もったいない運動ってご存知でしょうか。
2005年に、ノーベル平和賞のワンガリ・マータイさんが提唱しました。運動名の〈もったいない〉は、もちろん日本語の「もったいない」から。
英語にも〈wasteful〉という言葉があります。ムダとか、不経済とか、そんな感じ。
日本語の〈もったいない〉には、自然や物に対する敬意、愛などの意思が込められているから特殊なのだという話でした。
日本語の〈もったいない〉には、消費削減(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)、尊敬(リスペクト)の概念が全部入っている、と。最近流行りのサステナブルに通じるものがありますね。
正直、そこまで織りこんで使っているかは……。
こんなふうに、ひとことで言い表せない言葉は、日本語だけにあるものではありません。世界じゅうに、そんな言葉があるんです。
そんな言葉について取りあげている本が、こちら。
エラ・フランシス・サンダース
(前田まゆみ/訳)
『翻訳できない世界のことば』
FORELSKET フォレルスケット/ノルウェー語―語れないほど幸福な恋におちている。COMMUOVERE コンムオーベレ/イタリア語―涙ぐむような物語にふれたとき、感動して胸が熱くなる。JAYUS ジャユス/インドネシア語―逆に笑うしかないくらい、じつは笑えないひどいジョーク。IKUTSUARPOK イクトゥアルポク/イヌイット語―だれか来ているのではないかと期待して、何度も何度も外に出て見てみること。…他の国のことばではそのニュアンスをうまく表現できない「翻訳できないことば」たち。
(引用:「BOOK」データベース)
見開きでひとつの言葉が紹介されていますが、じっくり読めるわけではないです。絵本のようなテイストです。
本書で紹介される言語はこんな感じ。
ノルウェー語/イタリア語/スウェーデン語/アラビア語/オランダ語/ウェールズ語/ギリシャ語/タガログ語/マレー語/ヒンディー語/ウェールズ語/アイスランド語/ロシア語/ドイツ語/スペイン語/トゥル語/インドネシア語/イディッシュ語/ズールー語/ヤガン語/ペルシア語/フランス語/フィンランド語/韓国語/ハワイ語/ワギマン語/ウルドゥー語/ハンガリー語/イヌイット語/ゲール語/ポルトガル語/カリブ・スペイン語/ブラジル・ポルトガル語/サンスクリット語
言葉としては52種類。
ちなみに、日本語で取りあげられているのは4つの言葉。
そのうちのひとつ「KOMOREBI」はこんな感じです。
コモレビ/日本語
木々の葉のすきまから射す日の光。「木漏れ日」。まばゆくて目を閉じてしまうほどに美しいもの。緑の葉のあいだをすりぬけた光は、魔法のように心をゆさぶるでしょう。
(本書より)
その言葉の解釈は著者の主観。なので、合う、合わないはあると思います。もうちょっと説明あってもいいかな……と物足りなくなることもあります。
その言葉が生まれた経緯とか、どういう派生語があるとか、細かいことには触れません。ある意味、潔いです。
本書をとっかかりに、自分で調べてみてもいいかな、という気分になります。そうして世界は広がっていくのでしょう。