5月に「何度も読みたくなる本、その2」を書いたとき、 何度となく書的独話でとりあげている本がある! ということに気がつきました。ことあるごとに思い出してしまう特別な本が。
何度も読みたくなるのはいい本の証ですが、何度も思い出してしまうのもいい本に違いない! と思い、取り上げてみることにしました。
多少、かぶってますが。
ひとまず3回以上で選出してあります……などと書いてリストアップしてみたら、あるわあるわ。ありすぎるので、今回は4回以上に絞りました。
数を少なくしたので、内容紹介文(ピンク文字)もつけてあります。これは「BOOK」データベースのものです。
『火星縦断』ジェフリー・A・ランディス(2013/1)
書的独話「2006年、ベスト」(2007/1)
書的独話「宇宙くじという可能性」(2007/2)
書的独話「宇宙への切符」(2009/4)
書的独話「2014年、ベスト」(2015/3)
2006年のベスト本。2014年にアンディ・ウィアーの『火星の人』が出るまでは、火星が読みたいときに読む本という位置づけしてました。そのわりに2回しか読んでいないのは、ちょっと厚めだから。
売り文句は、著者が現役のNASAの人であること。読みはじめるとそんな情報は飛んでしまうのですが。インドの躍進と、宝くじで一般人にも火星に行けるチャンスが得られる、という設定が印象的でした。
2028年、第三次有人火星探査隊は赤い惑星に降り立った。だが、彼らのミッションは重大な欠陥を孕んでいた。着陸早々、帰還船に事故が発生。隊員の一人が命を落とし、燃料も失われてしまう。いまや、地球への帰還が最優先事項となった彼らは、新たな帰還船を求めて火星縦断の旅に乗りだした! NASAの現役研究者である作者が、最新のデータを駆使してリアルな火星を構築。極限状態でのサバイバルを描いた傑作ハードSF。
−−−
『ゴールデン・フリース』ロバート・J・ソウヤー(2019/9)
書的独話「2003年ベスト」(2005/5)
書的独話「旅の寄り道」(2009/5)
書的独話「宇宙船のAI問題」(2019/9)
書的独話「何度も読みたくなる本、その2」(2020/5)
2003年のベスト本。一度絶版になったのですが、その後復刊されたときに購入。今また絶版になってしまっているのが残念でなりません。
内容は、倒錯ミステリ。宇宙船のAIイアソンが殺人を犯します。全能のAIに挑む人間、という大枠の外に、イアソンの知っている秘密、知らない秘密とあって盛りだくさん。
宇宙旅行都市計画の一環として、47光年かなたのエータ・ケフェイ星系第四惑星のコルキスをめざすバサード・ラムジェット宇宙船〈アルゴ〉。コンピュータ"イアソン"が完璧に制御しているこの船で、一人の女性科学者が死亡した。事故死? 自殺? それとも…。自殺だというイアソンの主張に疑いを抱いた前夫が単独で調査を始め、困難の末にあばいた驚愕の真相とは? "感情を持つコンピュータ"をリアルに描いた話題作。
−−−
『タウ・ゼロ』ポール・アンダースン(2007/3)
書的独話「初心者にすすめるSFって…」(2004/11)
書的独話「世界のおわり」(2005/9)
書的独話「旅の寄り道」(2009/5)
書的独話「ナイチンゲールは夜に歌う」(2010/2)
故・浅倉久志/訳の、思い出の一冊。実は、本棚を整理したときに手放してしまいました。それでも4回も書いてしまうって印象に残っているんでしょうね。今でも内容を覚えてますが、読み返してみたら記憶と違っているかもしれません。
50人の男女を乗せ、32光年彼方のおとめ座ベータ星第三惑星をめざして飛びたった恒星船。だが不測の事態が発生する。生まれたばかりの小星雲と衝突し、その衝撃でバサード・エンジンの減速システムが破壊されたのだ。亜光速の船を止めることもできず、彼らはもはや大宇宙を果てしなく飛び続けるしかないのだろうか…? 現代SF史上に一時代を画したハードSFの金字塔登場。
−−−
『チャリオンの影』ロイス・マクマスター・ビジョルド(2015/3)
書的独話「2008年、ベスト」(2009/1)
書的独話「すべてはタイミング」(2009/10)
書的独話「何度も読みたくなる本」(2011/10)
書的独話「何度も読みたくなる本、その2」(2020/5)
2008年のベスト本。読み返したくなる度に、読んだばかりだからガマンガマン、とやっている本。最後に読んだのは5年前ですが、まだガマンすべきなのか、そろそろ読んでもいい頃合いか。
異世界ファンタジーで主人公が若くない、というのは珍しいかも。実年齢は35歳ですが、重ねた苦労のために中身はもっと上っぽい。しっかりした世界観もポイントですが、主人公がどっしりしているのも本書のよさ。
戦の末に敵国の奴隷となり、身も心もぼろぼろになって故国に戻ってきたカザリル。運良く少年の頃に仕えたバオシア藩で、国主の妹イセーレの教育係兼家令に任ぜられた。だが、イセーレが弟と共に宮廷に出仕することになったため、カザリルも否応なしに陰謀の渦に巻き込まれることに…。五柱の神々を崇める国チャリオンを舞台にした、ビジョルドの異世界ファンタジー三部作開幕。(上巻の紹介文より)
−−−
『トマシーナ』ポール・ギャリコ(2018/2)
書的独話「ご先祖さまの記憶」(2010/12)
書的独話「2010年、ベスト」(2011/1)
書的独話「それもこれも猫なのだ」(2012/4)
書的独話「何度も読みたくなる本、その2」(2020/5)
2010年のベスト本。上記の4回の他、01月19日の「合言葉は【猫】」でも取り上げてます。
猫ファンタジイとなってますが、猫以外でも大注目。読むたびに違うことに気がつく名作なのです。
あたしはトマシーナ。毛色こそちがえ、大叔母のジェニィに生きうつしと言われる猫。あたしもまたジェニィのように、めったにない冒険を経験したの。自分が殺されたことから始まる、不可思議な出来事を…。スコットランドの片田舎で獣医を開業するマクデューイ氏。動物に愛情も関心も抱かない彼は、ひとり娘メアリ・ルーが可愛がっていたトマシーナの病気に手を打とうともせず、安楽死を選ぶ。それを機に心を閉ざすメアリ・ルー。町はずれに動物たちと暮らし、"魔女"と呼ばれるローリとの出会いが、頑なな父と孤独な娘を変えていく。ふたりに愛が戻る日はいつ?『ジェニィ』と並ぶ猫ファンタジイの名作、新訳決定版。
−−−
『夏への扉』ロバート・A・ハインライン(2014/5)
書的独話「猫のいる世界」(2009/3)
書的独話「SF ATB」(2009/8)
書的独話「何度も読みたくなる本」(2011/10)
書的独話「何度も読みたくなる本、その2」(2020/5)
タイムトラベルものの古典。未来に行くのは冷凍睡眠で、時間旅行は過去方向のみ、という制約があります。タイトルに猫が関わっているので猫ものでもある、として上記の4回の他、01月19日の「合言葉は【猫】」でも取り上げてます。
なお「SF ATB」がなんだったか自分でも思い出せなかったのですが「SFのAll Time Best」のことだそうです。
−−−
《指輪物語》J・R・R・トールキン
書的独話「再読・指輪物語」(2004/8)
書的独話「活字と映画と歴史の『指輪物語』」(2008/5)
書的独話「指輪物語・追補編」(2010/1)
書的独話「何度も読みたくなる本」(2011/10)
書的独話「後から前哨戦」(2016/2)
書的独話「物語のおわり」(2020/3)
書的独話「何度も読みたくなる本、その2」(2020/5)
最多ラインナップ。
上記の他、第一部の『旅の仲間』が代表して「2002年ベスト」に入ってます。なんで三部作まとめてベストにしなかったのか、今となっては不思議です。
いろんな物語作家が本作の影響を受けて書いているので、それらを読むと必然的に本作が思い浮かびます。これが、繋がっていくということなのでしょうね。