もっともよく読み、ときには購入時の判断基準にもなる、一番好きな翻訳家が浅倉久志。
最初にその名前を意識したのは、ジョン・クロウリー『ナイチンゲールは夜に歌う』でした。その後、ジョナサン・レセム『銃、ときどき音楽』で同じ名前に気がついて、これは趣味が合うぞ、と。
『ナイチンゲールは夜に歌う』も『銃、ときどき音楽』も借り読みでしたが、いずれ読み返したい本たちです。
訳者名順リスト/イ
SF界に多大な影響を与えた翻訳家の一人が、伊藤典夫。「ヘタクソに書かれたSFはファンタジーと見わけがつかない」というような発言もしているようです。(伝聞)
共訳ものがあるせいか、好きな浅倉久志とセットでとらえてしまうのですが、こちらの方がぴったり一回り若いです。
訳者名順リスト/ウ〜エ
愛読してるロバート・J・ソウヤーを日本に紹介してくれたのが、内田昌之。公式サイトによると、2005年にネアンデルタール三部作を刊行予定。(第一部『ホミニッド −原人−』はすでに既刊)楽しみに待ってるところです。
好きな浅倉久志の(翻訳作品の傾向の)後継者の一人とされてるようです。
訳者名順リスト/オ
大森望は、編集者もしていた活動的な翻訳家。京都SFフェスティバルを立ち上げたり、新潮文庫のSF部門を立ち上げたり。書評コラムにはお世話になってますが、微妙に趣味が合わなくって……。たまに泣きをみることがあります。
小尾芙佐は、好きな翻訳家の一人。どこがどう、とはっきりとは言えないんですが、文章がやわらかくて、安心して読んでいられます。
訳者名順リスト/カ〜コ
黒丸尚は個性のある翻訳家で、正直に告白すれば、決して好みではありません。ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』の訳はハマってましたが、ルーディ・ラッカーについては、黒丸尚の訳より、大森望のものの方が読みやすいような……。
それでも読みたくなるのは、黒丸尚が手がけたもの。41歳で亡くなられて、もう新作(?)が読めないのは残念です。
訳者名順リスト/サ〜ソ
映画化もされて随分話題になりました、トールキンの《指輪物語》三部作(『旅の仲間』『二つの塔』『王の帰還』)を訳したのが、瀬田貞二(と、田中明子)。
冥王の力のこめられた指輪を葬り去る長大な物語。言語学者であるトールキンが、現代英語に“翻訳”した物語でもあるので、それをさらに日本語に直すのは並大抵のことではなかったでしょう。おかげさまで、流れるような日本語を読めるわけです。
第12回日本翻訳文化賞を受賞しました。
訳者名順リスト/タ〜ト
いい作品に遇うと、それを訳した人にも感謝したくなります。そんな一冊だったのが、デイヴィッド・ブリン『プラクティス・エフェクト』。ブリンってあんまり得意でなくって、むしろ敬遠していたくらいなのですが、うれしい誤算でした。訳したのは、友枝康子。
フィリップ・K・ディックの「The Pre-Persons」を『まだ人間じゃない』と訳したのも巧かった。
訳者名順リスト/ナ〜ノ
沼沢洽治が訳した、A・E・ヴァン・ヴォクト『武器製造業者』とアルフレッド・ベスター『分解された男』は、どちらも60年代の訳。
その古めかしさがまた魅力的なのです。古風とはいえそれほど昔ではないので感じもつかめるし。どちらも名作ですが、あえて新訳などせずに版を重ねてもらいたいものです。
(ベスターの『分解された男』は復刊フェアで蘇ったものなので、手に入れるなら今のうちですよ〜)
訳者名順リスト/ハ〜ホ
名作『夏への扉』(ロバート・A・ハインライン)を訳した福島正実は「SFマガジン」の初代編集長でもあります。編集長時代、自身の著作を他社から出した逸話があります。
一時期、話題になった竹下龍之介(当時6歳)の『天才えりちゃん金魚を食べた』は、福島正実記念SF童話賞の大賞受賞作。
訳者名順リスト/マ〜モ
村上春樹といえば『ノルウェイの森』なんでしょうけど、翻訳もしてます。
アーシュラ・K・ル=グィンの《空飛び猫》シリーズ。ル=グィンも相当なビックネームだと思うのですけど、やっぱり一部の読者の間だけらしく、書店では翻訳家の方を目立たせる売り方をされていて、ちょっぴりさびしくなります。これを機会に、ル=グィンの名前を覚えてもらえたらありがたいですけどね。
訳者名順リスト/ヤ〜ヨ
訳者というより、選者としての印象が強いのが山岸真。グレッグ・イーガン紹介の第一人者なので、イーガンをお好きな方はまったく逆の印象があることでしょう。
英米SFのファンジン〈ぱらんてぃあ〉の出身。80年代以降、文庫解説を多く書いてくれてます。はじめての解説は、デイヴィッド・ブリン『スタータイド・ライジング』。