随分昔から知ってはいました。
知ってはいたのですがなかなか手が出せず。ここにきてようやく読めました。ベネディクトの『菊と刀』。
日本人について論じた本です。
アメリカ人のベネディクトは、外国の文化を研究する専門家。1943年、戦時情報局海外情報部にスカウトされます。第二次世界大戦の終結を視野に、その後のヨーロッパ政策の準備にとりかかろうとしていたのです。
翌年の1944年6月、基礎分析課の主任になっていたベネディクトは、外国戦意調査課分析官を兼務します。アメリカが、なんとかして日本を降伏させようとしていたころです。どうすれば自軍の損害を最小限に抑えられるか。
終戦が近づいてくると、戦後の対日占領政策の立案が新たな課題となってきます。
ベネディクトは「Japanese Behavior Patterns(日本人の行動パターン)」を国務省に提出しました。1945年9月のことでした。
その後ベネディクトは、このときの「日本人の行動パターン」を大幅に加筆修正し『菊と刀』を完成させます。一般読者向けの『菊と刀』は、1946年11月に出版されました。
ベネディクトは日本に来たことがなかったというから、驚きです。日本に関する文献や、日系移民からの情報などをもとにしたんだそうです。
ルース・ベネディクト
『菊と刀』
第二次世界大戦中、米国戦時情報局の依頼を受け、日本人の気質や行動を研究した文化人類学者ベネディクト。日系人や滞日経験のある米国人たちの協力を得て、日本人の心理を考察し、その矛盾した行動を鋭く分析した。ロング・セラーの画期的新訳。
(引用「BOOK」データベース)
考察されている日本人は、戦前・戦中の人たち。それから80年近くがたち、さすがに日本人も変わってきました。欧米化されて、そのままでは現代の日本人には当てはまりません。
ですが、分かる、分かるわ〜、と。
応分の場という概念や、恩や義理の捉え方。
どう変わっても、根底には昔から脈々と流れるものが横たわっているんだな、と。いつかそれもなくなってしまう日がくるでしょうか。