスポットライトが当たりますが、それだけに終わらず。法律事務所のパートナーにして友人だったマイルズ・ベネットや、痛切に自分の責任を感じているクエスターも活躍します。もちろん、主役であるベンも。
読み応えあります。が、シリーズ全般に言えることですが……名前のつけ方が、どうもひっかかってしまうのです。単なる好みの問題ではありますが。
『天界を翔ける夢』の続編。
コンピュータ上に存在する仮想現実〈ビン〉が稼働して100年。
〈ビン〉内部では百年祭が近づき、連日、これまでの道のりを振り返る報道がなされていた。今では〈ビン〉には、現実世界から肉体を捨ててやってきた人々ばかりでなく、〈ビン〉で生まれ育った世代〈ニュービー〉たちも暮らしている。
ドノヴァン・キャロルは、そうした〈ニュービー〉のひとり。体験も目撃もしたことのない〈死〉について思いを馳せる。
そんなドノヴァンに、かつて現実世界でスーパーモデルだったステファニーが接触してきた。ステファニーは死にたがっているのだが……。
一方現実世界では、〈ビン〉に対立するクリスチャン・ソルジャー軍が世界を牛耳っていた。
公式発表では、〈ビン〉は70年前に、ソルジャー軍のウィルス攻撃で消滅したとされている。ソルジャー軍を率いるガブリエルは、世界に残る不信心者の殺害を命じ、“組み立てられた人格”を持つクローンであるコンストラクトも全滅させる腹づもり。
そんな中、ソルジャー軍の中尉サムは、廃墟で古いコンピュータを発見した。コンピュータ内部には仮想現実が広がっており、サムが出会ったのは、クローンを開発したウォルター・ティルマンその人。
ティルマンはただひとりコンピュータに閉じ込められ、現実世界への復帰を願っていた。サムは、ティルマンへの助力を約束してしまう。密かに、コンストラクトのローラに接触するが……。
舞台は、前作より70年後。
5人が、それぞれに関係を持ちながら行動していきます。
肉体を持ったことのないドノヴァン、コンピュータに閉じ込められステファニーを想い続けているティルマン、現実世界にいたころの出来事からいまだに立ち直れていないステファニー、司令官を父に持ちながらティルマンに協力するサム、ステファニーのクローンの孫であるローラ。この順番で登場します。
暗い暗い内省を披露する人が少なくないので、序盤で挫折しそうになりました。そこを通り越すと、たちまち主役たちが繋がりだして物語が進むので、ホッとひといき。
〈ビン〉は理想世界ですが、やはり現実の方が活き活きしていたようです。物語も、〈ビン〉で発生した事件は忘れ去られ、現実世界での事件でまとめられます。
最初の、いかにも重要そうに語られたアレは、どうなったんだろうなぁ……というのが正直なところ。
ジョン・シャンダニャックは、かつて人形使いだった。やはり人形使いの父フランソワを亡くし、今は〈がなり屋カーマイクル〉号に乗り、ハイチを目指している。
ハイチにいるのは叔父のセバスチャン。セバスチャンは、フランソワが相続するべき財産を横取りした。あれさえあれば、父は絶望の中で死に至ることもなかったのだ。
まもなくジャマイカに到着というとき、〈カーマイクル〉号は海賊に襲われてしまった。同船していた大学教授ベンジャミン・ハーウッドと、その弟子レオ・フレンドが手引きしたらしい。シャンダニャックは抵抗するが、捕らえられてしまう。
シャンダニャックに突きつけられた選択は、死ぬか、彼らの仲間となるか。
やむなく海賊の仲間となったシャンダニャックは、ジャック・シャンディと名付け直される。一緒に拉致されたハーウッドの娘エリザベスに心を寄せ、脱走する機会をうかがうが……。
一方、海賊と繋がっていたハーウッドの目的は、亡くなった妻マーガレットを生き返らすこと。そのために悪名高い海賊黒ひげと契約を結んだのだ。ヴードゥーの秘儀を駆使し、エリザベスの身体にマーガレットの魂を入れるために。
一行はフロリダ奥地へと分け入り、〈生命の泉〉に到達するが……。
カリブの海賊と、ヴードゥー呪術の物語。
海賊たちにはボコール(ヴードゥーの黒魔術師)がついており、誰もが、ちょっとした呪術の攻撃をしたり受け流したりします。ただ、カリブには西欧文化が押し寄せつつあり、ロア(精霊)の加護が届きにくい地域もあります。
海賊たちは、時代が変化していることを受け止めています。そして、自分たちが徐々に滅びるのだと自覚しています。その上でどうするか、決めようとしているところです。
物語をスムーズに動かしていく方に力点が置かれているようで、全般的に分かりにくいです。ヴードゥー呪術が関わる話は初めてではないので、おぼろげな知識が助けになってくれました。まったく知らない状態で読むときついかもしれません。
あるいは、流れに流されながらではなく、じっくり読むべきだったのかもしれません。