書的独話

 
2023年のひとりごと
01月01日 展望、2023年
01月05日 事件の舞台
02月12日 2022年、ベスト
02月26日 FBIの捜査官みたいに見える
03月27日 作家の国籍を調べる
04月10日 日本語再発見
05月03日 世界の不思議な言葉
05月05日 日本人再発見
06月12日 猫文学
06月30日 中間報告、2023年
07月06日 記憶の片隅
08月27日 合言葉は【猫】改訂版
09月29日 文明をつくる
10月23日 史実の物語
11月08日 猫という動機
12月31日 総括、2023年
 

各年のページへ…

 
 
イラスト
 
▲もくじへ
2023年05月03日
世界の不思議な言葉
 

 もったいない運動ってご存知でしょうか。
 2005年に、ノーベル平和賞のワンガリ・マータイさんが提唱しました。運動名の〈もったいない〉は、もちろん日本語の「もったいない」から。

 英語にも〈wasteful〉という言葉があります。ムダとか、不経済とか、そんな感じ。
 日本語の〈もったいない〉には、自然や物に対する敬意、愛などの意思が込められているから特殊なのだという話でした。
 日本語の〈もったいない〉には、消費削減(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)、尊敬(リスペクト)の概念が全部入っている、と。最近流行りのサステナブルに通じるものがありますね。
 正直、そこまで織りこんで使っているかは……。

 こんなふうに、ひとことで言い表せない言葉は、日本語だけにあるものではありません。世界じゅうに、そんな言葉があるんです。
 そんな言葉について取りあげている本が、こちら。

エラ・フランシス・サンダース
(前田まゆみ/訳)
『翻訳できない世界のことば』

 FORELSKET フォレルスケット/ノルウェー語―語れないほど幸福な恋におちている。COMMUOVERE コンムオーベレ/イタリア語―涙ぐむような物語にふれたとき、感動して胸が熱くなる。JAYUS ジャユス/インドネシア語―逆に笑うしかないくらい、じつは笑えないひどいジョーク。IKUTSUARPOK イクトゥアルポク/イヌイット語―だれか来ているのではないかと期待して、何度も何度も外に出て見てみること。…他の国のことばではそのニュアンスをうまく表現できない「翻訳できないことば」たち。
(引用:「BOOK」データベース)

 見開きでひとつの言葉が紹介されていますが、じっくり読めるわけではないです。絵本のようなテイストです。

 本書で紹介される言語はこんな感じ。
 ノルウェー語/イタリア語/スウェーデン語/アラビア語/オランダ語/ウェールズ語/ギリシャ語/タガログ語/マレー語/ヒンディー語/ウェールズ語/アイスランド語/ロシア語/ドイツ語/スペイン語/トゥル語/インドネシア語/イディッシュ語/ズールー語/ヤガン語/ペルシア語/フランス語/フィンランド語/韓国語/ハワイ語/ワギマン語/ウルドゥー語/ハンガリー語/イヌイット語/ゲール語/ポルトガル語/カリブ・スペイン語/ブラジル・ポルトガル語/サンスクリット語

 言葉としては52種類。
 ちなみに、日本語で取りあげられているのは4つの言葉。
 そのうちのひとつ「KOMOREBI」はこんな感じです。

コモレビ/日本語
 木々の葉のすきまから射す日の光。「木漏れ日」。まばゆくて目を閉じてしまうほどに美しいもの。緑の葉のあいだをすりぬけた光は、魔法のように心をゆさぶるでしょう。

(本書より)

 その言葉の解釈は著者の主観。なので、合う、合わないはあると思います。もうちょっと説明あってもいいかな……と物足りなくなることもあります。
 その言葉が生まれた経緯とか、どういう派生語があるとか、細かいことには触れません。ある意味、潔いです。
 本書をとっかかりに、自分で調べてみてもいいかな、という気分になります。そうして世界は広がっていくのでしょう。


 

 
■■■ 書房入口 ■ 書房案内 ■ 航本日誌 ■ 書的独話 ■ 宇宙事業 ■■■