書的独話

 
2021年のひとりごと
01月01日 展望、2021年
01月16日 筋書きだけのドラマ
01月22日 モモと時間の国
02月28日 2020年、ベスト
03月01日 合言葉は【古代】
03月18日 英国辞書史の裏
05月15日 〈時間超越者〉
05月26日 言文一致体と夏目漱石
06月20日 合言葉は【火星】
06月23日 ようやく、2000
06月30日 中間報告、2021年
07月11日 理想のベートーヴェン
07月28日 簿記は世界を変えるのか
08月31日 本の持つ力
09月21日 アメリカの警察
11月23日 ある奴隷の一生
12月13日 バッタ博士の3年間
12月31日 総括、2021年
 

各年のページへ…

 
 
イラスト
 
▲もくじへ
2021年12月31日
総括、2021年
 

 2021年を振り返ります。

 まずは、航本日誌。
 目標は「総数で月に10冊、最終的に年間100タイトル」と考えていました。
 結果は、こんな感じです。

  1月、10冊(9タイトル)
  2月、10冊(8タイトル)
  3月、10冊(10タイトル)
  4月、10冊(9タイトル)
  5月、10冊(9タイトル)
  6月、10冊(9タイトル)
  7月、10冊(9タイトル)
  8月、10冊(9タイトル)
  9月、12冊(10タイトル)
  10月、11冊(10タイトル)
  11月、10冊(8タイトル)
  12月、10冊(10タイトル)
 123冊、110タイトル。

 2018年から4年間、年間100冊だったのですが、今年は110冊読めました。といっても、ただ単に上下巻などの複数組の本が少なめだった、というだけなんですが。

 月に10冊目標はコンスタントに読むためです。現実には、月のなかで波を作ってしまい、コンスタントと言える雰囲気ではありませんでした。
 あるときには、読む時間がとれないとか、読む気になってないとか、読んだ側から忘れて時間がかかるとか、さまざまな理由で滞りました。
 またあるときには、急いで読みすぎた結果、一冊一冊をきちんと堪能できずに読了することも。
 そんなこんなでの目標達成でした。

 ところで、目標ではないのですが、目録のページで「今年は創元SF文庫を意識していきたい」なんてことを書いてました。意識はしてましたが、刊行数がそれほど多くなかったのが最大の誤算。読みたい本はもう読んでるし、読んでなかった本は食指が動かないだけの理由があった、と。
 そんなわけで、あまり目立つ活動にはなりませんでした。
 いい思いつきだと思ったんですけどねぇ。

 そして、毎年問題になる書的独話。
 毎年、月に一項目は……と目標にしてます。年初はやる気でいるのですが、あれやこれやと理由をつけてさぼりがち。
 今年はなんとか、18項目、書けました。
 ただ、心残りはあります。
 年初に、テーマを決めて関連書を集める企画で「竜」を挙げてましたが、これはやらずじまい。すっかり忘れてました。代わりといいますか「古代」と「火星」は取り上げることができました。

 それから、裏方作業。
 作家別の掲載リストを日本文学と海外文学で区切ってみる案は、なんとか形にしました。後からの区分けなので少々やっつけ感はありますが、今後、よりよく改訂していくための土台、と見てます。

 それでは、月毎に振り返っていきます。一部、中間報告とかぶってます。ご了承ください。

 1月
 今年も、年初からコロナ、コロナでしたね。
 時間ばかりが過ぎていきます。すっごく久しぶりに、ミヒャエル・エンデの『モモ』を読みました。前回読んだのは、中学生くらいじゃなかったかと思います。読んだ記憶はあるのに内容は記憶していない、そんな本のひとつでした。

 2月
 日数が少ないうえ月末には資格試験もあって、あまり時間がとれなかった1ヶ月。
 1月のうちに大半を読んでおいた全三巻のダン・シモンズ『殺戮のチェスゲーム』で数をかせぎ、児童書の《クロニクル 千古の闇》シリーズ全六巻で帳尻合わせしました。
 《クロニクル 千古の闇》は、児童書の枠に入れてしまうにはもったいないおもしろさでしたよ。

 3月
 アントニイ・バークリーの恰好の入門書、というふれこみで読んだのが『ジャンピング・ジェニイ』。《ロジャー・シェリンガム》シリーズの9作目。作家名リストに入れるときになってようやく、2019年に読んでいた『毒入りチョコレート事件』がシリーズ5作目だったと気がつきました。
 きちんと順番どおりに読んでいたら『毒入りチョコレート事件』の印象は違ったものになっていたはず。もったいないことをしました。

 4月
 作家別リストを若干改訂しました。年初にぼんやりと考えてましたが、日本文学と海外文学で区切ってみました。
 実は、もっと細かく、地域ごとに分ける案もあるにはありました。英米文学、ロシア文学、イタリア文学……といった感じに。考えれば考えるほど、無理だ、と思い知り、早々に挫折しましたけど。
 日本文学と英米文学しか読んでいなかったころなら、簡単にできたでしょうに。首尾範囲の広がりは歓迎すべきことですが。
 それから、4月は、掲載作品リストにシリーズ名リンクを設ける試みも始めてます。はじめは、アシモフの《銀河帝国興亡史》から。シリーズ名で書名を圧迫してしまうと本末転倒なので、タイトルの後につけた【(群)】から移動できるように設定しました。

 5月
 書的独話の案内ページに「合言葉シリーズ」リストを設置しました。リストアップしたのは、2020年の「合言葉は【猫】」と「合言葉は【犬】」、3月の「合言葉は【古代】」です。このシリーズはデータの蓄積を活用できるので、今後も続けやすくしておきました。
 この月、ナオミ・ノヴィクの『テメレア戦記 VI 大海蛇の舌』において「シリーズ翻訳が停止していて、もう無理だろう」と書きました。
 なんと!
 出版社と判型を変えたうえでの再出発が決まったそうです。12月から、既刊の移籍がはじまってます。そういうこともあるんですね〜。

 6月
 上旬にまったく読んでいないのは、半ばに資格試験があったため。無事に経過してからは、反動が出てしまって読みまくりました。
 この月は、航本日誌掲載の本が2000冊に到達した月でもあります。「ようやく、2000」でも書きましたが、2000冊目にめがけて読んだのが、年代別海外SF傑作選である『2000年代海外SF傑作選』です。単なる2000つながりですが。

 7月
 2020年の「合言葉は【猫】」の「その後」のページをこっそりと作りました。リストに入れ漏らしていた本が次々と発見されまして「これは、まずい」と。その後に読んだ本も含めて、メモという形で、随時、追記していくことにしました。
 いずれ、正式に書く日がくると思います。
【2023年8月追記:合言葉は【猫】改訂版を公開したため、その後のページは削除しました】

 8月
 エドゥアルド・ヴェルキンの『サハリン島』は、久しぶりのロシア文学。「この10年で最高のロシアSF」などと銘打たれたら、素通りするわけにはいきません。とはいえ、ロシアSFなんて読んだことがあったかどうか。
 ヴィクトル・ペレーヴィンの『宇宙飛行士 オモン・ラー』はロシアSFなのかどうか。アルカジイ&ボリス・ストルガツキーの『ストーカー』はロシアSFだけど、あきらかにここ10年じゃないよね、もっと古い。
 ロシアSFどころかロシア文学すら、読む機会は少なめ。遠く感じますが、日本のお隣なんだ、と再確認しました。

 9月
 R・A・ラファティの『宇宙舟歌』を読むために、下敷きになっているというホメロスの『オデュッセイア』を読みましたる
 なにかを読むために別のなにかを読むのって、久しぶりな気がします。古典なんて読んでいて当然と言えるほどの素養もなく、こういう機会がないとなかなか手がだせません。
 4月にはじめていた「掲載作品リストにシリーズ名リンクを設ける試み」が、ここで若干の修正。設定した本人ですら【(群)】の意味が分からず困惑する事態に陥ったため、シリーズ名そのまま表記に変更しました。長いものは「…」ではしょる、ということで。

 10月
 マーサ・ウェルズの『ネットワーク・エフェクト』は、昨年読んだ『マーダーボット・ダイアリー』の続編。ネットで予約しておいたら発売日の前日に届いて、ウキウキして読みました。2日かけたので、けっきょくは発売日に読んだことになってしまいましたが。
 買ってもそのままにしておくことが多く、すぐに読むのはめずらしい現象でした。
 なお、『ネットワーク・エフェクト』も前作に続いてネビュラ賞、ヒューゴー賞受賞。《マーダーボット・ダイアリー》シリーズとしてもヒューゴー賞受賞しました。

 11月
 前々から気になってはいたのですが、ついに読めたのがレックス・ゴードンの『宇宙人フライデイ』。
 1997年に抄訳版の『宇宙人フライデー』を読んでいて、オリジナル版はどうなんだろうな、とずっと気になってました。抄訳にするからにはそれなりの長さがあり、ばっさりカットされた部分もおもしろいのでは?
 実際に読んでみたら、オリジナル版も短くあっさりしたものでした。抄訳版で充分だったような気もしますが、こればっかりは読んでみないと分かりませんから。

 12月
 ジェラルディン・マコックランの『世界のはての少年』を読んだきっかけは、10月読了のクリス・ヴィック『少女と少年と海の物語』掲載の広告。
 おもしろそうな本を知る機会って、最近はSNSが多いです。かつては、雑誌とか読んだ本の広告とか、紙媒体がほとんどでした。広告をきっかけに手にとって、そのころのことを思いだしましたよ。
 本との出会いってそういうものだよね、と思いながら。


 

 
■■■ 書房入口 ■ 書房案内 ■ 航本日誌 ■ 書的独話 ■ 宇宙事業 ■■■