御茶ノ水署シリーズ第三作。(前二作は『しのびよる月』『配達される女』)
ユーモアたっぷりの、連作短編集。
御茶ノ水署・生活安全課保安二係の刑事、斉木斉と梢田威は警部補と平刑事という間柄だが、元を正せば幼なじみ。気心の知れた仲だ。同じく二係には、巡査部長の五本松小百合も所属している。
「木魚のつぶやき」
梢田は、匿名の苦情電話を受けた。神保町の交差点付近に、通行人に辻説法をする迷惑男が出没しているという。梢田は斉木の命令で、しぶしぶ巡回することに。ガセネタだと思っていた梢田だったが、それらしき男を発見。男がキャッチセールスに及んだところで逮捕しようとするが……。
「欠けた古茶碗」
斉木が、がらくた市に行こうと言い出した。ふたりは古い茶碗を見つけるが、梢田は1万円の値段が気にいらない。一方の斉木は、気前よく1万円を支払った。直後、茶碗を5万円で買い取るという申し出があり、一悶着。なんと茶碗は、500万円は下らない代物だったのだ。
「気のイイ女」
梢田は、マンションの自主管理組合からの陳情を承った。この10日の内に、いかがわしいビラが3度も投げ込まれているらしい。斉木は囮捜査を敢行するが……。
「恩はあだで返せ」
斉木と梢田は、斉木の恩人の手助けをすることになった。恩人の尾関警部補は、ある手帳を元に揺すられているらしい。ふたりは密かに取引の現場に隠れ、脅迫犯から手帳を取り戻そうとするが……。
「五本松の当惑」
古書店の店主が、五本松の注文した古書を持ってきた。あいにく五本松は不在。代わって応対した梢田だったが、本の代金を払わされることに。しかも、帰署した五本松は、古書を頼んだ覚えはないという。梢田と五本松は、協力して真相をさぐろうとするが……。
いかにして仕事をさぼるかを常に(?)考えている梢田&斉木コンビと、仕事はできるけれど少々変わり者の五本松。三人は、いたってマジメにマジメに、事件解決の任に当たります。
肩の力を抜いて、思わずふふっと笑ってしまう、良作。
短編故、奥深さは望めませんが……。
《パーンの竜騎士》シリーズ第一巻。
シリーズ概要・・・射手座区ルクバトの第三惑星を、人々は〈パーン〉と名付けた。入植者たちはFSP(生命既存惑星連邦)のハイテク社会を捨て、理想郷の建国に邁進する。ところが、思いもよらない災害に見舞われてしまった。
災害をもたらしたのは、ルクバトを奇妙な楕円軌道で巡る惑星〈赤ノ星〉。赤ノ星が近づくとき、パーンに銀色の糸胞が降りそそぐ。この予期せぬ襲撃者は触れるものを焼き尽くし、甚大な被害をもたらした。
糸胞は50巡年にわたって断続的に降りそそぎ、赤ノ星と共に去っていく。休息は200巡年ほど。すでに工学技術は捨てている。それに頼らない永続的な対策を立てる必要があった。
入植者たちは竜を作り出した。パーンの土着生物・火蜥蜴の遺伝子を操作したのだ。こうして生み出された竜は、瞬間移動と火焔を噴射する能力を発揮し、竜騎士と心を通わせあった。
竜騎士となれるのは、竜が誕生の際に選んだ者たち。彼らは大巌洞に住み、特権的な地位を与えられ、糸胞と戦う術を身につけ、伝えていった。
それから長い年月が流れて……。
糸胞が降らない平穏な時代が400巡年つづいた。かつては6つあった大巌洞も、今ではベンデン大巌洞のひとつきり。竜と竜騎士はもはや遠い存在。人々は、竜騎士の末裔を疎むようになっていた。
フ−ラルは、青銅竜ニメンスの騎士にして飛翔隊長。古い伝説に真実を見出し、糸胞の襲来が近いことを確信していた。おりしも、パーン唯一の女王竜ネモスが、最後となる女王竜の卵を産み落としたところ。フ−ラルは、女王竜の騎士となる女性を探索するため、ハイリーチェス城砦ノ太守ファックスを訪問する。
フ−ラルが見出したのは、ファックスに征服されたルアサ城砦の末裔レサ。フ−ラルはレサを大巌洞に連れ帰り、レサは、女王竜ラモスの騎士にして、ベンデン大巌洞ノ洞母となった。
まもなく、糸胞の襲来がはじまり、フ−ラルとレサは、忌まわしきものを迎え撃つべくたちあがる。しかし、パーンに残された竜はたったの200頭。
パーンの命運やいかに?
一応SFながらも、世界はファンタジー。
主役は、フ−ラルとレサのふたり。フ−ラルの思惑と、レサの成長と、徐々に明らかにされる、いろいろなこと。
充分な説明がないまま、パーンの世界に放り込まれます。その手探り状態は、すなわち世界の広大さ。続編の伏線になりそうな、やや中途半端な言及も随所にチラホラ、と。
やはり、初読時より、世界のことが分かってきた再読時の方がより楽しめます。
《パーンの竜騎士》シリーズ第二巻。
シリーズ概要・・・射手座区ルクバトの第三惑星を、人々は〈パーン〉と名付けた。入植者たちはFSP(生命既存惑星連邦)のハイテク社会を捨て、理想郷の建国に邁進する。ところが、思いもよらない災害に見舞われてしまった。
災害をもたらしたのは、ルクバトを奇妙な楕円軌道で巡る惑星〈赤ノ星〉。赤ノ星が近づくとき、パーンに銀色の糸胞が降りそそぐ。この予期せぬ襲撃者は触れるものを焼き尽くし、甚大な被害をもたらした。
糸胞は50巡年にわたって断続的に降りそそぎ、赤ノ星と共に去っていく。休息は200巡年ほど。すでに工学技術は捨てている。それに頼らない永続的な対策を立てる必要があった。
入植者たちは竜を作り出した。パーンの土着生物・火蜥蜴の遺伝子を操作したのだ。こうして生み出された竜は、瞬間移動と火焔を噴射する能力を発揮し、竜騎士と心を通わせあった。
竜騎士となれるのは、竜が誕生の際に選んだ者たち。彼らは大巌洞に住み、特権的な地位を与えられ、糸胞と戦う術を身につけ、伝えていった。
それから長い年月が流れて……。
パーンに、400巡年ぶりの糸胞が降り注いだ。
迎え撃つのは、たった200頭の竜と竜騎士たち。女王竜ラモスの騎士レサは、400巡年という時を遡って援軍を連れ帰った。
それから7巡年。
当時は大喝采で迎えられた旧時代人だったが、徐々に現代人との意識のズレが表面化。旧時代人は特権意識が強い。城砦や工舎は、略奪のような要求を突きつけられ、反発を強めていった。
そんな最中、ベンデン大巌洞に所属する統領ノ補佐フ−ノルが、フォート大巌洞の竜騎士に刺され、深手を負ってしまう。ベンデン大巌洞の統領フ−ラルは統領会議を要請するが、正義がどちらにあるにせよ、数の上では劣勢。しかも、ハイリーチェスとテルガー、ふたつの大巌洞の統領たちは会議に出てくることもしない。
その後の糸降りでフ−ラルは、レモス城砦ノ太守アスジナルから、驚くべき知らせを受けた。糸胞襲来の周期表が狂っているというのだ。先の統領会議でふたつの大巌洞が欠席したのは、予期せぬ糸降りのためだったのだ。しかも彼らは、同時代人にすら報告していなかった。
フ−ラルはパーンを守るため、大巌洞の掌握に乗り出すが……。
基本的な物語の他に、
南の大陸に新たに作られたサザン大巌洞でのいざこざとか、
忘れ去られたもうひとつの糸胞対策が明らかになったり、
ベンデン大巌洞で古代人の道具がみつかったり、
各工舎ノ長たちがクローズアップされたり
いろいろと並行的に書かれていきます。登場人物の数だけドラマがあるんです。
《パーンの竜騎士》シリーズ第三巻。
シリーズ概要・・・射手座区ルクバトの第三惑星を、人々は〈パーン〉と名付けた。入植者たちはFSP(生命既存惑星連邦)のハイテク社会を捨て、理想郷の建国に邁進する。ところが、思いもよらない災害に見舞われてしまった。
災害をもたらしたのは、ルクバトを奇妙な楕円軌道で巡る惑星〈赤ノ星〉。赤ノ星が近づくとき、パーンに銀色の糸胞が降りそそぐ。この予期せぬ襲撃者は触れるものを焼き尽くし、甚大な被害をもたらした。
糸胞は50巡年にわたって断続的に降りそそぎ、赤ノ星と共に去っていく。休息は200巡年ほど。すでに工学技術は捨てている。それに頼らない永続的な対策を立てる必要があった。
入植者たちは竜を作り出した。パーンの土着生物・火蜥蜴の遺伝子を操作したのだ。こうして生み出された竜は、瞬間移動と火焔を噴射する能力を発揮し、竜騎士と心を通わせあった。
竜騎士となれるのは、竜が誕生の際に選んだ者たち。彼らは大巌洞に住み、特権的な地位を与えられ、糸胞と戦う術を身につけ、伝えていった。
それから長い年月が流れて……。
ジャクソムは、若きルアサ城砦ノ太守。ベンデン大巌洞の孵化に立ち会い、自身も竜と感合してしまった。太守は、竜騎士を兼ねることはできない。しかし、パーン初めての白い竜ルースは小振りで、とても長生きするとは思われなかった。
それから一巡年半。
ルースは、大巌洞ではなく城砦で育てられていた。小さいことに変わりはなく、ジャクソムは、乳兄弟やその仲間たちからの嘲笑を耐え忍ぶ日々。ついに統領方から飛翔の許可を得た。
竜は飛ぶものなのだから!
ジャクソムはルースと共に、ルアサ城砦を庇護するフォート大巌洞で訓練を受けることになった。しかし、命の危険があるために、糸降りへの出撃は許されない。
あるとき、大事件が勃発した。
ベンデン大巌洞から、女王竜の卵が盗まれてしまったのだ。どうも、サザン大巌洞に追放した旧時代人たちの仕業らしい。ベンデン大巌洞ノ洞母レサは大激怒。彼らと闘う覚悟を固めるが、サザン大巌洞はもぬけのから。彼らは、いつとも知れない過去に潜伏していた。レサは周囲からなだめすかされるが、そこへ、固くなった卵が帰ってくる。
現場に居合わせたジャクソムは、ひとまず事態が収まったことに安堵するが、ジャクソムにとっては始まりにすぎなかった。ルースが大好きな火蜥蜴たちが、ルースにある情報をもたらしたのだ。
卵を取り戻したのは、白い竜ルースなのだ、と。
ルースは過去への遡行に自信満々。意を決したジャクソムは、過去へと遡る。すでに卵が帰っている以上、成功は間違いがない。果たして、ジャクソムが知っていることと同じ結果になった。
ジャクソムは、この冒険の秘密を守り通そうとするが……。
後見人つきの太守ジャクソムが、一人前に成長する物語。
その他の登場人物たちの物語も交差して、パーンを彩っていきます。
《パーンの竜騎士》シリーズ第四巻。
シリーズ概要・・・射手座区ルクバトの第三惑星を、人々は〈パーン〉と名付けた。入植者たちはFSP(生命既存惑星連邦)のハイテク社会を捨て、理想郷の建国に邁進する。ところが、思いもよらない災害に見舞われてしまった。
災害をもたらしたのは、ルクバトを奇妙な楕円軌道で巡る惑星〈赤ノ星〉。赤ノ星が近づくとき、パーンに銀色の糸胞が降りそそぐ。この予期せぬ襲撃者は触れるものを焼き尽くし、甚大な被害をもたらした。
糸胞は50巡年にわたって断続的に降りそそぎ、赤ノ星と共に去っていく。休息は200巡年ほど。すでに工学技術は捨てている。それに頼らない永続的な対策を立てる必要があった。
入植者たちは竜を作り出した。パーンの土着生物・火蜥蜴の遺伝子を操作したのだ。こうして生み出された竜は、瞬間移動と火焔を噴射する能力を発揮し、竜騎士と心を通わせあった。
竜騎士となれるのは、竜が誕生の際に選んだ者たち。彼らは大巌洞に住み、特権的な地位を与えられ、糸胞と戦う術を身につけ、伝えていった。
それから長い年月が流れて……。
メノリは音楽が大好き。半円海ノ城砦にあって、老竪琴師ペティロンの教えを受けて育った。
父のヤナスは太守。古風で、頑固者。女は竪琴師にはなれない、教訓ノ歌を覚えた後まで音楽を学ばせるのは若い娘にはふさわしくない、と考えている。
メノリにとって幸いだったのは、ペティロンがメノリのことを理解してくれたこと。メノリの作品を、竪琴師ノ長ロビントンに送ってくれてもいた。ところが、ペティロンが他界し、メノリの生活は一変する。
メノリは作曲を禁止されてしまった。
後任の竪琴師エルギオンは、そんな事情を知る由もない。ただ、将来有望な歌作りがいることだけは知っていた。その歌作りのことで悶着がおきるだろうことも。
ヤナスはメノリのことを隠しとおす所存だ。
メノリは両親の仕打ちに打ち比しがれ、城砦を飛び出すが……。
『竜の探索』と同じ時期の物語。
メノリの視点から書かれた、ジュブナイル。予定調和的ですけど、まぁ、それもまたよし。
《パーンの竜騎士》シリーズ第五巻。
シリーズ概要・・・射手座区ルクバトの第三惑星を、人々は〈パーン〉と名付けた。入植者たちはFSP(生命既存惑星連邦)のハイテク社会を捨て、理想郷の建国に邁進する。ところが、思いもよらない災害に見舞われてしまった。
災害をもたらしたのは、ルクバトを奇妙な楕円軌道で巡る惑星〈赤ノ星〉。赤ノ星が近づくとき、パーンに銀色の糸胞が降りそそぐ。この予期せぬ襲撃者は触れるものを焼き尽くし、甚大な被害をもたらした。
糸胞は50巡年にわたって断続的に降りそそぎ、赤ノ星と共に去っていく。休息は200巡年ほど。すでに工学技術は捨てている。それに頼らない永続的な対策を立てる必要があった。
入植者たちは竜を作り出した。パーンの土着生物・火蜥蜴の遺伝子を操作したのだ。こうして生み出された竜は、瞬間移動と火焔を噴射する能力を発揮し、竜騎士と心を通わせあった。
竜騎士となれるのは、竜が誕生の際に選んだ者たち。彼らは大巌洞に住み、特権的な地位を与えられ、糸胞と戦う術を身につけ、伝えていった。
それから長い年月が流れて……。
音楽の才能にあふれたメノリは、竪琴師ノ長ロビントンに見出され、竪琴師の工舎へと招かれた。女は竪琴師にはなれないが、音楽を学ぶことはできる。
喜びにあふれるメノリだったが、工舎で、自分がどこへ行けばいいのかも分からない。あちこち連れ回され、居場所を得ようとするメノリ。
工舎には、教養としての音楽を学びにきている娘たちもいた。メノリは彼女らの嫉妬にさらされる。さらに、石頭の工師からも理解してもらえない。
そんな中メノリは、すばらしいボーイ・ソプラノを持つピイマアを味方につけるが……。
『竜の歌』のそのまんまつづき。
いかんせん虐げられて育ってきたメノリだけに、とにかく卑屈。
《パーンの竜騎士》シリーズ第六巻。
シリーズ概要・・・射手座区ルクバトの第三惑星を、人々は〈パーン〉と名付けた。入植者たちはFSP(生命既存惑星連邦)のハイテク社会を捨て、理想郷の建国に邁進する。ところが、思いもよらない災害に見舞われてしまった。
災害をもたらしたのは、ルクバトを奇妙な楕円軌道で巡る惑星〈赤ノ星〉。赤ノ星が近づくとき、パーンに銀色の糸胞が降りそそぐ。この予期せぬ襲撃者は触れるものを焼き尽くし、甚大な被害をもたらした。
糸胞は50巡年にわたって断続的に降りそそぎ、赤ノ星と共に去っていく。休息は200巡年ほど。すでに工学技術は捨てている。それに頼らない永続的な対策を立てる必要があった。
入植者たちは竜を作り出した。パーンの土着生物・火蜥蜴の遺伝子を操作したのだ。こうして生み出された竜は、瞬間移動と火焔を噴射する能力を発揮し、竜騎士と心を通わせあった。
竜騎士となれるのは、竜が誕生の際に選んだ者たち。彼らは大巌洞に住み、特権的な地位を与えられ、糸胞と戦う術を身につけ、伝えていった。
それから長い年月が流れて……。
竪琴師の徒弟ピイマアは、声変わりで歌えなくなってしまった。竪琴師ノ工舎でも一番の美声を誇ってきただけに、大ショック。だが、少年の声変わりは必ず訪れる通過儀礼。竪琴師ノ長ロビントンは、ピイマアの声変わりを見越してある計画をたてていた。
ピイマアは、太鼓師オロドキーの徒弟となった。表向きは。実際に命令を出すのは、ロビントン師その人だ。
ピイマアは、秘密とはいえロビントン師の直徒弟となれてご満悦。しかも師は、頭のめぐりのよさをかっているのだ。それまでのおしゃべりは御法度。ピイマアは、太鼓師の徒弟として勉学に励む一方、秘密任務にもかり出され、意気は高い。
ところが、それまでのピイマアはいたずら者で通っているため、まわりからは色眼鏡で見られてしまう。太鼓の伝令は秘密情報も扱うため、それらがもれると真っ先にピイマアが疑われる始末。
ピイマアは、ロビントン師の箝口令があるため、沈黙を守るが……。
ピイマアの大冒険を扱った作品。
《パーンの竜騎士》シリーズ第七巻。
シリーズ概要・・・射手座区ルクバトの第三惑星を、人々は〈パーン〉と名付けた。入植者たちはFSP(生命既存惑星連邦)のハイテク社会を捨て、理想郷の建国に邁進する。ところが、思いもよらない災害に見舞われてしまった。
災害をもたらしたのは、ルクバトを奇妙な楕円軌道で巡る惑星〈赤ノ星〉。赤ノ星が近づくとき、パーンに銀色の糸胞が降りそそぐ。この予期せぬ襲撃者は触れるものを焼き尽くし、甚大な被害をもたらした。
糸胞は50巡年にわたって断続的に降りそそぎ、赤ノ星と共に去っていく。休息は200巡年ほど。すでに工学技術は捨てている。それに頼らない永続的な対策を立てる必要があった。
入植者たちは竜を作り出した。パーンの土着生物・火蜥蜴の遺伝子を操作したのだ。こうして生み出された竜は、瞬間移動と火焔を噴射する能力を発揮し、竜騎士と心を通わせあった。
竜騎士となれるのは、竜が誕生の際に選んだ者たち。彼らは大巌洞に住み、特権的な地位を与えられ、糸胞と戦う術を身につけ、伝えていった。
それから長い年月が流れて……。
400巡年の長い休息期が終わろうとしていた。
テルガー城砦では、ララド太守の姉セラが、縁談話にいきりたっていた。セラは、自分こそが城砦ノ太守の第一後継者なのだと、太守会議で主張したこともある。だが、その地位は弟が継いだ。そのうえ、小城砦の太守でもない男に嫁ぐなどもってのほか。
セラは、城砦を飛び出す。金と早駆け獣も一緒だ。そうして、前から目星をつけていた無人小城砦に居場所を定める。自分の能力を証明し、女太守として太守会議で認めさせるのだ。
出だしは順調だったものの、糸降りが始まったことで計画の修正を余儀なくされてしまった。セラは無法者を雇い入れ、集落を襲撃することによって、自分の城砦を豊かにしていく。それにしてもいまいましいのは、我が物顔で頭上を飛び回る竜と竜騎士たち。
セラは、竜と話ができる少女アラミナの噂を聞き、仲間に率いれようと画策するが……。
一方、キメジ城砦を出発したリルキャンプ商隊は、この接近期はじめての糸降りに遭遇していた。水の中へと逃げ惑う一行。糸胞の襲来は伝えられていたが、商隊を率いるクレンドンは相手にしなかった。跡継ぎのジェイジは、悲惨な光景を目の当たりにする。
甚大な被害を出したリルキャンプ商隊は、キメジ城砦へと戻った。ふたたび商隊として出発するには、城砦の人々の冷たい扱いにも耐えなければならない。
時代的には、シリーズ第一巻の10年ほど前からはじまって、新たな展開まで。基本的には、セラと、ジェイジと、これまでの巻でお目見えした人々が活躍します。
すでに語られた事件も別の人物の視点から再確認。『白い竜』や『竜の太鼓』の事件を覚えているとおもしろさ倍増。
《パーンの竜騎士》シリーズ第八巻。
シリーズ概要・・・射手座区ルクバトの第三惑星を、人々は〈パーン〉と名付けた。入植者たちはFSP(生命既存惑星連邦)のハイテク社会を捨て、理想郷の建国に邁進する。ところが、思いもよらない災害に見舞われてしまった。
災害をもたらしたのは、ルクバトを奇妙な楕円軌道で巡る惑星〈赤ノ星〉。赤ノ星が近づくとき、パーンに銀色の糸胞が降りそそぐ。この予期せぬ襲撃者は触れるものを焼き尽くし、甚大な被害をもたらした。
糸胞は50巡年にわたって断続的に降りそそぎ、赤ノ星と共に去っていく。休息は200巡年ほど。すでに工学技術は捨てている。それに頼らない永続的な対策を立てる必要があった。
入植者たちは竜を作り出した。パーンの土着生物・火蜥蜴の遺伝子を操作したのだ。こうして生み出された竜は、瞬間移動と火焔を噴射する能力を発揮し、竜騎士と心を通わせあった。
竜騎士となれるのは、竜が誕生の際に選んだ者たち。彼らは大巌洞に住み、特権的な地位を与えられ、糸胞と戦う術を身につけ、伝えていった。
それから長い年月が流れて……。
南ノ大陸で、古代人の残していった遺跡群が発見された。中でもアイヴァス(人工知能音声応答装置)は、ソーラー・パネルから電力を得ると、ふたたびその機能を知らしめたのだ。
アイヴァスが映像と共に語る2525年前の出来事に、パーンの人々は聞きほれた。アイヴァスは、失われてしまった物理学、天文学などを教えていく。その一方で、工舎などが保管していた過去の記録を取り込んでいった。
実は、アイヴァスは、ある任務を与えられていた。
〈糸胞〉を絶滅させる手段を発見せよ。
アイヴァスは手段を発見していた。そのためには、竜と竜騎士たちの協力が欠かせない。彼らは訓練に励むが、よからぬ噂が流れるようになってしまった。急激に訪れた変化に、アイヴァスを快く思わない人々がいるのだ。それはアイヴァスへの襲撃という形で具体化するが……。
ルアサ城砦ノ太守ジャクソムと、その騎竜ルースが大活躍。
アイヴァスは、新しいものじゃなくって古いものなんですけどね、急激な変化についていけない人がいる……っていうのも納得。
《パーンの竜騎士》シリーズ第九巻。
シリーズ概要・・・射手座区ルクバトの第三惑星を、人々は〈パーン〉と名付けた。入植者たちはFSP(生命既存惑星連邦)のハイテク社会を捨て、理想郷の建国に邁進する。ところが、思いもよらない災害に見舞われてしまった。
災害をもたらしたのは、ルクバトを奇妙な楕円軌道で巡る惑星〈赤ノ星〉。赤ノ星が近づくとき、パーンに銀色の糸胞が降りそそぐ。この予期せぬ襲撃者は触れるものを焼き尽くし、甚大な被害をもたらした。
糸胞は50巡年にわたって断続的に降りそそぎ、赤ノ星と共に去っていく。休息は200巡年ほど。すでに工学技術は捨てている。それに頼らない永続的な対策を立てる必要があった。
入植者たちは竜を作り出した。パーンの土着生物・火蜥蜴の遺伝子を操作したのだ。こうして生み出された竜は、瞬間移動と火焔を噴射する能力を発揮し、竜騎士と心を通わせあった。
竜騎士となれるのは、竜が誕生の際に選んだ者たち。彼らは大巌洞に住み、特権的な地位を与えられ、糸胞と戦う術を身につけ、伝えていった。
それから長い年月が流れて……。
南の大陸で発見されたアイヴァス(人工知能音声応答装置)は、さまざまなことをパーン人たちに教えていく。その中には、植民者たちが地球から連れてきたイルカのことも含まれていた。
リーディスは、パラダイス・リバー城砦ノ太守の息子。漁夫ノ頭アレミと一緒に舟釣りにでかけ、嵐に遭遇してしまった。海に投げ出されたふたりを救ったのは、イルカたち。リーディスは、片言とはいえしゃべるイルカたちに夢中になってしまう。
リーディスの母アラミナは、そんなリーディスが心配でならない。ひとりで海に入らないように、きつく言い渡す。リーディスは将来、城砦ノ太守となるのだから……。
アレミはアイヴァスの助力を得て、イルカとの交流再開をすすめる。イルカたちは救難活動だけでなく、よい漁場を知っている。彼らの助力は役に立つのだ。そのためには、人間たちもイルカの要望に応えねばならない。
一方、青銅竜ガダレスの騎士ト−リオンは、アレミを送迎したことから、イルカの存在を知るようになった。そして、彼らと接するようになる。やがて、秘密の遊びが統領の知るところとなってしまうが……。
物語は『竜の挑戦』と平行して進みます。
イルカたちの祖先は精神統合強化処置済み。記憶は引き継がれ、人間たちが忘れてしまったさまざまなことを覚えています。元来の遊び好きも健在。でも、真面目さが必要なところでは真面目になれるんです。