久しぶりに、ミヒャエル・エンデの『モモ』を読みました。
有名な児童書ですから、読んだことくらいありますよ。ありますけれど、読んだ記憶があるだけで、内容はまったく覚えてなかったんです。
対象は、小学5〜6年生。実際に読んだのは、中学生になってからだったと思います。覚えていないのですから、いつ読んだとしても一緒ですけど。
航本日誌でAmazonのページにリンクを設けるとき、内容紹介文を見ました。そこでなんだかモヤモヤしてしまった次第です。違和感といいますか。ネタバレのような、そこまでではないような。
岩波少年文庫版は、そうでもないんです。
「BOOK」データベースによると、こんな感じ。
町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります …。「時間」とは何かを問う、エンデの名作。小学5・6年以上。
まぁ、そういう話。
孤児のモモが、郊外にある古代円形劇場の廃墟に住みついて近隣住民と交流し、友だちをいっぱいつくっていたところ、大都会で人びとに時間を貢がせていた灰色の男たちの逆鱗にふれてしまう、と。
単行本版になると、もうちょっと書かれてます。
ネタバレに近いと思いますので、ご了承ください。
「BOOK」データベースによると、こんな感じ。
時間におわれ、おちつきを失って人間本来の生き方を忘れてしまった現代の人々。このように人間たちから時間を奪っているのは、実は時間泥棒の一味のしわざなのだ。ふしぎな少女モモは、時間をとりもどしに「時間の国」へゆく。そこには「時間の花」が輝くように花ひらいていた。時間の真の意味を問う異色のファンタジー。小学5・6年以上向き。
いわゆる「時間の国」に、行くことは行きます。行きますけれど、時間をとりもどしに行ったのかというと、ちょっと違うかな、とは思います。とはいえ、あまり終盤の出来事を書かないでほしかった……。
モモがはじめて「時間の国」に行くのは、中盤に入ろうとするあたり。
灰色の男は、モモの存在に危機感をつのらせています。そこで、プレゼントを用意して懐柔を試みます。
ところが、肝心のプレゼントがモモの琴線にふれません。そればかりか、モモの話を聞く力によって、灰色の男は本当のことをはなしてしまいます。
おどろいたモモは、ベッポとジジに相談します。
ちなみにモモの友だちですが、とりわけ仲のいい大親友が、ペッポとジジのふたりです。
ベッポは、道路掃除夫。
じっくりと考えぬいてから言葉を発するタイプ。そのためとても無口。よくよく観察し、人の見ないようなものを見ています。
ジジことジロラモは、観光ガイド(その他いろいろ)。
あらゆる点でベッポと正反対。口達者。夢みるような目をしたきりょうよし。しゃべりの技術でみんなを楽しませてくれます。
閑話休題。
モモから相談されたふたりは、正反対のことを考えます。
ベッポは、モモの話をしっかりと受け止め、灰色の男たちに危険を感じています。彼らは、秘密を知った人間をただじゃおかないだろう、と心配します。
ジジは、おもしろい話くらいに感じてます。そして、彼らに打撃を与えるためには、より多くの人に知らせることだと断言します。
そこで提案したのが、デモ行進でした。
ジジの案が採用されますが、大都会の人たちはデモ行進に無関心。一方で、灰色の男たちは危機感を強めます。
そんなとき、モモの前にカメが現われます。
カメに連れられたモモは〈さかさま小路〉にたどりつき、その奥の〈どこにもない家〉に入ります。時間を司っている、マイスター・ゼクンドゥス・ミヌティウス・ホラの家です。いわゆる「時間の国」です。
カメのカシオペイアは、マイスター・ホラの使いだったのです。
マイスター・ホラは人間のひとりひとりに、規定量の時間をくばっています。時間は、本来の持ち主から離れると死んでしまいます。そのため、灰色の男たちのことを苦々しく思っています。
灰色の男たちを監視していたマイスター・ホラは、モモに危険が迫っていることを知り、助けてくれたのです。
モモはマイスター・ホラから、灰色の男たちの正体を聞きます。「時間の花」も見せてくれます。
モモはマイスター・ホラの家で眠り、目覚めたときには円形劇場に帰ってました。お約束ですが、現実世界ではちょっとした時間がすぎてます。
その時点で、問題は解決してません。
それどころか、悪化してます。ベッポはモモを助けるために猛烈に働いてます。ジジは夢に囚われてしまってます。
モモは、灰色の男たちに取引きをもちかけられます。友だちを救うために、マイスター・ホラのところに案内しろと迫られます。
困り果てたモモを救ったのは、やっぱりカシオペイア。モモはふたたびマイスター・ホラの家に行きます。
マイスター・ホラが、灰色の男たちを滅ぼす方法を思いつきます。モモが実行役です。
モモは時間をとりもどすため、「時間の花」を手に「時間の国」から出ていきます。
もう終盤です。
本の紹介文では、終盤に起こるようなことには触れないでほしい、と思います。有名な作品でも、これから読む人もいるんですから。
ところが『モモ』にいたっては、サブタイトルからしてネタバレでした。
「時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語」
これからどうなっちゃうの?
って、わくわくドキドキしながら読みたいじゃないですか。