書的独話

 
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2023年05月05日
日本人再発見
 

 随分昔から知ってはいました。
 知ってはいたのですがなかなか手が出せず。ここにきてようやく読めました。ベネディクトの『菊と刀』。
 日本人について論じた本です。

 アメリカ人のベネディクトは、外国の文化を研究する専門家。1943年、戦時情報局海外情報部にスカウトされます。第二次世界大戦の終結を視野に、その後のヨーロッパ政策の準備にとりかかろうとしていたのです。
 翌年の1944年6月、基礎分析課の主任になっていたベネディクトは、外国戦意調査課分析官を兼務します。アメリカが、なんとかして日本を降伏させようとしていたころです。どうすれば自軍の損害を最小限に抑えられるか。
 終戦が近づいてくると、戦後の対日占領政策の立案が新たな課題となってきます。

 ベネディクトは「Japanese Behavior Patterns(日本人の行動パターン)」を国務省に提出しました。1945年9月のことでした。
 その後ベネディクトは、このときの「日本人の行動パターン」を大幅に加筆修正し『菊と刀』を完成させます。一般読者向けの『菊と刀』は、1946年11月に出版されました。

 ベネディクトは日本に来たことがなかったというから、驚きです。日本に関する文献や、日系移民からの情報などをもとにしたんだそうです。

ルース・ベネディクト
『菊と刀』

 第二次世界大戦中、米国戦時情報局の依頼を受け、日本人の気質や行動を研究した文化人類学者ベネディクト。日系人や滞日経験のある米国人たちの協力を得て、日本人の心理を考察し、その矛盾した行動を鋭く分析した。ロング・セラーの画期的新訳。
 (引用「BOOK」データベース)

 考察されている日本人は、戦前・戦中の人たち。それから80年近くがたち、さすがに日本人も変わってきました。欧米化されて、そのままでは現代の日本人には当てはまりません。
 ですが、分かる、分かるわ〜、と。
 応分の場という概念や、恩や義理の捉え方。
 どう変わっても、根底には昔から脈々と流れるものが横たわっているんだな、と。いつかそれもなくなってしまう日がくるでしょうか。


 

 
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