書的独話

 
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06月01日 中間報告、2015年
06月23日 写楽の謎を追う
07月16日 直木賞と芥川賞、そして本屋大賞
07月19日 画像発掘
08月01日 移転しました!
08月26日 《居眠り磐音江戸双紙》読本
09月01日 神への長い道
10月10日 幕末だったのか
12月27日 そして繋がっていく
12月31日 総括、2015年
 
※今年は未年というわけで、羊のシルエットを画像に利用してみました。
シルエットは、デザイングループ「TOPECONHEROES」によるものです。
公式サイト「Silhouette design(http://kage-design.com/)

 

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2015年07月16日
直木賞と芥川賞、そして本屋大賞
 

 第153回(2015年上半期)の芥川龍之介賞は、はじめてお笑い芸人が受賞したということで、いつもにもまして報道が多かったように思います。

 芥川賞は、純文学の新人に与えられる文学賞。
 新聞や雑誌に発表された、短編もしくは中編の中から、選考委員によって選ばれます。
 会合が行われたのは、東京都中央区築地にある老舗の料亭〈新喜楽(しんきらく)〉の1階お座敷。〈新喜楽〉というのは、〈金田中〉〈吉兆〉と並んで日本三大料亭のひとつなんだそうな。(吉兆は料理以外のところで名が知られてしまった気がしますけど)

 ところで、同じ〈新喜楽〉の2階お座敷では、直木三十五賞の選考会が開催されてます。主催者も同じなため、ふたつの賞はセットで語られることが多いように思えます。

 直木賞は、大衆小説作品に与えられる文学賞。
 新聞や雑誌、単行本などで発表された作品の中から、選考委員によって選ばれます。

 先日、なかにし礼の『長崎ぶらぶら節』を読んだときには、直木賞受賞作だったから、手に取ったんですよね。これまで直木賞受賞作は自分にとって、比較的ハズレにくかったから。ときには合わないこともありましたけど。
 この航本日誌に載っているものだけですが、今まで読んできた直木賞受賞作はこんな感じ。

第42回(1959年下半期)
司馬遼太郎『梟の城(2015/5)

第102回(1989年下半期)
原潤w私が殺した少女(2000/1)

第109回(1993年上半期)
高村薫『マークスの山(2006/3)

第114回(1995年下半期)
藤原伊織『テロリストのパラソル(1998/7)

第121回(1999年上半期)
佐藤賢一『王妃の離婚(2013/12)

第122回(1999年下半期)
なかにし礼『長崎ぶらぶら節(2015/6)

第134回(2005年下半期)
東野圭吾『容疑者の献身(2013/1)

 並べてみると意外と(?)少なかったですね。一応、載ってないだけで読んでいるものもあることはありますよ。
 高橋克彦『緋い記憶』とか、大沢在昌『新宿鮫 無間人形』とか、乃南アサ『凍える牙』とか、宮部みゆき『理由』とか。
 それでもやっぱり少ないか。

 今回の報道では芥川賞の方が大きく取り上げられていて、そういえば、芥川賞受賞作って何か読んだことあったかな? と思いまして、受賞作リストを見てみました。

 見事になにもなかったです。

 かろうじて、候補作リストの方で見つけたのが、
 小林恭二「小説伝」第94回(1985年下半期)と
 村上政彦「ナイスボール」第105回(1991年上半期)くらい。
 どちらも、一時期よく読んでいた作家さんでした。思い起こせば、純文学だったなぁ……と。

 そういえば、某ニュース番組のキャスターが
 「芥川賞と本屋大賞の区分けが段々なくなってきた感じがするんですけどね」
 などと発言して批判されてましたっけ。(某ニュース番組の前身のニュース番組を題材にした『ニュースキャスターはこのように語った』を書いたのは村上政彦でした。因果なもんです)
 比べるなら、芥川賞と本屋大賞ではなく、直木賞と本屋大賞でしょうに。実際のところ、直木賞と本屋大賞はかぶり気味。勘違いされたのでしょうか?

 なお、本屋大賞というのは、全国の書店員が投票で選ぶ文学賞です。
 キャッチコピーは
 「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本」
 はじまった当初は、この本を売りたいんだ!という心意気が感じられたものでした。最近は少し変わってきた気がします。エンターテイメント色が強いのは、一貫してますでしょうか。
 つい最近できた賞にしては、それなりに目を通してます。こんな感じです。

第1回(2004年)
小川洋子『博士の愛した数式(2010/11)
次点に、横山秀夫『クライマーズ・ハイ(2014/2)

第2回(2005年)
恩田陸『夜のピクニック(2014/5)
8位に、飯嶋和一『黄金旅風(2005/05)

第3回(2006年)
4位に、東野圭吾『容疑者の献身(2013/1)

第6回(2009年)
次点に、和田竜『のぼうの城(2014/7)
7位に、飯嶋和一『出星前夜(2009/08)

第7回(2010年)
冲方丁『天地明察(2014/7)

第8回(2011年)
東川篤哉『謎解きはディナーのあとで(2014/4)

第12回(2015年)
翻訳小説部門
3位に、アンディ・ウィアー(小野田和子/訳)
火星の人(2014/11)

 2005年と2009年に名前が出ている飯嶋和一は、4年ぶりのノミネートではありませんよ。超寡作作家なので、毎回のノミネートですよ。
 そして、2015年、ついに6年ぶりの新刊『狗賓童子の島』が発刊されました! あまりのもったいなさに、まだ読めてません。

 来年もノミネートされるのでしょうか、飯嶋和一は。
 でもね
「飯嶋和一にハズレなし」とか
「時代小説では当代随一」とか、
 (一部の?)書評家たちからは大絶賛されてますけれど、本屋大賞って雰囲気ではないんですよね。濃すぎるので。
 そして
「直木賞候補を拒否している」
 という逸話があるので、直木賞もないでしょうね。真偽は分かりかねますが、直木賞って雰囲気でもないですし。 濃すぎるので。

 濃すぎないという点では、直木賞も芥川賞も、本屋大賞さえも同じかもしれませんね。


 

 
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